内野マヤさんの考察ともろもろ

こちらは「探偵・癸生川涼介事件譚」のweb onlyイベント「君と歩む旅路」の出展物のよみものになります。
癸生川シリーズ、並びにオンリーイベントにご参加でないかたが読んでも、たぶんあんまり面白くないと思います。

オンリーイベント開催にあたり、以前から頭の中にぼんやりと構想だけあった漫画を、描くならここしかない、でも。とさんざん迷った挙句、開催二週間前の申し込み締め切り日に滑り込んで、さあ!やるぞ!と決心した9月10日。まさにその日から、流行り病に家族で順番に罹っていき、予定が大幅に狂った結果、漫画を描き上げることが出来ませんでした。せめて、漫画にするにあたり色々考察したり妄想したりの努力だけは!見てやって!と現在進行形であがいているところであります。
ちなみに私は漫画や絵を描く人間で、文章は書きません。お目汚し申し訳ない。

内野マヤ プロフィール

前置きはこのくらいにしまして、本題に入りましょう。
内野マヤさん。誰?と思うかたもいらっしゃるでしょう。
「対交錯事件」で二番目の被害者になった女性です。

2003年1月死亡(享年27)
自宅のマンション3階の部屋に、犯人により外から窓を割られ侵入され、刺殺される。額には「74」の数字がナイフによって掘られていた。
G県出身で地元の四大を卒業後、鞠浜のアパレル会社で5年間コーディーネーターとして働いていた。
趣味は映画と観劇。
部屋や持ち物を荒らされた形跡はなく、気になる所持品は、ペアの演劇のチケットと男性の写真、そして朱色のカード。
所持していた音楽ディスクの中身は、近年ヒットした純愛フランス映画のサントラ。

さあ!これらの情報から、内野マヤ像を掘り起こしていかねばなりません。

前述しましたが「ぼんやりとした構想」の段階で、実は私の中での内野マヤ像も、ぼんやりとあったのです。
性被害にあった経験(後述)から、きっと服装はあまり体のラインが出ないような、ダボっとしたスウェットパーカにジーンズ。色は黒とかグレーとか地味目。前髪は長めで、黒髪を後ろにひとつで結んでいるような、とにかく男ウケしないような。
会社でもあまり人と話さず、目立たないような存在。飲み会などには絶対に行かない。言ってみれば、ザ、陰キャ、みたいなものを思い描いていたのです。

…ところがぎっちょん!
アパレル会社勤務!
コーディネーター!(調べた)
えっ、だだだダメじゃん、陰キャ外見じゃ!
オシャレで、少なくとも仕事をする上ではコミュニケーションが大事な職業じゃん!?
陰の者である私にはまったく縁のない人物だと分かり、まずは私の妄想を全部うっちゃってから、内野マヤ像について、しっかり考えなければならなくなりました。

内野マヤさんの外見

対交錯事件の舞台が2003年(だったはず)なので、主に2002年のファッションの流行を調べていきます。
エビちゃんもえちゃん…はいはい、お名前は存じております。で、どんな服装…?
Can-canとZipperでも全然違うよね…内野さんはどこ系なの…where…
そんな中、何とか私でも分かるような文字が!
ざっくりニット
こ、こ、これだああァ~!!
なんかこうざっくりした白ニット!
ボヘミアンスタイル
わ、わかる!駅前で「コンドルは飛んでいく」を演奏してる人たちが着てるポンチョみたいなやつとかでしょ!
下は絶対ズボン!いや、パンツ!これだけは譲れない、パンツルック!
きっと学生時代からの夢であった、アパレル勤務を叶えた人、だからオシャレでなくちゃいけない。でもスカートには抵抗がある。抵抗があるのは、被害に遭ったトラウマがあるから、というのは私の妄想によるキャラ付けですが。

というわけでこんなイメージ


内野マヤさんと永劫会

外見は何となく決まりました。
次は中身です。
内野さんを考える上では絶対に避けて通れない性被害。
いつ被害に遭ったのか。
ここからは情報がほぼ無いので、私の妄想によるところが大きくなります。解釈違い対ありです。

