ルヴァ様限定で厄介なオタクになる母親の話
コミカライズとルトゥールでルヴァ様に落ち、恋天アニメを履修した母は爆発的な熱量でその愛を深めていった。
この時期から神鳥・聖獣関連のドラマCDなどにも手を出し始めたが、どれを聞いても感想の最後には
「結局ルヴァ様が出るところが一番良かった」
的な一言が付いてきた。
当時、もっと一つ一つのCDの内容に対する母の感想を詳細にツイートしていなかったことが悔やまれる。
日常会話をしていても
「ルヴァ様ならきっとこう思うはず」
「そういうことはルヴァ様は嫌がるから」
とか普通に出てきて、母の中のイマジナリールヴァ様がしっかり育成されていた。
そして無尽蔵に大きくなるルヴァ様への気持ちは、同時に母の中に愛ゆえの苦しみをも芽吹かせていたのだった(※ポエミー)
このように、最初からその片鱗はあった。
コミカライズでルヴァ様に恋をした母は、ロザリアと想い合った展開だけは確実にショックを受けていた。ちなみに2番推しはリュミ様だったことが伺える。
恋天のアニメでも、エンジュに恋をするルヴァ様を見たくないという理由で2回目の視聴を避けていた(※前回の記事参照)
その後、せっかくだからPSでSpecial2や天レクをプレイしてみないかと聞いた時の会話で、確信した。
何ということでしょう。
62歳の母は、相手がルヴァ様限定で【乙女ゲームのヒロインに憑依することもできず、壁視点にもなれない】オタクに成長していたのだ。
わたしは昔からヒロインに憑依できるのはもちろん、夢女になったキャラが相手でも攻略時は『ヒロイン=自分』の状態でプレイしている。
プレイ中、ローディングで暗転した画面にスッピンでニヤつく中年が映るとさすがに我に返るが、それも一瞬でやり過ごせるメンタルスキルも養ってきた。
また、壁よりも広い視野を持つ天井のシミ視点になって、いちゃつく推しカプを愛でていることも多い。
母のお腹に「節操」というものを置いてこの世に生を受けたため、とにかく好きな組み合わせも多く、アンジェにおいては嫌いなカプというものすら存在しない。
だから母の苦しみを心の底から分かってあげられなかったし、今も共感できていない…
ごめんよ母…(哀)
ママン「ドラマCDはいいの!語りの部分はほとんど『あなた』って言ってくれるから、自分のことだと思って聞けるの」
わたし「なるほど…」
ママン「ゲームだと、自分じゃない女の子が目に入る。名前だけは自分の本名でプレイできても、わたしは彼女たちみたいに金色の髪でも栗色の髪でもないし、おさげでもないし、若くもない」
わたし「……」
ママン「ヒロインたちが嫌いなんじゃなくて、ルヴァ様と絡んで欲しくないだけ」
わたし「ちなみに同担のことはどう思う…?」
ママン「それは嬉しい。むしろルヴァ様の魅力を共に語りたいくらいある」
わたし「おう……そうか…」
ママン「とにかく、ルヴァ様と同じ平面の世界にいる女の子がルヴァ様に好かれるのを見ることができない」
へ、平面の世界って言わないで!!!!
わたしは握りしめていたSpecial2や天レクのソフトをそっと自室に戻した。
ルヴァ様と恋愛がしたいのに、実際にプレイすると憑依出来ないヒロインがルヴァ様に愛されることに苦しんでしまう母。
いつか技術が進化し、ヒロインを【自分の名前+自分の容姿(※年齢操作可)】に設定できる乙女ゲームが開発されることを切に願って今回の記事を終える。
あ、これを書いている時点の母はもう65歳なので、出来るだけ早いとありがたいです…。
つづく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?