20230903_半導体

    • 半導体メモリー、1年で4割安く
      事実:

      • 半導体メモリーの市況回復が遅れており、主要価格が1年前から4割以上下落している。

      • 韓国のサムスン電子は2023年4~6月期の決算で大幅な営業利益の減少を発表し、市況が底打ちしたとの楽観論が覆された。

      • パソコンやタブレットの需要が拡大したが、新型コロナウイルス危機で需要が一巡し、スマートフォンの買い替え需要も伸び悩んでいる。

      • 米IT大手がデータセンター投資を減少させたこともあり、在庫が供給網の各所に積み上がっている。

    • 推論:

      • メモリー製品の主要価格が下落している要因には、拡大したパソコンやタブレットの需要が一巡したこと、スマートフォンの買い替え需要の低迷、米IT大手のデータセンター投資の減少が影響している。

      • メモリー製品の価格下落は、主要な製造業者が生産調整を行っても解消に時間がかかる状況であることを示唆している。

      • 一部の半導体メーカーは減産に踏み切っており、業界内では在庫水準が7~9月に改善するとの見方もあるが、需要が底ばい状態であるという懸念も存在している。

      • 新たなけん引役として人工知能(AI)などが存在するものの、スマートフォン市場ほどの需要を代替するだけの勢いはない。

      • 価格が下げ止まっても市況の回復が緩慢な展開になる可能性があり、需要の持続的な回復には時間がかかるかもしれない。

    • 革新機構、半導体材料大手のJSRを1兆円で買収
      事実:

      • 政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)が半導体材料のJSRを約1兆円で買収することを決定した。

      • JSRは世界シェアの約3割を握る半導体の重要素材で、フォトレジスト(感光材)と呼ばれる素材の世界シェアで首位を保持している。

      • 政府は半導体を戦略物資と定め、半導体産業を支援し、素材から製品までの半導体サプライチェーンを強化するために巨額の支援を行っている。

    • 推論:

      • JICがJSRを買収するために新会社を設立し、みずほ銀行が融資することで、非上場化および大胆な事業再編を実施しやすくなる環境を整える意図があるようだ。

      • 政府は国内の半導体産業を支援し、半導体の国際競争力を強化するためにJICによる買収を後押ししている。

      • 半導体業界では、半導体の微細化が進む中で素材の重要性が増しており、JSRの買収はその供給網の安定性と競争力向上に寄与するものと考えられている。

    • 経産省、SUMCO工場に750億円
      事実:

      • 経済産業省は半導体素材大手のSUMCOが佐賀県に新設するシリコンウエハー工場に最大750億円を補助することを決定した。

      • SUMCOは半導体素材のシリコンウエハーで世界シェア2位を持ち、信越化学工業に次ぐシェアを保持している。佐賀が製造本拠地で、最先端シリコンウエハーの製造・加工工場を伊万里市や吉野ケ里町に建設する計画であり、2029年から供給を開始する予定。

      • 経済産業省は製造設備の投資総額の3分の1を支援することで、国内での半導体素材の量産を支援する。

      • 日本では半導体関連に対して2年で2兆円の予算を投じ、TSMCの熊本工場や他の企業の設備に対する補助金も確保している。

    • 背景:

      • 半導体は経済安全保障上重要な分野であり、サプライチェーンの分断リスクなどから、各国が国内生産の拡大を進めている。

      • 日本も半導体産業を強化するために、経済産業省が予算を確保し、製造設備の拡充や関連企業への支援を行っている。

    • 考察:

      • 半導体は現代の経済や技術において極めて重要な役割を果たしており、その供給網の安定性と競争力を高めることは国家戦略の一環とされている。

      • 政府や産業界は国内での半導体関連の生産拡大を進めることで、外部リスクに対する耐性を高め、経済の安定性を確保しようとしていると言える。

    • 半導体素材量産を支援
      事実:

      • 経済産業省は半導体素材大手のSUMCOの新工場に最大750億円を補助すると正式に発表しました。

      • 新工場は佐賀県に建設され、最先端シリコンウエハーの製造・加工工場として機能し、2029年から供給が開始される予定です。

      • SUMCOは半導体素材の分野で世界シェア2位で、シリコンウエハーの生産で世界シェアの5割を占めています。

      • 経産省は半導体の製造に必要な素材を日本国内で量産することを経済安全保障上の重要な課題と位置付けており、この補助措置を通じて半導体のサプライチェーンの強化を図ろうとしています。

