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ステロイド軟膏の副作用って?part.2

*今回の解説はステロイド軟膏を否定するものではありません
ステロイド軟膏は上手に使えば非常に有用な薬です
*ステロイド軟膏の副作用の写真が掲載されています
皮膚病の写真をご覧になりたくない方はご注意ください

では以下前回の続きスタート!

基本的な副作用は以下の5つ
①皮膚が薄くなる(萎縮)
②皮膚の毛細血管拡張
③皮脂腺の活性化(ニキビ肌 多毛)
④皮膚が感染症に罹りやすくなる(ウイルス 細菌感染しやすい)
⑤全身性の副作用
今回はこの5つに加え
⑥補足でもう一つ

今回は③皮脂腺の活性化(ニキビ肌 多毛)
   ④皮膚が感染症に罹りやすくなる(ウイルス 細菌感染しやすい)
   ⑤全身性の副作用

について解説しますね

③皮脂腺の活性化(ニキビ肌 多毛)


 ステロイド軟膏を連用するとまれに毛穴の中にある皮脂腺(脂を出す腺)の活動が活発になります。特に顔へのステロイド軟膏の連用で、脂っぽい顔になったり、ニキビ肌になるのはこのため。

 また、もともとニキビがある場合ステロイド軟膏の使用は要注意。ニキビはもともと皮脂腺からの脂の分泌の過剰により起こる皮膚病。ですからニキビにステロイド軟膏を使うことはお勧めしません。

ニキビ肌(肌の脂の分泌過剰)

ステロイド軟膏使用

脂の分泌さらに過剰に

ニキビの悪化!

 上の写真はニキビにステロイド軟膏を使用して症状を悪化させてしまったお客様です。

④皮膚が感染症に罹りやすくなる
(ウイルス感染しやすい)

 さて、そもそもなぜステロイド軟膏を長期連用するとウイルスに感染しやすくなるのでしょうか?

人間には①ダニ ホコリ 花粉をやっつける免疫(体液性免疫)
    ②ウイルス をやっつける免疫(細胞性免疫)
    の2つの免疫があります。

簡単にいうとステロイド軟膏を長期連用すると
②ウイルス をやっつける免疫(細胞性免疫)を抑制するため、
ウイルスやに対する防御力が低下するのです。

ステロイド軟膏の長期連用では
ウイルス感染症→カポジー水痘様発疹、ヘルペス
などの感染症にかかりやすくなります。

上記写真はステロイド軟膏連用によりカポジー水痘様発疹になってしまったお客様です。

⑤全身の副作用(副腎皮質機能の抑制)

 ステロイド軟膏の連用で全身の副作用(副腎皮質機能の抑制)が起こることはまれです。強いステロイド軟膏を年単位の長期間使用しなければ心配ありません。

*副腎皮質とは人間が自分自身でステロイドを作り出す臓器です。人間は自分自身で作るステロイドで傷や炎症をなおしています。ステロイド軟膏を長期間使用すると、ステロイド成分が外から入って来るため自分自身でステロイドを作らなくなり、副腎が萎縮します。

*まれに最強クラスのステロイド軟膏では1日に10gを数日使用することで
副腎皮質機能の抑制が起こることがあるので注意が必要です。

副腎皮質機能の抑制の症状
体温調節ができない(寒がる)、易疲労感、食欲不振、体重減少、低血糖、低血圧、関節痛など

⑥補足でもう一つ

『ステロイド軟膏の連用で肌が黒くなる』と思っており方多いのではないでしょうか?実際、ステロイド軟膏の副作用は

色素が抜けて『肌が白くなる』

上記写真のように、使用していた場所が周りより白くなります。
ステロイド軟膏を使用して肌が黒くなるとの誤解は、

ステロイド軟膏を適切に使用しない

炎症がなかなかなおらず長引く

長期にわたり搔き壊し刺激し続ける

色素沈着

肌の色素沈着はほとんどの場合、
搔き壊しなど長期にわたる肌への刺激が原因です。

以下の写真は長期にわたり搔き壊した色素沈着
ステロイド軟膏は未使用です↓

1週間きちんとステロイド軟膏を使うことで以下のように色素沈着が良くなりました↓

1週間ステロイド軟膏をしっかり使い、炎症を抑え後は保湿と内服の漢方など状況に合わせて使い分けましょう。

ステロイド軟膏は上手な使い方が重要です!

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