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不動産のサブリース業者は慈善事業ではないという話[ニュース拾い読み]

私が不動産投資の勉強を始めた15年前も、サブリースは選択肢のひとつとして存在していました。

サブリースとは、投資用の不動産(主に一棟建てアパート)などを所有者から一括して借り上げ、賃貸管理を請け負いながら、一定額を所有者に納入するというシステムです。

一般的な不動産の賃貸経営では、対象不動産に賃借人が入居していないと賃料は所有者に入ってきませんが、サブリースの場合は入居・空室の区別なく契約した金額がサブリース会社から所有者へ入金されるというものです。

夢のようなシステムなのですが、もちろんリスクもあります。

トラブルとデメリットについて書かれている記事がこれ。

まず、コロナ禍前に、大手サブリース会社が強制的に所有者への支払金額を引き下げた事例を挙げています。

広告などで「30年保証」などと謳っていますが、保証はしてくれるものの、金額までは補償しないというのが、このサブリース契約の落とし穴だということを知っておく必要があります。

不動産投資で「家賃」と「銀行の変動金利」は変動リスクがあるということを前提に、経営計画を立てていかなければならないのです。

サブリース会社も商売なので、所有者の損失を補填してくれるような親切な会社はまずないと思っていなければならないでしょう。

それどころか、最終的にはなにで収支を合わせようとしているのかを考えると、長期間にわたって家賃を肩代わりして払ってくれているというビジネスに身を委ねるリスクを考えたうえで、サブリースを選択するべきであることがわかるはずです。

記事の例では、賃貸人の退去時に上乗せされたリフォーム費用を請求されたことが挙げられています。サブリースはこうした付帯事業も丸投げなので、所有者は「仕方ないよね」と受け入れざるをえない構造になっているわけです。

一番の問題は、借地借家法によってサブリース契約の解除が難しい状態であるというところでしょう。

そもそも、レントロールなどの賃貸状況の情報をサブリース会社が公開しないという問題もあります。

サブリース会社としては、企業努力して家賃を上げることで利幅をあげるという命題があるわけです。

それに対してサブリース契約をしている所有者のほうは、家賃が(契約時の想定より)高く取れるのであれば、それに応じた支払があってしかるべきと思いまが、それは契約上できません。

そのあたりの不満が募り、サブリース会社への不信感につながっているのだと思います。

サブリース会社側も、うるさい所有者対策のために二重帳簿ならぬ二重レントロールを作って対応したりして、それがバレることで余計に信頼関係を壊すという事態も起きているようです。

また、売却時にサブリース契約が付帯していると、売却金額が低くなってしまうなど振りになることが記事では指摘されています。

これについてはケースバイケースだと思いますが、中間業者に手数料を支払うことがあらかじめ決まっているサブリース物件とサブリースなし物件で、購入する投資家としてはどちらを選ぶのかということは、同じ投資家として想像しておかなければならない条件のひとつだったのかもしれません。

私は幸か不幸かサブリース物件を所有した経験はありませんが、確かに退去が決まると「サブリースだったら……」と思ったことがないと言えば嘘になります。

しかし、その後の募集でどのような戦略を立てていくか、3年後5年後のその物件をどのように運営していくのかを考えながら募集条件を考えることができるということは、悪くないことなのではないかと思って、サブリースの「夢」から覚めることができるのです。


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