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ステロイド軟膏の強さと適切な使用部位

 まずはステロイド軟膏の効果からおさらい

■ステロイド軟膏の効果 
①抗炎症作用
②血管収縮作用
③免疫抑制作用  
以上で炎症、痒みを抑えます

 ステロイド軟膏の強さは5段階に分かれます。
もちろん作用が強くなるほど炎症や痒みを抑える作用が強くなるのですが、
その強さの違いを考える時、わかりやすいように意識して欲しいのは

ランクが上に行く(強くなる)ほど
『②血管収縮作用』が強くなる

という事です

以下ステロイド軟膏の5段階ランク分け(バイエル薬品株式会社HPより)

 先ほど記載した通り、最も強力な軟膏ほど炎症や痒みを抑える作用が強くなります。同じように血管を収縮させる力も強くなります

 炎症や痒みがある場所に「最も強力(最強)」クラスのステロイド軟膏を使うと血管が収縮して炎症や痒みがすぐにおさまります。

良いことですよね〜♪(´ε` )

 しかしここからが問題!
 この血管収縮作用にもタキフィラキシー(効果が減弱してくる現象)があるのです。効果が減弱すると使用していてもなかなか血管が収縮せず炎症が治まらなくなります

 もしも「最も強力(最強)」ランクのステロイド軟膏を連用していたら…

 もうそれ以上に炎症を抑える(血管を収縮させる)軟膏はありません。炎症が治まらなくても「最も強力(最強)クラスの軟膏を続けるしかなくなりますよね。だってそれ以上に効果がある軟膏はないんですから。
(もちろん内服薬や注射剤、免疫抑制剤等はありますが)

もう一つ問題が!
 「なんだか最近軟膏を使っても赤みが落ち着かないわ」
 「そういえばステロイド軟膏って長くつけちゃダメなんじゃね」
 「ねえねえステロイド軟膏ってわかんないけど恐いらしいよ 止めたら」

などで急に使用を止めたとします、
じつは血管を収縮させる力が強い軟膏ほど

『急な使用中止で血管の急激な拡張』
(リバウンド:急激な炎症症状)
を引き起こす可能性が高くなります

以下リバウンドの症状ですご参考まで

 また前回の「ステロイド軟膏の吸収しやすい場所知ってました?」でお伝えしたようにステロイドを吸収しやすい場所はステロイド軟膏の効果も副作用も出やすい場所です。

軟膏の吸収が非常に良い顔に
「最も強力(最強)クラスの軟膏を連用したらどうなるでしょう?
(*本来顔に「最も強力(最強)クラスの軟膏を使うことはあり得ません)

・軟膏の吸収がいいので炎症はすぐ良くなります
・軟膏の吸収がいいので血管は強く収縮します
・軟膏の吸収がいいのでタキフィラキシーも起こりやすいです
・軟膏の吸収がいいので副作用も出やすくなります

結果、軟膏の吸収がいい場所に作用の強いステロイド軟膏を連用すると

『急な使用中止で血管の急激な拡張』
(リバウンド:急激な炎症症状)
を引き起こす可能性が高くなります


軟膏の吸収が良い場所には弱いステロイド軟膏
軟膏の吸収が悪い場所には強いステロイド軟膏

この原則は
・副作用をなるべく出ないようにする
・リバウンドが起こる可能性をできるだけ抑える

という2つの意味があるんですね

以下はステロイド軟膏の強さと使用すべき場所です

 ここで誤解して欲しくないのは炎症がひどい時、
体に②かなり強力(非常に強い)軟膏を使うこともあるということです。

例えば本来体に使用すべき③強力(強い)レベルのステロイド軟膏を14日間ぬって炎症が治まらないよりも、②かなり強力(非常に強い)レベルを2〜3日ぬって炎症をおさえる場合もあり、

作用が強くても使用する日数が短くすめば
副作用やリバウンドの可能性が減る

という事なのです。
 
 体の場所にあったレベルのステロイド軟膏を2〜3日使用して症状が落ち着けばOKなのですが、症状の変化がない時は、レベルを1段階あげて短い期間で炎症を抑えた方が効果的ですし合理的です。
(ダラダラ連用せず数日で炎症を抑え、保湿剤のみに切り替えるのが理想)

注)①最も強力(最強)レベルは緊急避難的に短期集中の使用が安全です

少しでもご参考になれば幸いです
次回はステロイド軟膏の副作用について写真を交えて解説予定です

*今回の解説はステロイド軟膏を否定するものではありません
ステロイド軟膏は上手に使えば非常に有用な薬です
*今回はわかりやすくするためにステロイド軟膏の血管収縮作用を強調してあります。本来ステロイドの効能、リバウンドや副作用には多種多様な要因が絡みます

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