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ZANGEこたつうさぎ㉟手紙




透明な便箋
引き出しにしまい込んで
何度目の春か

季節に合わせて感情を衣替えする
ありふれた大人になりました

どこかずっと待っていた
いつか労ってもらえる日が来ると
いつか報われる日が来ると
いつか神さまがよく頑張ったねと言ってくれると
だから耐えられる
どんなことも許せる
どんな人も愛せる

違うみたいだ実際は
なにも報われず
なにも叶わない
たとえ労ってもらえることがあっても
それは一瞬のこと
あとにはなにも残らない
何も報われず
何も叶わないで
ただ老いて死んでいくだけという事実を
常に抱えながら
どんなことも許せるか
どんなことも愛せるのか
毎日試されているかんじ

毎日試されていると言っても
試す側は問題だけ出しっぱなしにしてる
こちらが答えても答え合わせはしてくれない
返されることないテストを解き続ける感じ
それを誰に頼まれたわけでもなくやってるかんじ

中学生のころのすきな思い出
夕立にふられて
びしょびしょのグラウンド
靴紐を固結びして走る
白い体操服に肩甲骨まで泥が飛ぶ
帰ったら毎日洗濯機回す
水の溜まらない壊れかけた二層式洗濯機にイラつきながらベランダからよその家の夕飯の匂い

夜寝るとき寝っ転がった丁度真上には
隣家の青い瓦屋根とお月さま
月光が明るくて眠れないほど開けた空
はずれかかった網戸の隙間から
いっぺんに夜が降ってくる
天然プラネタリウム
ボロアパートに感謝
どんないやなことも
過ぎ去れば笑ってあげられる
話し出すと怒りがわいてとまらなくなることも
話し尽くすことがないままに許してあげられる


「自分が治す」という意識
ただ通ってればよくなるとか
いうこと聴いておけばいいとか
薬飲むだけで治るとかがない
薬はそもそも効かないこともある
最初に休んだり従う時期があっても
やがて次の段階へ進む時がくる
穴が空いたので縫って塞いでもらいました
→治りました みたいな
外科でよくある受け身の治療と違って
助けを借りつつも最終的には
「自分が治す」という意識
それが必要とよくわかった
正確には最初からなんとなくわかっていたことを
改めて思い知ったという感じ

先生には大丈夫ですって言えました
2週間に一回を4ヶ月経った
通院頻度さげたいですと伝えられました

「いっこ抜けたのかね」
「考え抜いたっていうのもあるんだろうね」

「大体ね10回前後が一つの目安だからね
認知行動療法も17回とかでしょ
初診が11月で今8回だからうん
いっこ抜けたんだろうね」

次は1ヶ月後になりました
ちゃんと進んでる!

いつもありがとうございます。

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