オールドファッションカップケーキ
マグさんと見た!30×5話なので幸せを2時間半でしっかり浴びました。
別人かと思った
スリルミーにまだめちゃくちゃになっているため、「彼」の俳優さんが外川役だったことをきっかけに見ました!!すごい!!演技と演出って本当にすごい。
スリルミーは広い(少なくともうみねこep1より広い)舞台の上で2人きりで動いたり話したりするので、スーツを脱げば布がずれる音がするし足音も響くし、そもそもストーリーがかなり重くて愛憎ひしめく感じなので派手に明るい場面もないし喧騒とかも存在しない。そんな作品の半分を占める俳優さんたちはどこか影があり、儚げで、魅力的というか蠱惑的な雰囲気があった。振り返るだけで舞台が寂寥感の満ちる空間になり、胸がグッと苦しくなる。
でもオールドファッションカップケーキはウルトラハッピードラマなのでそんなことはいっっさいないです!!!!!すごすぎる。彼と同じ顔してる(同じ俳優さんなので)のに、明るくてどこか可愛らしくて何も言わなくても相手が好きなのがわかる顔をしている。
しかも全く違う役をやってるから、ってこともなく「自分の能力への自信も、他人に愛されてる自覚もあり、相手に言って欲しい言葉のために打算的に動ける」みたいなところは彼も外川も一緒な上で全然雰囲気が違う。もちろん誠実さや献身や他人への信用などの根幹部分が違うので違う人なんだけど「自信たっぷりに笑う」みたいな演技も全然違う顔でびっくりした。
こんなに映画見てるのにいまだに俳優さんたちの演技の凄さにたまげてしまう。すごいね…楽しいね…。
誠実さ、でいうとスリルミーの彼が子供を誘拐するシーンとかは露骨に「誠実な青年」を演じてるのを演じてたんだけど、その時の拭えない胡散臭さや怪しさみたいなのが「誠実な年下」の演技の時はちょっともなかったのが凄かった。だってあんなに「信用してはいけない」を体現してたのに、「信用せざるを得ない誠実さ」の権化として野末さんにくっついていた。
あと外川は1話が始まった瞬間からすでに野末さんに恋して何年も経っており、「同性愛は気が付かれにくい」というのを本人が実感してるせいもあって1話冒頭のしゃんとした空気のまま永遠に口説いてくるのも面白かった。口説く時に露骨にデレるとかではなく、視聴者と野末さんは知らないけど毎秒口説き、デレてる男だった。だから「明日は10時で」も「好きな人で抜いてます」も「この書類確認してください」と同じ温度で話してくる。
でもそれ野末のせいでもあるよ!!!!
社内でも男女問わずに人気があり、仕事もできる野末さんの魔性っぷりが本当にすごかった。
何話目かの合コンのシーンで「えー、若く見えました!」って当たり障りのない会話を若い子とする時に「そう言ってもらえると嬉しい」って当たり障りない感じで返すのを見た時が個人的にかなりグッときた。
野末さんは社交性に富んでて人の気遣いもうまくて…って散々描写されてるんだけど、このシールは明らかに「同じ温度で話を返している」っていう野末さんの処世術みたいなのが見えた気がした。野末さんはこのシーンの合コンに一切乗り気ではないし、外川のことを気にかけてるし、本人も恋とか恋人に意欲的ではないのが明らかなんだけど目の前に他人がいて自分を褒めてきた時にそういう事情は一切見せずに相手を見て「君に褒められて嬉しい」みたいな顔をするのがめちゃくちゃいい。テンプレートをにこやかな表情で返すことの穏当さを理解してるのがすごい40歳を感じて好きなシーンだった。
そもそも、なんでこのシーンが好きかというと野末さんがはじめから外川のアプローチに好意的に返してるから、っていうのもある。野末さんは終盤でようやく「外川ってびっくりするくらい俺のことを気にかけてくれるな…」と思ってるくらいなので初めの2話くらいは完全に「懐いてくる後輩」として外川を見てたはずなんですよね。
でもどの瞬間も全力で口説いてくる外川の熱量だけは受け取って、同じ温度で返してるからまだひとつの脈もないのに映像としてはときめく感じになってる。野末さんは外川の口説きを一切受け取ってないけど、口説いてる外川と同じ温度で返事をして同じ温度で行動をしてるから必然的に何してもいちゃついてるしデートみたいな空気になる。しかもこれに対して野末さんは終わった頃に「なんか…めちゃくちゃ近かった距離が…」みたいな反応をするので完全に他人への無意識の好意と信頼の結果として外川がアプローチをやめられない感じになってる。魔性すぎ。
