福島ユナイテッドFC 2022シーズン選手通信簿

2022年も終わりですね。もうシーズンの日程が終了して1か月以上経過して契約更新とか移籍とかの話もだいぶ出てきたとこなんですけど、毎年恒例の通信簿を書いておきます。例年はタブレットで書いてたんですけど、noteアプリがタブレットのバージョンに対応しなくなったそうでタブレットでは書けず、パソコンに向かってるところです。据え置きパソコンは自由度が圧倒的に足りないので気が向いたら書くって行きませんね。あと完全にワールドカップに夢中だったり12月後半は体力の限界が来たのか寝落ちの頻度が増えまくって書いてるどころじゃありませんでした。

今シーズンについては非常に残念だったというのが率直な感想です。序盤の快進撃も遠い過去となり、歴代ワーストともいえる戦いを繰り返してしまったのは非常に残念です。下手だとか以前に当事者意識がないというか。順位だけ見れば田坂政権、松田政権と変わらないんですけど、見てる方としては非常に苦しかったなと。今シーズン終盤、僕はTwitterで非常にネガティブな感情が渦巻いているとつぶやきましたけど、そのネガティブな思いについては今後また別の機会に書き残せればと思います。
唯一前向きに捉えられるポイントは年間通してポゼッションスタイルを貫いたことでしょうか。このスタイルでいくぞ!というのは示せた。ただ先のワールドカップでもポゼッションスタイルへの5-4-1ブロックであったり明確な対策が構築されて各国が苦労してるのを見るに、ポゼッションへのこだわりに明るい未来が待っているのかは僕は疑問です。まあ、僕がロングカウンターとロングボールが好きなだけなんですが。


GK

21番 大杉 啓 4試合出場6失点
契約更新済み。年間通して2番手の位置を確保。山本海人が負傷離脱した25節~28節の4試合に出場。28節宮崎戦では4失点を食らってしまったので山本海人の復帰もあって再び2ndGKに。2番手としてそれなりに信頼できるという点を示せただけでも上出来じゃないでしょうか。レスポンスもなかなかいいし足下は山本よりうまいし。技術や対応をしっかり言語化できる選手で、自分がどういうプレーを選択すれば失点を防げたかとかちゃんと喋れるのが印象的でした。ただやっぱりコーチングやプレーの選択みたいなところは山本海人に分がある感じ。宮崎戦みたいなときに試合中に守備ラインや個々の対応へのコーチングが出来ればレギュラーへの道も見えるんじゃないだろうか。まずはしっかりと準備を続けてほしいところ。

22番 山本 海人 30試合出場39失点
契約更新済み。諸岡と並んで今シーズンのMVPなんじゃないでしょうか。まさしく守護神。まず個人的に去年の段階で「瞬発力的には厳しくなってきてんのかなあ」なんて思いましたがそんなことはなくて、明らかに去年より身体のキレが上がってる。とにかく危機的な場面でビッグセーブを連発してくれてあらゆるシュートを止めてくれたし、円熟の域に入っている状況判断もお見事。他のGKとはランクが違うなというところを感じさせてくれた。ピッチ外でもチームのふがいなさをズバズバ指摘してくれるし、そのうえで何とか引き上げようと尽力してくれたし、勝っても負けても率直な想いをSNSにあげてくれるのも見てる側からすれば好印象。地域貢献活動として独自に講演会やサッカー教室などの活動を精力的にこなすなど本当にプロの鑑と言える存在でした。本当にピッチ内外でこういう存在は得難いものなので感謝してもしきれない。来年もよろしくお願いします。

31番 上川 琢 出場なし
契約更新済み。年間通して3番手の位置を覆せず。他二人の経験値からすれば仕方ない部分はあるが、まずは準備し続けることが大事なポジションなので焦らずがんばれ。出来れば独自の強みとかを持ちたい。とにかく立ち振る舞いが好青年みたいな感じなのでイベントにはもっと積極的に出していいと思う。  

