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マンション管理にとっての遺品部屋の傾向と対策

「クロ現」で遺品部屋特集

「クロ現」(#4825)をチェックしたら、「遺品部屋」の特集を組んでいた。

内容のメモは以下のとおり。

全国に拡大 遺品部屋
 ①入居者=病院などで死亡
 ②遺品=放置
 ③相続人不在(相続放棄)
①〜③が原因で引き起こされるのが「遺品部屋」

公営住宅のケースでは、国の方針として「自治体の判断で遺品を選別・移動してもよい」とされるようになった

しかし、処分するには遺品を保管しなければならない。→大阪府では20年間を期限としている

引き取り例はいまのところゼロ

遺品部屋は2013〜2022年の官報を基にNHKが調べたところでは全国で10,052件あり、10年で1.7倍に増えている。

対策① 緊急連絡先の更新
対策② 遺言書の作成
   遺贈先を明記しておく
対策③ リノベーションで価値向上
   民泊用、貸オフィスに改装=目的は「相続されるマンション」に変えるため

「遺品部屋」所感

自分も当事者だったりしたことから、マンション管理にとっての重大事として「孤独死対策」は意識していたのですが、「遺品部屋」についてはほとんど意識していませんでした。

確かに、少子高齢化のこれからの日本では、マンションに居住する人が部屋で亡くなるか病院で亡くなるかの違いはあっても、その総数が短期的に増加することは十分に予想されます。

「孤独死」も発見の困難さがありますが、「遺品部屋」もまた、別の発見の困難さがあります。

「遺品部屋」のほうが発見までに時間がかかる可能性が高いことも想像に難くありません。

その損害が「管理費・修繕積立金等」という、管理組合に直接のしかかってくるものであることも深刻です。

番組では、実際に「遺品部屋」で悩んでいるマンションを取材し、管理組合が引き取り手のない「遺品部屋」のマンション管理費・修繕積立金等の滞納分を負担しなければならなくなっている実状を紹介していました。

「遺品部屋」も「孤独死部屋」も、本来なら継承する相続人が資産としての部屋の所有権や管理費・修繕積立金等といった負債も引き受けなければならないのですが、負債を引き受けたくない場合に「相続放棄」という手段が取られる場合があります。

「遺品部屋」や「孤独死部屋」となる状況では、相続人との関係が薄いことが多く、また、相続人自体を見つけ出すことが困難である場合も多いようです。

相続人を見つけ出すにも弁護士へ依頼しなければならないなど費用が発生し、その負担もまた、管理組合がかぶらなければなりません。

番組では、対策として「緊急連絡先のまめな更新」などを挙げていましたが、そもそも所有者本人が居住している場合には連絡先を管理組合が知る必要がないと思われているし、個人情報の壁もあるため、本質的な問題の解決にはならないと思いました。

そうなると、かなり踏み込んだ対策とはなるのですが、終活についての呼びかけをチラシや総会資料などで行い、プライバシーを配慮できる範囲で簡易的な「管理組合版のエンディングノート」を作成、保管、更新していくことが考えられるのではないかと思いました。

私は終活カウンセラーの資格も取得しましたが、エンディングノートは行政作成のものも含めて網羅的なものが多いため、今後は目的別の簡易的な「覚え書き」のようなスタイルのものが必要になるケースも増えてくるのではないかと思っています。

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