20230531


・世界景気減速にシグナル

市場で世界景気の減速を示唆するシグナルがともっている。

商品相場では銅が今年の高値から2割安、亜鉛が3割安、アルミニウムが2割安などと下落が目立つ。特に銅はインフラや自動車、家電製品など幅広い産業で使われ、価格は景気を「診断」するように先行して動く。「ドクター・カッパー」とも呼ばれ、値動きが注目されている。


銅価格の下落が示すのは、世界の銅需要の6割を占める中国経済の停滞懸念だ。

「中国景気が立ち上がってくる兆しはなく、商品価格が上がる状況にはなりにくい」


債券市場では米景気の先行きを不安視する見方が増えている。

期間が短い米国債利回りが、長いものを上回る異例の状態を「逆イールド」と呼び、景気後退のサインとされる。

満期まで2年の国債と10年の国債を比べると、逆イールドの状態が26日時点で226日間続いている。

背景には米連邦準備理事会(FRB)によるインフレを抑え込むための金融引き締めが、景気を下押しするとの懸念がある。

コンテナ船市況は欧米の消費の弱さを反映し低迷が続く。


・ドクター・カッパー 経済の変調いち早く「診断」

▽…銅は幅広い産業で使われるため、需要動向が世界の経済状態を映し出しやすい。その価格は景気の回復局面では上昇し、景気の下降局面では下落する傾向が強い。あらゆる経済活動の成果を集約する必要があることから四半期に1度の頻度でしか公表しない国内総生産(GDP)などの経済指標と比べて、価格動向から世界経済の変調をいち早く診断できるため「ドクター」の異名を持つ。


▽…銅価格の国際指標となるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物価格は、過去にも世界経済の変化に敏感に反応してきた。1997年のアジア通貨危機時や2008年のリーマン・ショック、20年の新型コロナウイルス感染拡大時といった世界的な経済ショック時には、銅の価格は経済指標に先んじて急落した。

▽…最近では脱炭素社会の実現に不可欠な金属の一つとしても注目が集まる。脱炭素化に伴い電気自動車(EV)や風力発電など再生可能エネルギーの普及が進むと、EVや再エネ発電設備の内部配線などに使う銅需要が大きく増える



トヨタ自動車と独ダイムラートラックは30日、商用車分野で提携すると発表した。トヨタとダイムラーが株式公開を目指す持ち株会社を2024年12月までに設立し、日野自と三菱ふそうが傘下に入る。トヨタとダイムラーの持ち株会社への出資比率は同じ割合とし、統合後に日野自はトヨタの連結子会社から外れる。


S&Pグローバルモビリティの調査によると、2021年のダイムラーの中大型トラックの販売台数は約36万5000台で世界2位。日野自は小型トラックやバスを含めて15万台(22年3月期)で、中大型トラックの分野では世界最大手規模の連合になる。

今回の統合で日本のトラックメーカーは日野自動車と三菱ふそう、いすゞ自動車とUDトラックスの2陣営に集約される。

「規模のメリットがある。いすゞ・UDとシェアが同等になる」

佐藤氏は「CASE時代を生き抜くには日本の商用車事業は世界と比べて規模が小さく、各社が単独で戦うことは難しい状況だ」


トヨタとダイムラートラックが株式公開を予定する新たな持ち株会社を設立し、東京証券取引所プライム市場などに上場する予定だ。持ち株会社は日野自と三菱ふそうを完全子会社とする。その中でトヨタの出資比率が下がり、連結子会社ではなくなる見込みだ。


22年3月に明らかになったのが日野自による排ガスデータの改ざんだ。排ガスの試験の過程で従業員が装置を意図的に取り換えるなど悪質な手口が発覚。国土交通省が立ち入り調査し、日野自はトラックやバスの国内出荷を停止した。


今回、新設する持ち株会社は株式公開を予定しており、ダイムラートラックだけではなく、一般株主から資本を入れることになる。トヨタにとってみれば出資比率が下がることで、連結業績への影響を抑えることができる。


トヨタの佐藤恒治社長「よりよい関係を作っていこうとしてきたが、我々が日野を支えることへの限界も正直ある」


トラック・バス部門の成長には脱炭素対応が不可欠としたうえで「解決するのは唯一、規模の拡大しかない。今回の統合は決定打になる」と語った。中大型商用車の世界販売台数は年350万台程度とされ、シェアは10%前後。このため、スケールメリットを生かした研究開発が競争力に直結するとみる。

長距離走行が必要なトラックではバッテリー重量が負荷となる電気自動車(EV)と比べ、燃料電池車(FCV)の優位性を築きやすい。

日本の空き家総数はこの20年で約1.5倍(576万戸から849万戸)に増加


人口移動を容易にするためでも、豊かな住生活を実現するためのセカンドハウスでもない空き家が存在します。いわゆる「その他空き家」です。人口減少率が高い地域ほど、「その他空き家」率も高くなる傾向があります。


人口増加地域では、それに合わせて住宅が建てられますが、人口減少地域では、耐用年数の長い住宅という財はすぐには除却されません。このため、人口減少率が高くなれば「その他空き家」率が高くなるのです。


2013~18年の間に人口が1%減少した地域では、「その他空き家」率が約0.5%上昇していました。さらに、13年の「その他空き家」の約6割は、5年後もそのままでした。


縮小方向の速度が遅ければ、地方部を中心に居住目的のない空き家が増加します。こうした空き家が適切に管理されなければ、周囲に衛生上、防犯上、防災上の外部不経済を発生させ、地域環境が悪化します。

このため、15年に「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)」が施行され、管理状態が非常に悪い「特定空家」に対し、行政代執行を含む強い介入が可能になりました。


2018年発表の地域別将来推計人口によると、全国1682自治体のうち、45年時点で15年比で人口が増える市区町村はわずか94自治体しかない。全体の5.6%にとどまる。都市部やその近郊のベッドタウンなどが目立つ。全国の9割超の自治体で人口が減少することになる。


人口が一定数を割り込めば、公的サービスなど自治体の機能を維持するのが難しくなる。交通網や物流網などのインフラや日常品を扱う商店の確保など、住民が地域を離れないようにする施策が必要となる。

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