DF

3番 河西 真 20試合出場
契約更新済み。年間通して3バックのバックアップといった感じに落ち着いた。率直に言って河西の評価は難しい。コンタクトプレーは強いしタックルはよく刺さるし足下も上手い。3バックのどの位置で使ってもそれなりに良いパフォーマンスをするし、雪江より対人は上手いし、堂鼻よりビルドアップは上手いし、大武よりアジリティはある。じゃあなんでレギュラーになれんのやというと要所で失点に絡んじゃうからなんじゃないかと。雑に言うとポカをする。プレー内容のアベレージは非常に高い所にあるんだけどどこかしらで競り負けたり、マーク剝がされたり、パスミスしたり、といったのが散見されて、終わってみると「今日の河西、失点した場面以外は普通に良かったよね」みたいな話に落ち着くというか。対人は本当にうまいし、仮に競り勝てなくても相手に自由を与えないハードマークは素晴らしいものがあるので、それを90分継続できるかが鍵になるんじゃないだろうか。来年で福島5年目、樋口に次ぐ古参である。そろそろ5番を背負わせられる候補になってきてんじゃないかと個人的に思ってるので、来年はレギュラー奪取目指して一層奮起してほしい。あと全然関係ない話ではあるがいい意味でチャラい。試合後のロッカールーム内覧会に行ったときロッカールームから引き揚げてくる河西から、「おつかれっしたー☆彡」(絶妙な語尾上がり)みたいなあまりにもチャラい挨拶されて吹き出しそうになった。これからもそのままのチャラい君でいて。

4番 堂鼻起暉 29試合出場
契約更新済み。3バック左の定位置を確保。対人は相変わらず強いし度々ゴラッソ未遂のクロスバー直撃ロングシュートを打てるのも良い(決まるにこしたことはないが)。空中戦にも強いし相手を叩き潰すのは得意なんだけどカウンターへの対応でとりあえず大外を捨てて中に絞る癖がだいぶ研究されてたっぽくてサイドから侵入されての失点が終盤戦目立ったのは要改善点。左足がうまいわけでもないのでビルドアップでもっとできてくれればなあという場面が目立ってしまったのも残念だった。3バック右で出たときは左の時よりビルドアップに対応できてたので利き足の問題かもしれんが。後半戦はちょっと元気がないプレーに終始した感がある。でもまあ堂鼻の身体を張ったブロックって熱いんすよね。17節松本戦のルカオの強烈シュートを胸板で受け止めて討死しかけたところなんか激アツだった。来年もそういうブロックを見せ続けてほしいし、レギュラーで出つつ課題が出るのはいいことなので3年目の爆発に期待したい。

13番 田中康介 32試合出場2アシスト
契約更新済み。副キャプテンを務め右のWBで継続的に出場機会を確保。1年目の昨シーズンで5アシストを記録した事を考えれば2アシストは寂しい限りだがまあ前線も決めてくれなかったししょうがない側面はある。守備力が高いというわけではないけど終盤まで尽きない運動量で攻守どの場面にも顔を出すのは継続してほしいところ。去年より出来ることがさらに増えた印象で、右のワイドの位置から裏へのスルーパスであったり、大外だけでなく中に入って受けたり、ハーフスペースに飛び出してシュートに持ち込んだりと格段にプレーの幅は広がった。その分、終盤戦まで縦への強引さや積極性が消えてしまっていたのが悔やまれる。そういう意味では出来るい事が増えた中での停滞の2年目というのは池田昌生とダブる気はする。あといい位置に顔出してシュートだけが残念みたいな場面多すぎたのでそこが改善できればかなりスケールアップした選手になりと思う。3-5-2導入後の終盤5試合は諸岡とともにキャプテンの自覚からか何とか現状を打破しようと前に進もうとするプレーが増え好印象。30節鹿児島戦のアシストはこれぞ田中康介といった感じのプレーだったんじゃないでしょうか。やっぱりドリブル突破を軸にしたプレーをしてほしいなと個人的には思います。

