放課後ランプ【毎週ショートショートnote】
実は同級生の翔のことが好きだ。
わたしが打ち明けたら、由衣は言った。
「翔に好かれたい?
願いが叶う魔法のランプがあるから、放課後理科室に来て」
由衣は物理化学サークルの部員だ。
理科室の物置から使用禁止のアルコールランプを出して、蓋を上げ、着火した。青い炎があがる。
「手をかざして」
炎に両手をかざした。
「念じて。願いが叶う時、ランプの精が現れるらしい」
(翔がわたしを好きになってくれますように)
5分経過した。誰も現れない。
由衣はビーカーに水を入れて三脚と金網の上に置き、ランプで熱し始めた。
「5分で現れない日はダメみたい。紅茶でも飲もう」
「由衣はランプの精見たことあるの」
「ないけど、実際に見た先輩がいるって」
「そっか」
わたしはカップを3つ出した。
「2人だよ?」
「あ、うちの習慣で、お茶は仏壇にもあげるからプラス1個。
そうだ、ランプの精にもあげようよ」
その時、誰か微笑んだような感じがした。
翔から告白されたのは、その3日後だった。
(411字)
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#毎週ショートショートnote に参加しました。
アルコールランプが使用禁止になっていたなんて・・・衝撃!
知りませんでした。
石綿金網は、アスベストだからなぁ・・・と思っていたらやはり禁止で、今はセラミック金網だそうです。
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【今日の見出し画像】みんなのフォトギャラリーで「アルコールランプ」を検索しても出て来ない・・・
そりゃそうだよね、学校にも置いてない(はずだ)し、みんな知らないよね~、というわけで、Canvaで作ってみました。
アルコールランプのイラストは「いらすとや」さんのを使いました(さすがいらすとやさん、何でも揃ってる)。
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