『シンデレラストーリー』感想
シンデレラストーリー
9/15 13:00
商業ミュージカルにまとわりつく固定概念を溶解していき、ゆっくりと解放されていく、そんな作品だった。
①内容について
主にディズニーアニメーションで知られている「シンデレラ」をモチーフにした作品。私は実写映画も観た。実写ミュージカル映画も観た。ミュージカル映画のシンデレラは胸にしか目がいかなかった。おっと冗談だ。
本作では、前半にチャールズ王子、後半にシンデレラにフォーカスがあたっている。アニメ・映画よりもシンデレラが出るのが遅かった気がする。大野さんの見せ場であるということか。実際、大野さんのコミカルさと可愛さは見応えがあり、客席を温めてくれた。そしてチャールズナンバーがとても綺麗な声だった。その後の展開は原作通りだった(と思う)。ネズミの役割がなんとなく薄かったか。もっと頼りになるかもっとジタバタしつつもシンデレラ応援に全力か、もっと欲しかった。結局、お父さんのチューリップの球根への投資はどうなったのだろう。王国が買い取るのも良いと思ったが。お母さんは最後シンデレラが妃になることを喜んでいたのかわからなかった。アンミカさんのセリフでは「お母さんは本当はちゃんと見てて優しいのよ」的なことを言っていたが..。最後無理くり感があったな。姉妹に関しても「次は負けないわ!!」.だけ言い放つより、「ひどいことをしたわ、やはり私の心がすさんでたのね、次は私よ!」と猛省した上で望んだ方が、最後スッキリ見れたかも。
②美しい
なんと言っても舞台上に散りばめられた草木花がとても見応えがあった。造花だと思うが、酸素を感じるような。また、下手上部にあった「Cinderella story」のロゴもとても素敵だった。全体的にスクリーンに映し出されるマッピングのクオリティが高く、少し雑に作られているシーンもあり、そこもまた親しみやすさを演出した。"かしこまらない美しさ"により笑いやすい環境が構築されており、物語が進むにつれ背筋が緩まっていくのがわかった。(特に王様と王妃のカラオケのシーンから変わったか..)
衣装については、カラフルでドライな印象を得た。その点、シンデレラのドレスは少し騒がし過ぎたかとも思った。もう少し大人びた服装の方が変わった事がよくわかる。子供の恋愛に見えた。
③クオリティ
海外ミュージカルからは感じることのできない面白さを感じた。アウェイでなくホーム。いわゆる日本人という身内で行われていることで、親しみやすい作品になっていたと思う。
アンミカさんの歌声はすごい綺麗!というわけではないが、グォーーっという、なんというかクーラーの初期動作のような、そんな勢いのある声の力。ネズミ達の最初の曲は聞こえなかった。ボソボソとラップのような..。①で述べたように、もっともっとパワフルに騒がしく動いてほしかった。アンサンブル感が否めなかった..。まりゑさんは唯一無二のアドリブ力。おそらくとても頭が良い。逆に決められた(決めすぎた)動きが、少し窮屈そうにも見えた。靴をお湯で温めるシーンも、また決め事少なく、まりゑさんワールドもっと見れたら、ゆいPさんからの相乗でまた違った笑いになっていたかと思う。彩吹さんの歌声綺麗だった。しかし演技が少し残念だった。役をもっと誇張しても良いはずなのに、一歩後ろにいる感じが、もどかしかった。セリフの発声も自信なさそうな(そんなことないと思うが)そんな感じがした。吉野さん、入野さんとても良かった。安定、安心してみられる。大野さんも透き通った声、2枚目から3枚目をうかがわせる演技、どれも良かった。佐藤アツヒロさんはとてもかっこよくドラァグクイーンのように振る舞っていて美しかった。だからこそ、よりシンデレラへの愛を見たかった。
ラストのカーテンコールはもっとバリエーション欲しかったか..。(超個人的)
もう1笑いあっても気持ちよかったかも。ただ全体通して、とても緩やかな感情で見れた。
ジャパニーズミュージカル喜劇。これに尽きる。
1階席 7,000円。2階席 4,500円。
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