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小寺 秀明 Kotera Hideaki

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【展示楽器紹介】

このヴァイオリンは1705年にクレモナの巨匠ストラディヴァリによって制作されたPモデルという内枠を僕の先生であるアレッサンドロ・メンタさんと編集して制作したモデルです。

裏板は2枚板の深く、ダイナミックな虎杢が特徴的なカエデを選びました。製材した段階から見る角度によって杢がキラキラと動いてとても魅力的でした。

表板・裏板共に木材の特徴をよく観察、計測して感覚も頼りに膨らみや厚みの加工をしました。

このヴァイオリンは特に音響板となる表板の木目や繊維がしっかりとした材でしたので、その特性を最大限に引き出せるようにと考えて製作しました。

スクロールはストラディヴァリが1715年に製作した、クレモナを代表するヴァイオリン「クレモネーゼ」のスクロールを編集したモデルを使用しました。
他のモデルと比べて若干小ぶりな渦巻きですが、非常にまとまりのある美しいスクロールで最近愛用しているモデルです。

ニスは伝統的な天然の染料・樹脂から自作した黄金色を彷彿させる下地ベースに赤茶色味のあるニスを重ね塗りしました。
経年によるある程度のニスの摩耗やキズは避けられない事象ではありますが、それもまた良しと思える、下地の味わいを楽しんでいただけるようなニス塗りを目指しています。

ペグやテールピースなどのセットアップは柘植(ツゲ)材を使用しました。また、駒や魂柱といった音響に非常に重要な役割を担うパーツも楽器本体とより相性の良い材を選んでセッティングいたしました。

是非音響をお試しください。

小寺秀明

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