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happy man①

夏休みの思い出

キラキラ輝く海、砂浜に寄せては引く波を追いかけてワタシとhappy manことワタシの弟は、夏休みの浜辺で日が暮れるまで夢中で遊んだ。

小学生の頃、親戚の叔母の呼びかけで夏休みは、叔母、祖母、従兄弟、そして私達姉弟と母、総勢8人ほどでいつも旅行に出かけた。小さな時から乗り物が大好きなワタシはhappy manとまるで犬がワクワク車窓から乗り出す様に風に思いっきり当たりながら窓側のシートを陣取った。
口を大きく開けると爽やかな風が口の中いっぱいに入り込んで、思いっきり吸い込んでは吐き出してをシンプルに繰り返す。自然が沢山の地域に差し掛かると緑のなんといえない良い匂い、海に差し掛かると潮の匂いが口中にひろがる。
ただそれだけですごーく、楽しくて楽しくてしあわせで仕方なかった。
旅の途中に電車の乗り換えを皆んなでした。まだ小学生低学年だったhappy manはアイスを買って欲しくて母にぐずった。
もう発車時刻までにアイスを買う時間はなかった。あまりにぐずったので、母はアイスを買いに下車した。そのまま発車時刻となり母は戻って来なかった。
叔母達は口々に、「ほーら、お母さん困らせたから、消えてしまったじゃない。良い子にしてないとお母さんいなくなっちゃうよ」
とhappy manを諭した。
その時の、母の姿が見えなくなって、とても悲しくて仕方ない彼の姿を今でも覚えている。
母はしばらくして、隣の車両から私達のところに戻ってきた。
私達は嬉しくて、happy manは母に抱きついた。
今思い起こすと、その時から彼は母に我儘を言わなくなった。

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