    • 背景:

      • 半導体は現代の産業において不可欠な要素であり、その供給の安定性は経済と国家安全保障にとって重要です。

      • 日本は半導体産業において素材から製造、加工までのサプライチェーンを強化し、国内外への安定供給を確保するための取り組みを進めています。

    • 考察:

      • SUMCOの新工場への補助措置は、日本が半導体関連の分野での競争力を強化し、経済安全保障を高めようとする一環としてのものと考えられます。

      • このような措置は、半導体市場における国際競争激化と供給リスクの高まりを踏まえて、国内産業の基盤を強化するための重要な一手です。

    • 「半導体不況」越年へ TSMC、通期も減収幅拡大
      事実:

      • 半導体不況が続いており、台湾積体電路製造(TSMC)も2023年4~6月期において約4年ぶりの減収減益となりました。

      • TSMCのCEOである魏哲家は、生成AI向けの需要は増えてきているが、他の分野の落ち込みをカバーするには至っておらず、現在の市場環境は厳しいと説明しました。

      • TSMCの4~6月期業績は大幅に落ち込み、純利益は前年同期比で23.3%減少しました。これは米中貿易戦争の深刻化や市況の冷え込みが影響しています。

    • 背景:

      • 半導体不況は、中国の景気減速や米国の金利上昇などにより、パソコンや個人消費、設備投資が低調であるために引き起こされています。

      • TSMCを含む他の半導体大手も同様に業績の低迷を経験しており、市場の本格的な回復は2024年春以降になると見られています。

    • 見通し:

      • TSMCのCEOは、不況からの回復について「本格的な半導体需要につながるのは2024年からになる」との見解を示しています。

      • 生成AI向けの需要が増えつつあるものの、市況の回復には時間がかかるとされています。特に生成AI向け半導体の生産には特殊な工程が求められ、すぐに生産ラインを増設することが難しいとされています。

      • 米IT大手は過去数年にわたりリストラや投資抑制を進めてきましたが、生成AI向けの大規模な投資が始まるタイミングが半導体市況の回復に影響を与える可能性があります。

    • 注目点:

      • 生成AI向け半導体の需要増加や、米IT大手によるデータセンターの新設・拡張などは、半導体業界の回復に寄与する可能性がありますが、回復のペースはまだ不透明であり、注意深く見守る必要があります。

    • 半導体装置など23品目、輸出規制
      事実:

      • 政府は先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の規制対象に追加しました。これにより、中国への輸出が難しくなる可能性があります。

      • 日本から規制対象品を輸出する場合、友好国である米国や台湾を含む42カ国・地域向け以外は経済産業相の個別の許可が必要とされます。

    • 背景:

      • 米国が2022年10月に中国への半導体関連輸出規制を強化したことを受けて、日本も同様の措置をとったものです。これにより、先端半導体の製造に不可欠な装置の輸出が制限されることになります。

    • 影響:

      • この規制により、中国側は先端半導体の製造に必要な洗浄、露光、検査装置などの輸入が難しくなるとされています。

      • 規制品を輸出する際には、メーカーは製品の仕様や納入先の用途などを経産省に申請する手続きが増えることになります。一方で、42カ国・地域向けは手続きが簡略化される予定です。

    • 国際的な動向:

      • 米国と日本は、半導体関連の輸出管理で歩調を合わせ、半導体のサプライチェーン強化や相互輸出を通じて経済安全保障上の理由から協力しています。

      • オランダも同様の措置を取り、半導体関連装置の輸出管理を強化する方針です。オランダのASMLはEUV露光装置の大手メーカーであり、日本も半導体製造技術に強みを持っています。

    • 中国の対抗措置:

      • 中国は米国の規制強化に対抗して、マイクロン・テクノロジーの製品の調達を停止するなどの措置をとっています。また、半導体や電子部品の素材となるガリウムやゲルマニウム関連品目の輸出を許可制にする方針を示しました。これにより、日本の一部の半導体素材メーカーに影響が出る可能性があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?