20230505


・アップル預金、4日で1350億円
米アップルが米国で4月に始めた他の銀行よりも高い年4.15%の利率で預金サービスに、開始後4日間で9億9000万ドル(約1350億円)の預け入れがあった

預金引き出しによる地方銀行の破綻が相次ぐ中、アップルは高い信用力と利便性を武器に新サービスの利用を広げる

アップルの新サービスは、預金利回りが貯蓄口座の全米平均(0.3%台)の10倍以上とあって注目を集めた。一部のインターネット銀行では同程度の利回りもあるが、アップルが米国で発行するクレジットカード「アップルカード」を持っていれば、スマートフォン「iPhone」の財布アプリから1分もかからずに開設できる点も強みだ。iPhoneは米国だけでも1億人を上回る利用者がいる。

・米FRB、0.25%利上げ インフレ抑制を優先
米連邦準備理事会(FRB)は3日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決めた。相次ぐ米銀破綻で金融システム不安が高まっているが、インフレ抑制を優先した。

6月1日にも米国債が債務不履行(デフォルト)に陥る懸念がある。それでも利上げを継続したのは、物価上昇率がなお目標の2%を大幅に上回っているためだ。FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数はエネルギーと食品を除いたベースで3月も前年同月比で4.6%上昇した。
パウエル氏は失業者1人に対し1.6件の求人がある人手不足の実態を強調し「インフレ圧力はいくぶん緩やかになっているが、依然として強い」

3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の追加利上げを決めたが、直後に経営不安を抱える米地銀の身売り話が浮上。さらなる連鎖破綻の懸念が強まった。
インフレ退治に出遅れて急速に利上げを進めたツケは大きく、収束には時間がかかりそうだ。

利上げによる金利上昇は預金と貸出金の利ざやの改善につながり、米大手銀の好業績を支えた。
半面、銀行が保有している債券や住宅ローン債権の価値を下げ含み損の拡大にもつながる。

パウエル議長は今回の利上げが打ち止めになる可能性を示しつつ明言は避けた。物価上昇率は2%の目標を大きく上回る状況が続き、上振れリスクへの警戒も解けないためだ。

FRBはコロナ後のインフレ加速を「一過性」と見誤り、高インフレ定着のリスクが高まったとみると、遅れを取り戻すために通常の2~3倍となる大幅な利上げを繰り返してきた。それでも金融政策は数カ月から1年単位の時間差で実体経済に効いてくるため、労働市場や物価の過熱はすぐに抑えられなかった。
急速な利上げに一部の銀行は対応しきれず、特に金利上昇リスクへの備えが甘かった地銀が破綻に追い込まれた。物価と金融の安定の両立をめざすFRBの政策対応は難度を増している。

・断食月は物価上昇
世界最多のムスリム人口を抱えるインドネシアの約1カ月間の断食月(ラマダン)の期間中は消費が旺盛になり物価上昇がみられる。
イスラム教徒はラマダン期間の日中、原則一切の飲食を絶つ。断食後の夕食は普段より豪勢になり、消費が進む。家族で会う機会も増え、燃料などの価格も上昇する。ラマダンは太陰暦で計測しており、毎年約10日ずつ早まる。太陽暦の月と完全に合致しないが、期間を含む月は物価が押し上がる。

・人口と世界 逆転の発想
仕事や結婚に関する価値観の変化、仕事と育児の両立の難しさ、収入が増えにくい雇用環境。少子化をもたらす要因は実に多様で複合的だ。

世界各地の少子化の始まりをたどると、都市化という一つの社会変容に行き着く。農村型社会で子どもは世帯にとって貴重な労働力だった。
都市経済の発展で給与所得が世帯の収入源になると、子どもは家計を圧迫する存在に変わってしまう。

日本の1.30という出生率は都市経済が抱えるこの深刻な欠陥を克服できていないことを意味する。もはや外国人居住者に依存する以外に、半世紀後に1億人国家を維持する道筋を描きにくい。

フランスの少子化対策が成果を上げたのは、この構図を逆転させたからではないか。子どもの多い世帯ほど負担が軽くなる所得税制。第2子、第3子と手厚くなる家族手当。「子どもを持たないともったいない」と人々が感じるところまで徹底し、都市経済が内包する矛盾をつぶしていった。

日本は、待機児童がほぼ解消し、対策は転換期にある。家族関係社会支出のうち保育など現物給付の国内総生産(GDP)比は20年に1.26%と英仏と遜色のない水準になった。

今後は乳幼児の親の支援に限らず、結婚や出産を阻害するあらゆる要因を排除していくべきだ。主要国に見劣りする現金給付も、賢く行えばその選択肢になりうる。

出産を促す十分なインセンティブになるかどうかが重要だ。所得制限を撤廃しても漫然と配るだけならバラマキに終わる。フランスの家族手当は第1子に支給しない。出産促進効果が小さいと判断しているのだろう。
母親世代の人口が減った日本で、出生率が多少上がった程度で出生数は増えない。人口減少を前提にした社会への移行を急ぎつつ、粘り強く少子化対策を続けるしかない。

・メタCTO「商用生成AIを年内に」
米メタ(旧フェイスブック)は5日、文章や画像などを自動的に作る生成人工知能を年内に商用化する方針
同社は2013年にAIの研究に本格的に着手し、論文の引用数などで米グーグルに次ぐ地位を占める。グーグルなども商用化の方針を示しており、米テクノロジー大手の相次ぐ参入で普及に弾みがつきそうだ。

・中国政府のゼロコロナ政策が地方都市に残した傷痕
広東省広州市。東京ドーム17個分の敷地に約8万床のベッドがある隔離施設は22年11月の完成後、ほとんど使われないまま「ずっと放置されている」(施設担当者)。
コロナ対策費を開示した21の省・自治区・直轄市の資料を集計すると、22年の合計は約3900億元(約7兆4500億円)。うち19の省・自治区・直轄市は22年予算が20年比で25%増えた。広東省や上海市などは2~4倍ほどに膨らんだ。
財政省によると、地方政府の債務残高は22年末が約35兆元で、19年末から65%増えた。
公共サービス縮小の動きもある。現地紙によると、22年12月以降、遼寧省など複数の街で政府の補助金が減ったためバスの運行停止が相次いだ。


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