見出し画像

無呼吸症の治療器具に健康被害が出ていた件

良質な睡眠を妨げる無呼吸症については、治療器具も一定の普及があったようですが、それについて不具合があり、健康被害の恐れがあるとしてメーカーが自主回収をしていたという調査報道です。

  • 日本の「睡眠時無呼吸症候群」患者は900万人。

  • 「健康被害が生じるおそれがある」として、治療器具を製作・販売する米ヘルスケア大手の日本法人「フィリップス・ジャパン」が2021年7月から日本でもCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)装置など36万台を自主回収。

  • 米食品医薬品局(FDA)は最も危険度の高い「クラスⅠ」に分類したが、日本では「クラスⅡ」扱いで、2年近くたったいまも回収が続いている。

  • 問題が軽視され、回収も継続され、被害が収まっていないなど、日本でのCPAPの健康被害の問題は根深い。

  • アメリカでは、誰でも利用できる有害事象報告(MDR)制度によって今年3月末までに10万5000件以上の報告がFDAに寄せられ、うち385件が死亡事例との関連を疑うものだった。

  • 日本ではフィリップス・ジャパンが対応らしい対応をせず、公的な相談窓口もない状態が続いている。

  • 健康被害の原因は、防音材の劣化が疑われている。

  • 国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構及び財団法人医療機器センターの一部の業務を統合し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づいて2004年4月1日に設立されたPMDAでは、こうした「製造販売業者が器具の不具合が原因と疑われる健康被害など」の報告が義務づけられているが、現在公開されている情報によれば、84人分の症例が上がっているとのこと。

  • 「84人のうち、すでに健康被害が出ている患者は49人。残る35人は、器具を使い続ければ『健康被害が起こる可能性が否定できない』とされる事例」。

  • 有害事象の内容は、頭痛、咳、鼻炎、喘息、気道炎、肺腫瘍、腎盂がん、肺機能障害の疑いなどで、米国で警告され、確認されている症例にそっくり準じている。

この記事を書いたフリーランス記者の萩一晶さんは、続報で改修前の機器を検証しています。

これは、医療機器という身体に直接大きな影響を及ぼす機器の安全性に疑義が生じていて、それへの対応が日本では秘密裏に行われようとして、被害も収まっていないという、二次三次の被害を生む状況になっていることを明らかにしたものであると言えます。

隠蔽体質を改めるためにも、こうした調査報道を応援したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?