外川の渾身の人生への踏み込みも「先輩として好かれているから」みたいな理由で許し続けている。自分に好意的な人を無碍にしないし、無碍にしないというロールプレイも無意識に出来る男、かなり怖い。
なので見てる途中は急に「この態度されて俺のこと好きじゃなかったら刺すと思う」みたいな謎の視点でドラマを見ていた。別に外川になっていたわけではなく、なんか…野末さんを友人だと思って接したら優しくしてくれるから踏み込んだら相手は対してそうは思ってなかくてちょっと落ち込む野末さんの同僚の気持ちで見ていた。外川と付き合ってるのを友人たちに行った時に「野末は俺のこと好きだと思ってたのにな…」みたいなこと言うやつが1人か2人は出てきてヤケ酒すると思います。なんか一から十まで訳わかんない文章になっちゃったな。
野末さん、この感じでモテない訳ないというか実際のところめちゃくちゃモテてるんだけどその上で恋人がいないところを見ると本当に他人の感情の機微に聡くて優しいんだと思う。つまり相手が女性だったら誰よりも早く好意に気がついて告白される前にそっと振ったり距離を取ったりしてるんだと思う。その辺の立ち振る舞いがめちゃくちゃ上手いのも男女ともに好かれる理由だと思うし…。
だからこそ今回はそんな野末さんが告白されるまでほとんど外川の好意が恋愛で性愛なことに気が付かなかった、って言うのがめちゃくちゃな旨味だった。外川は野末さんが応える気もないけど女性からの好意を無碍にもできなかったり極端に好かれないように振る舞ったりするのを真横で見ながら自分も袖にされるところまで意識されたいとかずっと思ってたんだろうな…。
ドラマ見た後に漫画も読んだんだけど、漫画の可愛くて放っておかない年上の尊敬できる上司!!もとっても可愛かったんだけどドラマの可愛くて何しても他人を無意識に魅了していくけど魅了している結果には自覚的な魔性の年上の雰囲気かなりすごかった。どっちも好きです。
告白
告白って大逆転ホームランではなくて事実確認だよね、みたいなのがぎゅっと詰まってて最高だった。
「すみません、野末さんが好きなんです」は隠してた訳じゃないけど、伝えてなかった行動の動機を打ち明けるシーンだったし「君が好きだよ」も「外川が逃げるからちゃんと言ってあげる」みたいな優しさがあってすごく良かった。
自分が野末さんに時間を割いたり手間を惜しまなかったりなんでもする理由が親愛ではなくてすみません、あなたが好きだからやってました。って言う告白を泣きながら伝えるしーんの直前にキスシーンあるのもめちゃくちゃ好きだった。激情に任せた時に出てくる行動が手を掴むとか大きな声を出すとかじゃなくて、をやってしまった外川がその場で告白するの、かなり野末さんに誠実だったと思う。勝手にキスはするけど自分の行為と野末さんにしてしまったことにはちゃんと理由を話す男。
最後の告白シーンは本当に全部好き。追いかけられて置いてかれて追いかけられて逃げられなくて、の応酬の末に「君が好きだよ」を言うのが野末さんなのがめちゃくちゃ好き。
人生の変化を恐れていた野末さんが外川によって変えてもらった結果として「変わったこと」を何重にも伝えるシーンだし、これまでの関係から外川のことを信頼してるから変わった自分を受け入れてくれるって思っての言葉選びだな〜と思いました。
この後の「80歳までたくさん喧嘩していきましょう」ってのもこの作品のテーマが一貫してていいな〜!!と思う。価値観のすり合わせも気持ちのすれ違いもたくさんして、変化もぶつかることも恐れずにそれでも隣にいることが愛だよね。っていう優しくて前向きなテーマに誠実に向き合ってたと思う。良すぎる…。
高慢と偏見のラストの陽の光を浴びておでこを合わせながら微笑み合うシーンがめちゃくちゃ好きなんだけど、このドラマのサビもこの感じだったからめちゃくちゃ最高になった。目と目を合わせて何も言わなくても愛を感じてるシーン、もっと増えてほしい。
ごめん同性間恋愛ドラマはめちゃくちゃ増えてほしいからキスシーンもいっぱい見たいかも…。
めちゃくちゃ思いの丈をそのまま綴ってしまった。最初から最後まで楽しくてハッピーなドラマで最高でした。
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