20230426


・ニッケル国際価格3割安
ステンレス鋼や電気自動車(EV)の電池材料に使うニッケルの価格低迷が続いている。
国際価格は2022年12月の直近高値に比べて3割安い。

ニッケルは世界需要の6割を中国が占めるがEVの電池材料向けの需要が鈍っている。
もう一つの要因が最大生産国であるインドネシアの増産で、ニッケルの供給過剰観測を招いている。

ニッケルと並び「バッテリーメタル」としての重要性が高まっているリチウムも価格の急落が続く。採算悪化を受け、中国ではリチウムメーカーが減産に走る動きも出ている。ニッケルも供給過剰観測が広がる中で需要の回復が遅れれば、相場にはさらに下落圧力がかかる可能性がある。

・鶏卵不足、世界で拡大
鳥インフルエンザによる鶏卵不足が世界で広がっている。

海外では感染例がほとんどなかった南米で2023年になって感染が急拡大。
感染がまだ確認されていないブラジル産の買い意欲が高まっている。

これまで日本は卵の輸出国 22年は殻付き卵を1~2月に約3500トン輸出した。
しかし、23年は前年同期比で43%少ない2000トンほどに落ち込んだ。

・訪日客、円安抑止じわり
日本政府観光局 3月の訪日客数は180万人超
外貨を円に換えて日本で使うインバウンド消費の影響が輸出同様、円買い要因となる。

旅行収支の黒字は直近2月時点で約2239億円。
資源高の影響で膨らんだ貿易赤字の約6041億円を賄うのは難しいが、「昨年の急激な円安を下支えした需給面からの円売り圧力を和らげる効果は十分ある」

インフレ圧力の緩和に合わせ輸入価格高騰に歯止めがかかるにつれ、インバウンドの回復と相まって需給面からの円売り圧力は和らいでいく可能性が高い。

・EU、生成AIに統一規制論 「メード・ウィズAI」表示案も
欧州委員会のベステアー上級副委員長 生成AI(人工知能)について欧州連合(EU)全体で規制する新法を「できる限り早く施行する」と方針
生成AIの適正利用に向けた統一ルールを設け、利用者のリスクを低減する。日本や米国もルール作りを模索する。
規制案としてAIが作成した文章や画像に「メード・ウィズAI(AIで作成)」といったラベルを表示させる案を提起し、生成AIの提供企業に説明義務を課す考えも明らかにした。

・ラピダスに追加補助2600億円、次世代半導体の開発基盤整備
経済産業省は25日、次世代半導体の国内製造を目指すラピダスに新たに2600億円を補助すると発表した。

工場の試作ラインの建設や、米IBMへの研究員派遣などに充てる。2020年代後半からの量産に向け、開発体制の基盤整備につなげる。
経産省のラピダスへの支援額は累計で3300億円にのぼる。ラピダスの量産体制づくりには総額5兆円程度の投資が必要とされ、経産省は支援を続ける。

経産省は国内の半導体拠点整備に2年で2兆円ほどの予算を投じる。
米国は5年で7兆円を支援し、欧州は30年までに官民合わせて6兆円をそれぞれ見込む。

・モルガンCEO「銀行危機でない」 米利上げ継続を予測
米モルガン・スタンレーのジェームス・ゴーマン会長兼最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に、

米シリコンバレーバンク(SVB)破綻などで金融システムが揺らぐ現状を「銀行危機とは思わない」と述べた(米モルガン・スタンレーのゴーマンCEO)

個別の銀行が危機的な状況になった原因は「銀行が資産と負債の管理を誤ったことに起因するにすぎない」「(銀行システムは)極めて健全だ。過去とは大きく違っている」

クレディ・スイス・グループの経営危機も重なり、世界では銀行規制の強化論が浮上している。
グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)は「極めて順調に業務を続けている」として「大手行にはしっかり規制が行き届いている」とさらなる規制強化をけん制した。

