20230409


・千葉県印西市には国内外のIT企業が使う巨大データセンターが立ち並ぶ。
都心に近い上、地盤も固く自然災害や停電に強い。「日本は需要の伸びも大きく、印西は戦略的な立地だ」
・東京や近郊の施設規模を示す電力容量は22年末で合計865メガワットと、アジア最大の北京の半分だ。3~5年後には1970メガワットまで拡大し、北京(3~5年後に2069メガワットの見通し)に近づく。
・建設が増える第一の理由は日本国内の通信量の拡大
企業のDXやリモートワークの普及でサーバーを稼働させるデータセンターの需要が膨らむ。データ流通の遅延や個人情報漏洩のリスクを減らすため、サーバーを海外から移す流れがある。
・また、中国回避の動きが追い風に。米中摩擦が激化するにつれ、経済安全保障の観点から中国とのデータのやりとりを敬遠し、日本を選ぶ動きが出始めている。
・日本は北米とアジアの両大陸の間に位置し、メタやグーグルといった米IT大手が膨大なデータを動かす中継点となる。「中国リスクの懸念が高まり、信頼できるアジアの玄関口として日本の重要性が相対的に上がった」
・日本にとってデータセンターの集積はデジタル産業の出遅れを取り戻すチャンスになる。大容量のデータを高速処理できるインフラが発達すれば「あらゆる産業のデジタルシフトが加速し、国際競争力が高まる。海外から優秀な人材も呼び込める」
・今の勢いを維持するには割高なコストを抑える対策が欠かせない。
東京の電力コストは中国本土の2~3倍。データセンターは電力消費量が大きく、平均的に1棟を動かすために小型火力発電所の半分ほどの電力が必要とされる。電気代の高騰が続けば負担は大きい。
・BCP(事業継続計画)の一環で、地震などの災害リスクが比較的小さい地域にデータセンターを置く企業も多い。
・大量の電力や冷却水を利用するため、アイルランドやシンガポールなどでは新規の建設を規制する動きがある。「デジタル化の進展に不可欠な施設であるため、エネルギー供給の効率化が喫緊の課題だ」
・世界の市場規模は拡大傾向が続いており、2027年には4100億ドル(約54兆円)と22年から約3割伸びる。

・原産地証明発給
関税の削減・撤廃の対象と認めてもらうために必要な「原産地証明」の日本での発給数が2022年に過去最多のおよそ38万7000件になった
・日本や中国、韓国など15カ国が参加する東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)が発効したことが押し上げた。
・RCEP向け証明書を国別でみると、中国向けが5万9630件、韓国向けが2万9418件で、中韓向けの輸出での使用が98%を占めた。
日本にとってRCEPは中韓を含む初めての経済連携協定(EPA)であり、中韓向けの輸出の底上げにつながった実態を映す。
・「RCEPの原産地証明の発給は他の協定に比べて異例のスピードでのびた。企業が中韓との自由貿易協定(FTA)を結ぶことへの期待が高かったことがうかがえる」
「関税削減は時間をかけて進むため、真価が発揮されるのにはもう少し時間がかかるだろう」

・世界でのテック人員のレイオフ(一時解雇)16万8000人超
大手が新型コロナウイルス下で進めた積極採用の反動が響き、他業種にも削減の動きが広がり出した。
・米メディア報道などを基に世界のテック企業の人員削減を集計する米雇用情報サイト「Layoffs.fyi」
・テック大手は新型コロナの感染拡大局面でもデジタル経済の拡大基調は続くとみて、強気の採用戦略を維持した。グーグルとメタ、アマゾン、米アップルの4社の従業員数はピークだった21年には計200万人となり、それまでの5年間で3.6倍に増えていた。
22年春に始まった米利上げに伴う景気減速懸念で企業や個人がIT支出を絞る傾向が強まり、各社は成長戦略の見直しを迫られた。23年3月に入ってからもメタが1万人、アマゾンが9000人の追加削減をそれぞれ発表するなど、雇用調整が続いている。
・米国では人員削減の動きはテック業界以外にも広がりつつある。
米企業・政府機関の人員削減数は27万416人
業種別ではテック企業が全体38%、金融11%、小売り8%
「米経済は依然、雇用を生み出している」としつつも、金利上昇などによって「大規模なレイオフは続きそうだ」

・ドイツ政府は年末までにLNG設備を国内需要の3分の1を賄える計6基体制に増強する。
ドイツのガス貯蔵率は5日時点で64%。欧州連合(EU)平均の55%より高く、独政府が安定目標として定めた「2月1日時点で40%」を大幅に上回る。フランスは28%、イタリアは59%
・ドイツ政府は当初、2023年春までにガスが底をつく最悪シナリオを想定していた。ガス輸入の過半をロシア産に頼ってきたが主要7カ国(G7)が経済制裁を強めるとロシアは供給を削減。主要パイプライン「ノルドストリーム」の供給が22年8月末から途絶え、9月には爆破も生じた。
ドイツは「非常警報」を発令し、ガス枯渇回避に奔走、越冬できた理由は大きく3つ:
・輸入インフラの構築や調達先の分散による供給確保だ。ドイツで初となるLNG受け入れ設備の運転を開始。異例の急ピッチで建設を進め、タンカーでガスを運べるよう23年末までに浮体式設備を計6基に増やす。
計6基が稼働すると、年300億立方メートル規模のガスを供給できる見通しだ。独政府によると21年の国内総需要(約900億立方メートル)の3分の1に相当する規模になる。
ショルツ首相はロシアから中東へ調達先を分散するため「エネ外交」に奔走
・2つ目は「節ガス」で需要を抑制
2月の産業向けガス消費量は過去平均の18%減、家庭・事業者向けは17%減
オフィスの暖房需要を抑えるため在宅勤務に注目が集まり、公共施設の暖房を最大19度に控えるなど節約に取り組んだ。
・3つ目に記録的な暖冬も追い風になった。独気象局によると平均気温は1961~90年比で2.7度ほど温暖だった。12月末に20度を超えた地点もあったという。
・「23~24年冬に向けた準備が重要な課題だ」と需給逼迫を警戒する。再び厳冬となったり中国のゼロコロナ政策撤回でガス需要が膨らんだりする可能性があるためだ。


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