多分、警察に届けていないのではないかと思っています。
なので、夜道で後ろから突然見ず知らずの輩に襲われて、などは除外しました。
おそらく大学時代。サークルなどで酒が入った席での、顔見知りによる。
「お前も酒呑んでノリノリだったじゃん。合意の上だよ」
とかなんとか言われて。
警察に相談しに行こうにも、対応するのが男性警察官。
裁判でも起こしたものなら、何度も何度もトラウマについて供述させられて。加害者の弁護士から屈辱的なことを言われて。
そこで、両親にも友達にも、誰にも言わないことを選択せざるを得なかったのではないかと。夢であるコーディネーターの仕事に就くため、クソ野郎の嫌な記憶を少しでも忘れるため、残りの学生生活を頑張り、鞠浜に上京するに至ったのではないかと。

そして、伊綱が見た朱色の会員証。
永劫会に入会をした時期については、私の中でもまだ少し定まっていません。
永劫会事件が起きた1999年は、内野さんは既に上京しています。
永劫会の所在を思えば、遠く離れたG県の大学時代に入会したとは思えないのです。
けれど、世間一般的には、センセーショナルな事件を起こした謎の団体。そんな団体に、事件後に入ることがあるんだろうか…?でも実情を知れば、入るのかもしれない。伊綱が知らないデザインに変更された会員証、それを所持していたことが、何よりの証明なのかもしれません。

内野マヤさんの内面

内面を探る手掛かりは、そのお名前、そして趣味と持ち物。
「趣味は観劇」と言ったら、かなりの確率で言われてきたのではないかと思っているのです。
「あ~~!!好きそう!マヤって名前だし!!」
生王さんが、敢えて付けた名前に観劇の趣味。…偶然ではないですよね?使っていい要素ですよね??

演劇やお芝居の知識も皆無だったので、こちらも検索頼りです。
ペアチケットの有名劇団は、もう「劇団四季」でいいよね!?
2003年1月の公演…「クレイジー・フォー・ユー」これだ!!
きっとこれを観に行こうとしてたんだ!
きっと誘ったのは、内野さんのほう。過去のトラウマから、男性を避けていたはずです。そこを乗り越えて誘うようなきっかけが、あったのです。
携帯のメールの履歴を見ても、ほとんどスパムばかりだという伊綱。
つまり、お相手の男性とは、まだお付き合いの段階ですらないのです。これから、この観劇をきっかけに、過去を乗り越えようとしていたのだと思うのです。

…いや~~~…酷いお話ですね…酷い生王さんですね…(誉め言葉)

勇気を出して、一歩を踏み出そうとしていた内野さん。
そこで要素として使いたいのが、音楽ディスクのサントラです。
2002年頃に日本でヒットしたフランス純愛映画。
…映画に関しても、非常に疎いので、「歌がヒットした純愛映画…ボディーガードとか??」という始末。
調べてみました。条件に合いそうなのはこれしかない。
「アメリ」
ああ~~~~!!!確かに、オシャレな人なら好きかも!?
この映画の中から、内野さんの内面を探り出すべく、レンタルして視聴してみました。
映画そのものの、好みがはっきり別れるというのも非常によく理解でき、内野さんは、サントラを聴くくらいだから、好きだった側であり。
ならば当然アメリに対するガラス男の励ましは、内野さんに刺さった可能性は大いにあるのではと思ったのです。

『だが、彼女ーー
 自分の人生の軌道修正はやっているのかね?』
『かわいい 私のマヤ
 おまえの骨はガラスのようにもろくない。
 思いきって、人生にぶつかっても大丈夫だ』

物凄く久しぶりに、スカートを履こうかな。
赤系か緑系の、元気になれそうなスカートを。
まだちょっと怖いのと、冬らしくロングスカートで。
日記でカウントダウンしながら、当日を楽しみにしていたのではないかな…そんな風に、考えていました。

内野マヤさんの死亡

そしていよいよ明日!と楽しみにベッドで寝たその夜。
犯人によって、殺害されてしまいます。
この落差。絶望感。朱色のカードのやるせなさ。

この人の人生って、何だったんだろう?

と思ったのが、漫画を描きたいと思ったきっかけでした。
ひどい、本当にひどい
これこそが、癸生川シリーズを好きな要因のひとつであると思っています。


以上が、漫画を描くにあたって考えていたもろもろになります。
…漫画で表現しろってハナシですよねええええすみません…
でも、この二週間では、世界で一番内野マヤさんについて考えた人間だろうと自負しています。
「君と歩む旅路」に寄せて、ここまで駄文を読んで下さり、ありがとうございました!

20220924 かんきりこ

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