・半導体装置輸出、対中が4割
3月31日に発表された日本政府による半導体製造装置の貿易管理規則

成膜や洗浄工程に使う装置の先端品などが対象となり、東京エレクトロンSCREENホールディングスなど十数社が影響を受ける見通しだ。

今回の貿易管理規則は、半導体製造で回路形成などを担う製造プロセスの「前工程」に必要な6種23品目を対象としている。
輸出量の多い非先端品向けは対象外となった

中国は日本の装置輸出先の4割を占める最大市場

・対話AIの誤回答防止技術 米エヌビディアが公開
米半導体大手のエヌビディアは25日、対話型AI(人工知能)を使ったサービスの開発者向けに、AIが不適切な対応をするのを防ぐ技術の外部提供を始めると発表

AIのソフトウエアの最新技術を公開し、主力であるAI向け半導体の利用機会拡大につなげる。

・米ガソリン先物、異例の低さ
米国のガソリン先物価格が行楽シーズンを前に異例の低さとなっている。足元で1ガロン2.6ドル台
景気懸念でガソリン需要が鈍るとの警戒感が根底にある。

低調だった製油所の稼働率改善も一因だ。

物価との関連性が高いガソリン価格の下落は、インフレ圧力の低下を通じて、米国の金融政策にも影響しかねない。
主因は需要の弱さにある。
「賃金の上昇が物価高に追いつかないなか、ガソリンの消費を抑えて食料品などに資金を回す動きが広がるとの不安がある」
これに供給面の懸念解消が追い打ちとなる。コロナ禍や人手不足で製油所の稼働率は低迷し、ガソリン価格を押し上げてきたが、ここにきて持ち直しが進んでいる。

需要と供給の両面でガソリン価格の上値を重くする構図は、しばらく続くとの指摘が目立つ。これに伴い、かねての懸案であるインフレへの影響に注目が集まりつつある。

ガソリンは消費者物価指数(CPI)の算出において重要性が高く、単品では住居費や新車などに次ぐインパクトがある。ガソリン価格の伸びが鈍れば、消費者はインフレ圧力の緩和を実感しやすくなる。将来の期待にも影響する。

ガソリンの小売価格はニューヨーク連銀が発表する1年先の期待インフレ率と9割近い相関関係がある。
米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを続ける主目的は、資源高などを背景にしたインフレの沈静化だ。

ガソリンの伸び悩みなどでインフレが下火になれば、市場の利上げ観測が後退し、米金利の低下とドル安が進む可能性がある。

・日本、再生エネ目標上げ不可欠
主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合が16日まとめた共同声明は、議長国の日本に重い課題を突きつけた。2035年の温暖化ガスの排出削減幅は「19年比で60%減」と脱炭素に向けて欧米からの圧力は続く。

国は40年までに最大4500万キロワットの洋上風力発電の導入にメドをつける。導入量の上積み、前倒しが求められる。太陽光は天候に左右されやすい。陸上風力も適地に限界がある。欧州や中国は洋上風力を再生エネ拡大の柱に据える。

日本が脱炭素の主軸の一つとしている石炭火力でアンモニアを混焼する取り組みにも批判が相次いだ。
アンモニアだけを燃やせば温暖化ガスを排出しないが、本格的な商用化の目標時期は40年代以降になる。英国のシャップス・エネルギー安全保障・ネットゼロ相は「石炭の温存につながる」とし、発電へのアンモニアの活用にはG7の複数の国が明確に反対し、声明からの削除を求めた。

英国は35年までに主要市場での販売のすべてをEVなどにするよう要求した。米国は今後10年の小型車販売でEVなどを5割にする案を求めた。
米国の考えを盛り込みつつ、日本の「35年までに半減」とともに明確な数値目標としない曖昧な文言で決着させた。

世界の物流ロボットの市場規模は5年で倍増した

「ロボットは大型電池やセンサーなど電気自動車(EV)との共通部品が多い。EV普及による量産効果で部品のコストダウンも進んだ。5年前に20万ドル(約2600万円)程度だった高機能機種の価格は5万ドル程度に下がった。コモディティー化がロボットの投資対効果を高めている」

「倉庫作業員の時給は米国では20ドル程度だが、日本は1000~1300円ほど。人件費が安く、従来は相対的に物流ロボットの投資対効果は低かった。だが近年、人手不足の深刻化で倉庫従業員の賃金が急騰しており、1人当たりの採用コストは50万円との声も聞く。ロボット導入のメリットが高まっている」

