時間論（956文字）

　一日が短い。小学生のときに感じていた一日の長さと、高校生のときに感じていた一日の長さと、大人になっていま感じている一日の長さが、同じなわけがないと感じる。これはよく聞く話であるが、それもそのはず、実際に短くなっているのだ。

　行きよりも帰りの方が早く感じる。それは見た景色＝経験済みのこと、が脳にチェックマークをつけるような刺激をいちいち与えない代わりに、単純作業として生活に組み込まれる、バイト初日と2週目でもだいぶ時間感覚が短くなっていると感じるようなアレであるが、そういうことではなく、そういうことを人生に置き換えて説明しようとしている人間が目の前にいたら鼻の頭をグーで殴ってやれ！サメの撃退法で事足りる！違うねん、実際に短くなっているねん。

　「物心」って知ってますよね。ものごころ。物心がつく前の記憶がなぜ無いのか。（せいぜい保育園くらいからの断片的な記憶しかないが少なくとも僕の場合は。）人は産まれ落ちてオギャーオギャーと言っているが実際に自分がオギャーオギャーと言っていたことに100万円を賭けれますか？賭けれないでしょう。わかんないから。ではなぜ記憶がないのか。それは時間がめっちゃ長かったからなんです。一日の時間がめっちゃ長かったから。さっきのバイトの感覚で言うと、生まれ落ちて五感いやそれ以上の研ぎ澄まされたあらゆる感覚が初めてのことで、めっちゃ新人、大型新人現る！現る探検隊！現る探検隊！ちょっと詰めて。って。そら一日が果てしなく長く感じるよね、っていう話をいま目の前の喋るクッキングペーパーが共感ありきの語尾で丸め込めようとしてきたら逆にグシャっと丸め込んでやれ！ちゃうねんちゃうねん、実際にめっちゃ長かったねん時間が。

（そんで記憶がない理由は記憶を司る脳の部分がまだ出来上がってなかったからちゃうの？一日の時間の長さと赤ちゃんの頃の記憶がないのは全く関係ないやろ。むしろ新鮮な体験が記憶に残りやすいんやとしたら言ってることめちゃめちゃやで自分。）

　時計ってなんで在るか知ってますか。日没ってなんで在るか知ってますか。季節ってなんで在るか知ってますか。全てまやかしで、あなたの体内時計を狂わしているんです。あなたが正しい。あなたが一番。誰がウケてたかじゃなくて、何が面白かったかです。以上。