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「共産市長を許すな」現職陣営が悲鳴 大接戦の京都市長選 終盤情勢

京都市長選終盤情勢

 京都市長選は2月2日の投票日まで一週間を切り、現職の門川大作、弁護士の福山和人、前市議の村山祥栄の無所属3氏による激戦は最終盤に突入した。
 以前の記事で門川が12年前に対立する共産推薦の中村和雄に951票差まで追いつめられたことと、同様の構図である今回の市長選で「山が動く」可能性を書いた(こちら)。


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写真=下村あきら京都市議のFacebookより引用(こちら

 門川陣営は演説会場に「951(票差)を忘れるな」「油断大敵」という垂れ幕を用意。「(福山が)激しく追い上げてきている」(1月26日南区にて自民党・西田昌司京都府連会長)、「12年前とまったく同じ三つ巴の構図。951票差で辛くも共産党(推薦)の候補者をかわした。大変な危機感を持って臨んでいる」(1月27日下京区にて公明党・竹内譲京都府本部代表)など、門川を推薦する各党代表が危機感を訴えている。

12年前と酷似する情勢報道

 そんな中、1月27日には読売新聞が、1月28日には京都新聞と毎日新聞が市長選の情勢報道を行った。各紙とも「現職の門川氏が先行、福山・村山氏追う」(読売)、「現職の門川氏が優勢 福山氏、村山氏追う展開」(毎日)、「門川氏先行、福山・村山両氏が追う」(京都)と、門川が一歩リードし、それを福山と村山が追う傾向であることがわかる。これを見て、「あー、やはり相乗りの現職が強いのか」と思う人もいるかもしれない。

 だが、951票差だった2008年の京都市長選の形勢報道はどうだったか。2008年2月10日の京都新聞は、「門川氏やや先行 中村氏追い上げる」との見出しで、「前市教育長の門川大作候補(53)=自民党、公明党、民主党府連、社民党府連推薦=がやや先行し、市政刷新を訴える弁護士の中村和雄候補(53)=共産党推薦=が激しく追い上げ」と報じた。
 記事をよく読むと、門川は村山が地盤とする左京区を除いて市内全域で優勢であり、年代別では20代の支持は門川、村山、中村の順で書いていた。ところが、投票結果を見ると中村は4行政区で門川を上回り、出口調査によれば20代の支持で1位を獲得していたのだ。

2008年2月18日

 情勢報道と結果がかい離する傾向は京都においては度々起こっている。例えば、福山が立候補し、京都府内で得票率44%を獲得して当選に迫った2018年の京都府知事選挙にも当てはまる。

 2018年4月3日の京都新聞は「西脇氏優勢、福山氏追う」との見出しで、無党派層の支持は西脇4割、福山2割、立憲民主支持層の支持は西脇5割、福山3割と書いたが、最終盤で福山が猛追し、最終的には無党派層の過半数と立憲民主支持層の6割近くを獲得したのである。
 当たり前だが、取材に回答した人が投票しなかったり、情勢報道以降に支持する候補を決めた人が投票に行ったりすれば、接戦の結果は一変する。


 さらに2020年1月28日の毎日新聞は、今回の市長選について見出しでは「門川氏が優勢」としながらも「福山氏を投票予定先とした人のうち約4割が『大いに関心がある』だったのに対し、門川氏と村山氏は共に2割台にとどまった」としており、投票に関心が高い層ほど福山支持が強いことがわかっている。
 この情勢報道で活動の力を抜くのか、より加速させるのか、予断を許さない一票を争う接戦になっているのだ。


共産党攻撃を強める門川陣営 批判の声も

 追い詰められた門川陣営は、1月27日に大金を投じて京都新聞に「大切な京都に共産党の市長は『NO』」という大型広告を掲載した。
 
また、街頭演説や屋内演説で「共産党が主導する京都になったらなにもかもダメになる」(門川候補)、「(相手は)はっきり言って共産党丸抱えの候補者」(竹内公明党府本部代表)、「京都のまちに共産主義の市政をつくらせない」(河野太郎防衛大臣)などと絶叫して、福山を支援する共産党を激しく攻撃する戦術に出ている。

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 京都市長選においては、2000年の際に共産党が推薦する井上吉郎に対して、最終盤に当時の現職・桝本頼兼陣営が「鬼血郎(きちろう)」という赤鬼を登場させて退治するパフォーマンスをしたことがある。井上は1996年の市長選に立候補し、桝本に4000票差に迫る大接戦を演じていた。

 だが、門川陣営が行った新聞広告に対しては、市民的な批判が寄せられ、掲載された著名人からも「私の了解を得ず勝手に掲載したもの」(千住博氏)と怒りのコメントが発表されたり、広告をきっかけに「民主主義を壊すやり方は許されない」とかえって反発を招いて福山支持を明言する人たちが現われたりし始めている。


京都を守ってほしい 長年の門川支持者が福山支持へ

 門川が危機感を持つのは、福山が支持を広げているからに他ならない。
 福山の演説会に意外な人物の姿があった。国指定の名勝・南禅寺無鄰菴(むりんあん)近くに計画されているホテル建設(画像)に反対する東村美紀子だ。東村は門川の初当選以来、市長選でずっと門川を応援してきた人物。現在はホテル計画地西隣にあるマンションの管理組合理事長をしている。彼女は2018年の知事選でも、福山の対立候補だった西脇隆俊に投票している。
 東村はこう語る。

 とんでもないホテルができる。この地域は風致地区であり、重要文化的景観地区であるのに、ホテル建設を市長が認めていた。それもある日突然の話。福山さんの街頭演説を聞きに行った。大ファンになった。私たちの気持ちを託せる。

南禅寺

 さらに自治体独自の奨学金創設やみんなで食べる温かい中学校給食の実現など、これまで市政が目を向けてこなかった課題について、福山が「くらし応援すぐやるパッケージ」という政策にまとめ、京都市の年間予算1%でできると主張していることに、従来政治とは距離があった人たちに福山への共感が広がっているのだ。

 思い出すことがある。12年前の市長選の時、中村和雄は「公契約条例」制定を公約に掲げた。この条例は京都市が発注する事業について、そこで働く労働者の賃金を時給1,000円以上にすることを発注の条件にするというもので、京都市の財政負担はないことなどをわかりやすく説明したチラシ(画像は2012年の際のもの)を発行した。選挙最終盤に京都市営地下鉄に乗っていると、若い二人組がそのチラシを持って「この条例ができたらいいよね」と話し合っているのだ。この時、中村が若年層と無党派層に食い込んでいる予感がした。

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 今回の市長選でも各地で福山のチラシを読みこむ人の姿を見かける。例えば、京都市内のバス停で福山のチラシをずっと読んでいる人がいたので話を聞くと、子どもがいるので福山の掲げる「子どもの医療費助成」に期待しているのだという。同じ日には、別の場所でも若い女性がチラシを読んでいる姿を見かけた。

 門川陣営は共産党攻撃に熱中する中、福山とその支援者たちがこれまでやってきたように政策を大事にしてどれだけの人に声をかけきることができるか、山が動くかどうか、注目の投票日2月2日まではあとわずかだ。

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元地方紙通信員
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