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みんな人に話を聞いてほしいし肯定して欲しい

感想屋さんを始めようと思ったときには、そこまでたくさん依頼が来るとは思っていませんでした。
きっと寂しい人も褒められたい人も読んでもらいたい人もいるから、月に何本か頼まれるくらいかな~という想定だったので、じゃあ1コインからにしよう!くらいの気軽な気持ちでした。

でもいざふたを開けてみたら、問い合わせも依頼もものすごい数がありました。
ほとんどが自分の同人誌や自分の作品を読んでほしいというご依頼で、推し作品(小説や漫画以外にも、ゲームやドラマやアニメや芝居やアイドル等いろいろ)に触れて欲しいという依頼もたくさんありました。

お金を払ってまで感想をもらってどうするのか、お金を払ってまで人にやらせてどうするのか……みたいな意見を口にする人もいましたが、私は依頼のメールをやり取りする中で(みんなお金を払ってでも自分の作品を読んでほしいし感想が欲しいし、自分の推し作品を誰かに楽しんでほしいし、それを自分と共有して欲しいんだな)と感じています。

友達と共有すればよいというご意見はもっともですが、身近にそもそも同じ嗜好を持つ友達がいないパターンもありますし、身近な人間相手には口にしづらい動機で推し作品を浴びて一緒に楽しんでほしいと望んでいるパターンもあります。
私はそういった気持ちは尊重されるべきだと思うし、否定されるべきだとは思いません。

もうハードの生産が終了している古いゲームをプレイして自分と一緒にそのゲームの話をして欲しいとか、古いドラマを見てその中の推しCPの話をして欲しいとか、自分の推し劇団の公演映像を見て自分と語りあってほしいとか、そこにあるのは「誰かと語りたい、つながりたいという欲望」ではないでしょうか。

何らかの理由でその望みが満たされない人がいても、なかなかそれを満たす機会はありません。
たとえばホストクラブでもキャバクラでも、行けばおしゃべりはしてくれるかもしれないけど、推しアニメ全200話を見てくれるかといったらそんなことはないですよね。
推し番組1年分を見てくれとかも、さすがに対応はしてくれないでしょう。

そういうときに感想屋さんに「一緒にこの作品についてお話ししたいです!」と言いに来るのはある意味健全だと思うし、そこで取り上げられた作品が“お金を払わないと浴びてもらえないような作品である”ということにはならないと思います。

そういう動機でお声掛け下さる方が、仮に私に数年分の長期シーズンもののドラマを見せようとしたとも、まったく嫌悪感もなければ迷惑だという気持ちもありません。
むしろそこで思うのは「これまで大変だったよね、わかる!」です。

だって私だって、そういうふうに誰かと語りたいと思うものはあるし、見て欲しいものもあるから。
でもいくら「これ見て!」って言っても長期シリーズとか、配信でないと見れないものとかは視聴が難しかったりするし、ソシャゲだったら時間の関係で手を出せないとかもあるし、現実的には難しかったりします。
古いものだと、古いと言うだけで敬遠されることもあります。

そういう人に向けてのサービスがこれです。
だからたとえばソシャゲをプレイして感想を聞かせて欲しいと言われたら、DLしましたよとかインストールしましたよとか、初めてのガチャはこんなキャラでしたよとかご報告したり、この子可愛いとかこの子興味あるかもとか、DMでそういう話もします。

ストーリー読むだけなのでプレイしないとか言うこともしないので、ちゃんとゲームそのものもプレイもします。そうやって「これ楽しいね!」というのを相手と共有するのが、おそらく「相手の本当に望んでいること」だと私は思います。

同人誌の感想だってそうで、とにかく褒めて欲しい、モチベーションが上がらないから励ましてほしいというのだって「わーすごい頑張ってるじゃん!めっちゃえらい!ここんとこの表情とかすごいえっちじゃん~!」みたいなこと(※あくまで例です)を言われて、それに対して「そうなんだよこれはああでこうで…」みたいな話をしたいという方が多いのだろうなと感じています。

そんなふうにして自分を分かって欲しい、自分のことをひとに話したい、誰かと時間を共有したいという望みを抱いている人を私は否定したくありません。
笑顔で話を聞いてくれる都合のいい友達みたいな人が欲しい、という望みそのものは周囲が自分に対してそう振舞うべきだという歪み方さえしなければ良いものではないでしょうか。誰にだってそういう望みはあるし、それを馬鹿にするのはどうかと思います。

自分はそんなことしたくない、人間関係を構築して深く自分を知ってもらってから作品に対してもリターンが欲しいのだ、と考えるのはもちろん自由です。でもそうではない人もいるし、それに関してもまた自由なのだとご理解いただきたいなと思います。

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