見出し画像

カメラ選びの基準についての雑感

カメラ選び、レンズ選びとは楽しいものであります。
スペック表を比較して、財布と相談し、新製品が出るかもとヤキモキしたり。
最近は大きさや価格を比較できるサイトがたくさんあって、カメラ選びのツールも充実している印象です。

(カメラのサイズを比較できるサイト。イメージと大きさが違うこともしばしば)

しかしながら、いやそれだけに、数字にこだわりやすくなります。

ドットがどれだけ細かいか?
重さはどちらが何グラム重いのか?
どれだけ明るい写真が撮れるか?

画質が良くなればレンズが大きく・重くなるし、軽さをとれば頑丈さに欠けたり・・それぞれがトレードオフです。
その中で自分の満足するものを手に入れるのは、なかなか至難の技とも言えます。買った後で「ここは犠牲にすべきじゃなかった」と後悔することだけは避けたいもの。どうすれば「いいカメラ」を選べるのでしょうか。

答えは人それぞれかと思いますが、最近指針にしていることがあります。

「自分の写真スタイルに対する制限として適当か」ということ。

・・・なんか抽象的な感じがしますね。言い換えると・・・
♫In other words〜hold my hand〜じゃなかった、hold my lensとかになりましょうが、レンズ一つを取っても、そのレンズによる「制約」が自分の撮影スタイルを決め、撮る写真も変わるわけです。
「いいところ」だけではなく、一般的にはトレードオフの欠点として捉えられる「制約」に着目するのです。

例えば重いレンズは行動範囲を狭めますし、ズームできないレンズは画角の変化を制限してしまいます。軽いレンズやズームレンズは画質面で制約を抱えます。この「制約」について、見方を変えてみましょう。

重いレンズは、「行動の制限」によって、「ある一瞬一瞬をことごとく捉えようとする」ことを忘れさせてくれます。
あちらもこちらも撮ろうとしていたずらに枚数を増やすのではなく、自らの目が捉えたものを、構図を検討し、じっくりしっかり腰を据えて撮る、そんなスタイルが描き出されてきます。
軽いレンズは、「画質の制約」によって「一つに固執し、時間をかけて完璧を目指して撮ろうとする」ことを忘れさせてくれます。
軽やかに、一瞬一瞬を描くスタイル。

ズームできないレンズ=単焦点レンズは、どうでしょう。

ちょっと自分語りしてもよろしいでしょうか。
ここ半年ほど、SIGMA製の単焦点レンズ「SIGMA 35mm F1.4 DG HSM Art」を使っています。


最近システムをごっそり入れ替えたので、半年前に購入のこのレンズ「だけ」を使っていることがほとんどです。(所有するレンズの中で、オートフォーカスが効くのはこのレンズだけです)
このレンズ、画質はいいのですが、重くて(カメラより重い)、ズームできません。
「重い」ことの「価値」が、腰を据えて撮る撮影スタイルなら、「ズームできないこと」の価値はなんでしょう。

一つの答えは、「画角を考えなくて済む」ことじゃないかと思います。
確かに画角が変えられるズームレンズはある意味「画角を考えなくて良い」のですが、いろんなところにあるものを撮りたいけれど、その都度構図もめちゃくちゃ考えたいという面倒なやつ(私)の場合、ズームレンズは、結局画角を考えた上で構図と距離を調整する、と言った風に段階を踏まなくてはなりません。

そんな時、単焦点レンズであれば、画角は固定されていますから、「どう構図をとってあれを写そう」と、構図と距離に集中できる側面があります。実際、ズームレンズを使って撮っていた時より、撮った枚数も、「打率」も上がったように思います。

画像1

△単焦点レンズは速写性を支える。

単焦点レンズは、画角が変化しないことによって、「画角を検討する」ことを忘れさせてくれます。こうして、一つの画角に沿って構図と距離のみを考える撮影スタイルが描き出されていきます。

ズームレンズはそれを裏返し、「画質の制約、"できることが多い"という制約」により「被写体との距離をその度検討する」ことを忘れさせてくれます。対象がどこにあろうと、レンズを伸ばしてこの手に取っていく。
こうして、レンズの制約が、撮影スタイルを規定していくのです。

カメラでも似たようなことが言えそうです。
「重いカメラ」は言わずもがな、例えば「ボケにくいカメラ」はどうでしょう。
一般に、カメラに載せているセンサーのサイズの差によって、カメラで撮った写真のボケ方が変わります。「ボケやすいカメラ」では人物の背景を大きくぼかして撮ることが可能なわけです。しかし、ボケてもらっても困る場面は少なからずあります。明るい写真を撮ろうとすると、ボケは大きくなりますが、その一方で画面全体にピントを合わせることは難しくなります。
また「ボケ」の取り扱い方の問題も絡んできます。背景をボケさせることで被写体を浮かび上がらせることはできますが、それ以外の方法で被写体を目立たせることもできるわけで、ある意味「ボケの追求」はボケに頼っているとも言えます。実際、ボケるレンズ、カメラを使っていると、「ボケに頼る」場面もしばしば。
「ボケにくいカメラ」は、ピントの合う範囲を広げ、ボケだけにこだわらない写真を作る撮影スタイルにつながっていくわけです。

カメラやレンズの制約が、自分の撮影のスタイルに合うかどうか、あるいは、自分の目指す姿に合うかどうか、それが最近の自分のカメラ選びの基本的な基準になっています。・・あるいは、複数のカメラを使い分けて「トランスフォーム」するのもありかな、なんて言いつつ、今日もカメラサイトをぽちぽちしています。

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?