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藤本監督に南海魂を見た

今年のパリーグはキャンプの時からもうBIGBOSSの話題で持ちきりで、昨シーズン優勝のオリックスも藤本新監督率いるソフトバンクも全然話題にならずであった。

 昨シーズン終了時に工藤監督がやめて、次のホークス監督は誰がなるのかなと思っていたら、藤本博史だと知ったときは嬉しさと同時に「え?藤本でいいのか、えらい地味やけど。」というのが正直な感想。

 案の定、キャンプではホークスの話題はあまりマスコミに取り上げられることもなく(九州を除く)、スポーツニュースは連日、新庄と立浪の2人の若手監督の記事であふれていたのである。

 それで、3月25日(金曜)の開幕戦。
派手派手の新庄がスポットライトを浴びてセンター付近から登場。観客大うけ。え、これ藤本監督、完全にもっていかれてるやん!と心配してたら、神輿に担がれた藤本監督が腕組みして、むっつり顔で登場。
 いかにも「おい新庄、勝負の場でチャラチャラするなや。おまえにはつきあわんで。」とでも言ってるかのような佇まいに私は心底感動した。

 例えが古くで申し訳ないが、みちのくプロレスの試合にUWFの前田日明が乗り込んでいったようなものか(そんなことは実際は無かったけど)。

 んで、そのホークスが負けないのである。
 4月6日時点で8試合消化して8勝0敗。序盤リードされようが日替わりでヒーローが登場して逆転、最後はモイネロと森で完璧に抑え込む。
 強い。

 藤本博史は末期南海ホークスを知る男である。
1982年天理高校から南海へ入団。レギュラーの座をつかんだあたりで南海はダイエーに身売り。
 平和台球場を本拠とする初期のダイエーホークスでは5番を打つことが多かった。
 今のソフトバンクの応援チャンステーマはもともと藤本博史の応援曲だったのだよ。晩年は代打の切り札みたいな存在だったな。

 現役時代を思い出しても、藤本博史が笑っているイメージがわかない。
なんかいっつもケンカ売ってるかのようなムッツリした顔つき。
同僚にカズ山本という もっといかつい顔面の選手がいたから目立たなかっただけなのだが。

 引退後は福岡で居酒屋をやってると聞いたときは、「藤本らしいよなあ」と思ったものだ。
ソフトバンクでは長いこと2軍などでコーチをされていたが、まさか今回、1軍の監督に抜擢されるとは思わなかった。

 これでもしも開幕9連敗とかの悲惨なスタートになっていたら世間は「ほらみろ、弱小球団南海出身の監督なんかじゃダメなんや」とか言われるところだっただろう。

 藤本が現役だったころのホークス(南海にしろ、ダイエーにしろ)は本当に、選手層が薄かった。先発投手の頭数もいなかった。若田部がエースだったころ。
 ホークスが強くなるのはドーム球場ができて、松中、小久保、井口、和田、斎藤、城島、柴原とか有力新人が毎年入団してきて、工藤投手がやってきたころから。
 その前の平和台球場時代はほんと弱い球団だった。
 しかし、その暗黒時代を知る者が監督として君臨することで、ソフトバンクホークスの野球はまた新しい進化を見せるのではないかと思うのである。

 昭和のパリーグを知るものにとって、秋山監督、工藤監督はやっぱり西武ライオンズの血を受け継ぐ人たちに映る。
 もちろんこの2人の功績は素晴らしいものがあるのだが、ホークスという名前を掲げる球団が元南海戦士を監督に迎えた、というところがオッサンには感慨深いわ。

 というわけで、今シーズンBIGBOSS日本ハムと対戦する際は試合中一切笑顔を見せることなく、完膚なきまでに叩きのめしてもらいたい。杉浦さんも天国で見てるで。

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