20230512


食肉市場で供給懸念材料が重なっている。

家畜伝染病や牧草の生産減を招く干ばつ、エリアを広げる鳥インフルエンザ。畜産家の廃業が目立つようになり、欧州では食肉大手が処理工場の閉鎖を決めた。
世界的な「ミートショック」に直面し、日本の輸入事業者らも調達方針を再考する。

製鋼原料の国際価格が下落している。鉄鉱石は直近高値の3月中旬と比べて2割超安い。石炭(原料炭)も約9カ月ぶりの安値圏にある。

中国で期待されていた製造業などの鋼材需要の回復が鈍いことや、欧米発の金融システム不安を背景とした世界経済の減速懸念を映している。

鉄鉱石と原料炭の国際価格は、S&Pグローバル・コモディティー・インサイツが提供する日々のスポット(随意契約)価格が指標となる。鉄鉱石(中国向け、鉄分62%粉鉱、CFR=運賃込み)の5月初旬のスポット価格は1トン104ドル前後。3月中旬に133ドル強の高値を付けた後に下落した。
原料炭(オーストラリア産、強粘炭、FOB=本船渡し)も1トン230~240ドル程度と2月中旬の390ドルをピークに4割程度値下がりしている。2022年8月中旬以来の安値水準だ。

高炉で使う原料の価格は中国の需要が影響しやすい。中国の22年の粗鋼生産量は10億1795万トンと、世界の54%を占める。
「鋼材の余剰感が意識されるようになった春先から鉄鉱石など原料価格も下落に転じた」

・米国 4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月と比べた伸びが10カ月連続で縮み、下がりにくいとみられた住居費の高騰にも一服感が出てきた。ただモノとサービスの両方でインフレ圧力は随所にくすぶる。

4月のCPIで市場が注目したポイントの一つが、指数全体の3分の1以上を占める住居費の減速だ。前年同月比の上昇率は8.1%となお高いが、伸びは約2年ぶりに前月から鈍った。より足元の基調を捉えやすい前月比の上昇率でみると4月は0.4%と直近1年間の0.6~0.8%から目立って縮小している。

FRBの積極的な利上げは住宅ローン金利の急上昇につながり、住宅需要を冷え込ませた。
3月の全米の中古住宅販売価格(中央値)は1年前から0.9%下がり、11年ぶりの下落率の大きさになった。

相場の下落が借家の家賃や、持ち家を借家とみなして計算する帰属家賃の抑制につながり、粘着的で下がりにくいとみられた住居費の伸びが鈍った。

・政府、半導体装置23品目の輸出規制
日本政府による先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の対象に追加。安全保障の観点から製品や技術の流出を防ぐ。

輸出は許可制になる。友好国などとして包括許可とする米国や台湾、シンガポールなど42カ国・地域向け以外は、経産相の個別の許可が必要になる。7月の施行を予定

法令上、友好国に含まない中国への輸出は事実上、難しくなる。

・M字カーブ
労働力率は15歳以上の人口のうち、働いている人と、働いてはいないが仕事を探している失業者を合わせた労働力人口の割合を示す。

女性の労働力率を年齢層別にグラフにすると、日本では20代後半から30代にかけてでくぼみ、アルファベットのMのような形に見えることから名付けられた。
日本の女性では20代後半に高まった後、結婚や出産などを理由に30代で低下し、子育てが落ち着いた時期に再び上昇する傾向にあった。

30代後半の女性の労働力率は2010年に6割台だったが、20年は78%まで上昇した。共働き世帯の拡大など女性の就労が増え、企業などが離職防止などに取り組んできたことが背景にあり、M字はなだらかに改善しており、欧州各国のようなくぼみのない「台形」に近づいている。
一方で、正規雇用率は20代後半をピークに右肩下がりを示す。非正規での雇用が中心となるためだ。
出産などを経た女性の多くが正規雇用の立場で仕事に戻れているわけではない

・武器は多様性
ルーベンにある半導体の研究開発機関imec(アイメック),シリコンバレーで学んだ研究者らが1984年に設立した非営利組織
「考えの違う人が協力してこそ難問は解ける」「いろいろな視点、ノウハウの融合が集団を強くする」
「異なるアイデア、意見、見方がイノベーションを活気づける」
「異なる意見や文化のために議論は増える。スピードは落ちるが、多くの市場を理解し事業を大きくするのには役立つ」
「同質的な人間の集まりなら、この3年を乗り切るのはもっとむずかしかっただろう」

・ヤマト運輸、個人向け宅配便値上げ
・宅配便最大手のヤマト運輸は3日、個人が利用する宅配便の基本運賃を平均で約10%引き上げる。5年半ぶりの値上げで、今後は年度ごとに見直す方針
佐川急便も約8%の値上げ

宅配市場は荷物の小型化で数量増が続く。燃料費や人件費の高騰対策に加え、多重下請けのなかで業務委託先の待遇改善を急ぐ。トラック運転手の残業規制が強化される「2024年問題」にも備えを迫られている。
「変化の激しい環境を適切に反映する。配送パートナーの待遇改善も進める」

国土交通省によると、電子商取引(EC)需要の拡大で21年度の宅配便荷物数は7年連続で過去最高を更新した。ヤマトはシェア46%を占めており、20年度に初めて20億個を突破し、21年度には22億個を超えた。22年度も過去最多を更新するペースだ。

ECは安価な小型荷物が多く、配送の委託費などは膨らんでいる。ヤマトHDの23年3月期業績は増収減益見通しで、荷物増と利益が連動していない。

24年4月からトラック運転手の年間の時間外労働時間が960時間に制限され、人手不足はさらに深刻になる見込みだ。これまでのような物流体制がストップしかねないとの警戒感が広がる。

・日本のフリマアプリ、海外利用急増
・日本のフリマ(中古品売買)アプリで海外からの利用が急増している。メルカリの海外利用者数は2023年2月に前年同月比約3倍に増えた。

越境フリマの売れ筋ランキングの上位にはアニメのキャラクターグッズやトレカなど嗜好品の「レア物」が並ぶ。高級ブランドの時計やバッグの取引も多い。
「日本の商品は扱いが丁寧で、中古品でも品質に信頼がある」

越境ECはコロナ禍で市場が急速に伸びた。21年の中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は20年比約9.7%増の2兆1382億円で、米国消費者による購入額は25.7%増の1兆2224億円だった。


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