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(82)2ヶ月半の空白を経て

わたしからはもう、連絡しませんね

最後にそんなメールを送ってから

須藤さんからは、なんにも返信がなかった。


そのまま、

2ヶ月半が過ぎた。


これまでも数ヶ月会えないことはあったけれど、

メールでのやりとりは途切れずにずっとあって、

こんなにも長く連絡が途絶えたことは、いちどもなかった。


わたしたちは本当に、終わってしまったのだな。


そう思いながら、苦しさの中でじぶんを整えながら、でも須藤さんのことをあきらめきれない気持ちを抱えつつ、日々をなんとかやり過ごしてきた。


3月になって、季節は少しずつ変わろうとしていた。

須藤さんの誕生日。

7年前から毎年、彼のバースデーコンサートにお邪魔させてもらってきた。


今年はもう、そのお祝いには呼んでもらえないんだろうけれど。

誕生日のお祝いメッセージくらいは、送ってもいいだろう。

そんなふうにおもって、勇気を振り絞って、2ヶ月半の沈黙をやぶって、お祝いのメッセージを、送った。

そのまま無視されても良い覚悟で。


須藤さんからの返信は、すぐだった。

ありがとう。よかったら今日のコンサートにいらしてください。


2ヶ月半ぶりのやりとりに、心がふるえる。

…会いたかった。

会いたかったの。


彼が、どんな気持ちでこの会えなかったじかんを過ごしてきたのかは、わからない。

けれど、彼が、会いに来て、と言ってくれるなら。

会いにいこう、とおもった。









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