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ステロイド軟膏の吸収しやすい場所知ってました?

 肌の赤み、かゆみ、アトピー性皮膚炎、虫刺され、かぶれ等で誰もが一度ぐらいは使用したことがあるのではないでしょうか?ステロイド軟膏

 ステロイド軟膏とは副腎皮質ホルモン(ふくじんひしつほるもん)といい、腎臓の上に小さくちょこんとくっついている副腎という臓器からでるホルモンを薬にしたもの。

まず基本からです
■ステロイド軟膏の効果 
①抗炎症作用
②血管収縮作用
③免疫抑制作用
この3つが主な作用。①②③の作用で赤み(炎症)やかゆみを抑えます。
(特に①②の作用にはタキフィラキシー(効果が徐々に減弱する)があります)

■ステロイド軟膏の副作用 (長期の使用により) 
①皮膚が薄くなる→傷がつきやすくなる 裂けやすくなる
②毛穴からの脂の分泌が活発に→ニキビができやすくなる 多毛
③毛細血管壁がもろくなる→血管が広がりやすくなる 出血しやすくなる
④免疫力低下→細菌やウイルスに感染しやすくなる
*これらは大事ですからいずれ詳しく説明しますね。

↑顔へのステロイド軟膏連用で皮膚が薄く毛細血管がもろくなってしまった例です。ご参考まで!

では本題
ステロイド軟膏が吸収しやすい場所って?
それで何か問題でも?  

上図を参照ください(絵 おかちん)
同じステロイド軟膏を同じ量、同じ使い方で使った場合、
前腕内側からの吸収を1 とすると、頬では13 吸収されます。
(腕より顔には13倍も吸収されちゃう)

「なーんだ、じゃ薬が顔には良く効くのね!」
はい、それも正しいのですが…

よく吸収するということは…
『副作用もそれだけ出やすいんじゃね』
ということ

■気をつけたいステロイド軟膏の長期連用
ステロイド軟膏は強さが5段階に分かれます
Ⅰ.  Strongest (最強)
Ⅱ. Very Strong (とても強い)
Ⅲ. Strong (強い)
Ⅳ. Medium (普通)
Ⅴ. Weak (弱い)

『強いステロイドの方が早く治るじゃん』
誰でもそう思います。
ではそもそもなぜ、
「ステロイド軟膏は5段階の強さに分かれているの?」でしょうか
   
簡単に言えば強いステロイドはそれだけ副作用が出やすいということ。
例えば  Ⅱ. Very Strong (とても強い)  レベルのステロイドを14日間、朝晩顔に使用したとすると上に記載した副作用が非常に出やすくなるのです。
つまり、基本的には
弱いステロイド軟膏は吸収の良い場所
強いステロイド軟膏は吸収しにくい場所
に使いましょうということ。

もし副作用の心配がないのであれば、赤みとかゆみのある皮膚病にはどこにでも一番効き目が強い  Ⅰ.  Strongest (最強)  レベルの軟膏を使えばいいですよね、ですが医療機関では「体にはこのステロイド軟膏」「顔にはこのステロイド軟膏」と分けて出されるのが一般的です。

副作用の心配も考慮して分けているわけですね。

ですからそのように副作用のリスクがあり、タキフィラキシー(効果が減弱してくる現象)がある軟膏を長期に使用することは、徐々に強い軟膏でなければ効かなくなり、より強い副作用のリスクを伴う状況に陥ることになります。

(*症状がとても酷い時、強いステロイド軟膏を数日使い、徐々に弱いステロイド軟膏にしていくこともあります。)

ステロイド軟膏は良い薬です
ですがまず14日間使用してみて思ったような改善がない場合
他の方法も検討してみることもお勧め致します

次回は体の部位別、使用すべきステロイドのランクについてご説明しますね

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