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相続登記の義務化が周回遅れだと感じてしまうワケ

令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されます。

これにより、相続人が所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなくなります。

遺産の分割などの協議で相続が確定しないような場合では、相続が成立した日を起算日とします。

このような"正当な理由"がなく相続登記を怠った場合は、10万円以下の過料の適用対象となります。相続人申告登記(遺産分割協議等でとりあえず相続人であることを申告して猶予してもらうための措置)を怠っても過科5万円以下、期限内に住所・氏名の変更登記をしなかった場合も5万円以下の過料と、かなり本気で所有者不明の不動産を減らそうとしていることがうかがえますね。

まぁ、すでに九州の面積に匹敵するほどの所有者不明不動産があるということなので、遅きに失した感は否めませんが。。。

このように、何故か相続が発生していても変更登記は任意であるため、所有者を特定できない事例が増加していることが、この改正の背景にあるのですが、「やっと……」という思いのほかに、これで解決できるのかという疑念が湧いてきたというのも正直なところ。

まず、行政側からのトレーサビリティのシステムが構築されていないと、罰則は人力で探策といった負荷がかかり、絵に描いた食前になりかねないことが危惧されます。

これには、登記情報とDX化し、マイナンバーに紐づけすることで一発解消するはずなのですが、現時点での政府の迷走ぶりを見る限り、実現はかなり難しいと言わざるをえません。

また、NFTを活用する案もありますが、そもそも放置される所有者不明不動産は市場価値が乏しいので、積極的なデジタル資産への移管は考えにくいかもしれませんね。

政府が登記情報を一括してNFTにするという英断が下されでもしないかぎり、登記的幽霊不動産の増加を食い止めるのは、既存不適格を含めてあまり期待できそうにない、というのが個人的見解です。

これ、マンション管理組合の幽霊組合員問題にも大きく関係するので、注視したいと思います。

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