――ロボットの普及が失業を増やすのか
「もともと物流業は『3K』のイメージが強く人を集めにくかったが、新型コロナウイルス下のインターネット通販の需要拡大で人手不足はますます厳しくなった。日本では24年から運輸業の労働時間規制も強化され、倉庫周りの人手不足も加速する」
「ネット通販業者も品ぞろえを広げる『ロングテール戦略』を強化しており、在庫点数も増えている。物流倉庫は巨大化の一途で、オペレーションの合理化を進めなければ、需給ギャップは埋められない。ロボットによる雇用代替を懸念するような状況では全くない」

――物流業でのロボット普及の課題は
「作業がある程度標準化している製造業と比べて、運ぶ荷物の形状や仕様も多彩で、つかむ圧力の調整なども難しい。ネット通販などは特にその傾向は強く、自動化の技術的ハードルは高い。現状でも物流業全体の自動化率は1割に満たない」
「ロボット単体の機能向上も道半ばだが、複数のロボットに人工知能(AI)やクラウドソフトも組み合わせたシステムの構築が不可欠だ。システムを組み上げるエンジニアやデータを分析する管理者など、新たな仕事を担う人の役割も重要になる」

・EV電池「本命」ナトリウム、米に強み
高価なリチウムを使わない新型電池を巡る競争
本命のナトリウムイオン電池で米新興のグローバルグラフェングループが首位
将来性があるフッ化物イオン電池ではトヨタ自動車が強みを持つ。

現在、電気自動車(EV)やスマートフォンなどの蓄電池として幅広く使われているリチウムイオン電池は主原料リチウムの採掘地が特定の国に偏っており、材料価格の高騰や安定調達の観点で逆風が吹いている。次世代電池として期待される全固体電池もリチウムイオン電池を改良した電池でリチウムが必要だ。このため、リチウムを使わない電池の開発が求められている。

「30年ころにナトリウムイオン電池が重要な役割を果たす」との予測

30年以降に実用化する見込みで、将来性がある先の世代の電池では日米が強みを持つ。フッ化物イオン電池はトヨタが首位で、総合指数は151点と2位の村田製作所の5倍以上で独走
フッ化物イオン電池は理論上リチウムイオン電池の約10倍の容量になる可能性がある。
「容量を向上させ、コストを抑えられれば、資源リスクにも対応できる」

・アリババ、大企業病 深刻
SBGは2023年に入り、保有するアリババ株の約72億ドル相当を先渡し売買契約に差し出した。世界の人工知能(AI)関連の新興企業に投資する「ビジョン・ファンド」が苦戦し、財務の守りを固めている。

アリババ株売却報道前にはアリババ集団の抜本的な再編策も打ち出されていた。
新組織は持ち株会社制で、ECなど中国コマースやクラウドなど6事業を会社として分割、それぞれのCEOと取締役会が経営する。

中国政府の締め付けなどもあるが、主要事業の業績をみると、グループが巨大化する中で経営が非効率になっていた可能性がある。

まず、主力事業で成長が鈍化しており、その上で、第2の柱の育成が遅れている。
「組織構造が年々複雑化した」ことでネット業界の激しい競争に迅速に対応できていない「大企業病」に陥っていた。

チャットGPT活用へ初会合 霞が関の業務効率化探る
政府は24日、文章やイラストなどを自動でつくる生成AI(人工知能)の活用策や課題を関係省庁で共有する戦略チームの初会合を開いた。

対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」などを使えば国会答弁案の作成や閣僚記者会見の想定問答づくりといった業務を補助できるとの期待がある。

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が定める情報取り扱いのルールに沿って運用する方針で一致した。各省庁が定めている機密情報はAIで利用せず、それ以外も漏洩などのリスクを踏まえて範囲を特定する。

「AIが新たなフェーズに入った。行政においても不確実性に臨機応変に対応することが求められる」
「AIのリスクなどについて国際的な議論を把握、確認することを前提に行政での利活用を進めていく」
「プロセスを効率的にするにあたり、将来AIは有力な補助ツールになりうる」

答弁作成では過去の議事録の参照などで役立てられるとの考えを示した。


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