20番 北村椋太 16試合出場2アシスト
契約満了で退団、J3宮崎への移籍が決定済み。序盤こそ左WBのレギュラーだったが後半戦見事に干された。別に干されたわけでもないんだろうけど。陸のハイパフォーマンスに押し出される形になってしまった。左足からのクロスの精度と質はずば抜けたものがあったが基本的に左足しか使えないし左のアウトが使えるわけでもないので状況に応じたプレー選択が限られちゃうのよね。加えて、中に入っていくプレーも装備できなかったので、大雑把に言えば出来ることが相手の大外のレーンを牽制しつつタッチラインからクロスを入れるというプレーだけになってしまった。そういうプレーに特化しすぎていてティキタカをやりたい服部ユナイテッドには合致しない選手になってしまった。天皇杯県代表決定戦の時みたいな飛び道具的一撃必殺のクロスは魅力だし、守備もタフにこなせるSBなので普通に主力として活躍できる場はたくさんあると思う。つくづく福島は純然たるSB不毛のクラブだよなと思う。来年宮崎でクロス地獄を披露してください。

27番 新井秀明 1試合出場
契約満了で退団が決定済み。年間通してCBのバックアップのさらに控えという序列を覆せず。上背はあるんだけど対人に強烈という部分も見せられなっかたし、左利きというビルドアップ時の利点も上手く活かしきれなかった。練習とか見てると右足も普通に使えるし3バックの中央でもそれなりにやれてはいたけどレギュラーと河西を脅かすレベルには至っていなかったので残っても来年出場機会がどれだけあったかというと難しいところかなと。ただ大卒1年目をいきなり契約満了はクラブ側にも多分に落ち度があると思います。例えばレンタルでどこかに出すなり成長できる機会は与えるべきなのではないかと。とにかく本人は諦めずがんばってほしい。

44番 大武峻 29試合出場5ゴール
契約更新済み。3バックの中央で不動の存在に。CBで5ゴールは上出来すぎるんじゃないでしょうか。流石にJ3ではあらゆるスペックが段違いというか、単体のCBとしてはリーグ最強クラスだったんじゃないかしら。空中戦は向かうところ敵なしだし、仕掛けてくる相手を引き込んでも止められるし、逆に前に出ても潰せるし、足元でボール持っても的確に捌くし裏にも蹴れるし楔も当てられるしで、弱点がアジリティとかスピードの面くらいのもんで福島レベルのクラブでは非常に得難い選手だなと。主力のCBで出ててかなり相手とやりあってるのに警告を一切もらってないクリーンさも素晴らしい。そしてなんせセットプレー時の得点力が頼りになりすぎる。秋以降の戦いでは前線が全然頼りにならないので冗談抜きに大武のダイナマイトヘッドが頼みの綱だった。終盤戦もポゼッションしても結局後ろに戻ってくるボールを縦に送り続ける意思を示した点も好印象。来年も間違いなく守備の柱なので怪我せず頼みます。

MF

6番 諸岡裕人 32試合出場2ゴール3アシスト
J2秋田への完全移籍が決定済み。文句なしに今シーズンのMVPじゃないでしょうか。今シーズンも引き続きキャプテンを務め、いよいよ覚醒というか、このカテゴリのボランチとしては異次元の領域に突入した。1試合平均プレー数リーグ2位(1位は雪江)、1試合平均敵陣パス数リーグ1位、1試合平均タックル数リーグ3位というJリーグ公式スタッツが物語るように、誰よりも多く高い位置でボールを触りながらも守備にも奔走し相手を潰し続けた。まずフィジカル面の向上が著しくて、以前の写真と見比べると太ももとか肩回りの筋肉量があからさまに違うんですよね。とにかく相手をぶっ飛ばしてキープする、ボールを奪うという場面が明確に増えた。長短のパス精度や視野の広さも劇的に向上して右に左にバシバシ捌くしビタビタとボールをつけられた。また、キャプテンとして苦しい戦況でもボールを前進させようという気迫を見せ続けてくれたのも好印象。特に3-5-2導入後の終盤5試合はまさに孤軍奮闘、獅子奮迅と言う他ない圧巻のハイパフォーマンスを見せてくれた。個人的にはシーズン最終戦後に「人間ってすぐ忘れてしまいます。もちろん次に向かうことは必要ですが、絶対に忘れちゃいけないシーズンだったと思います。」というコメントを残してくれたからこそ、来年も福島に残って戦ってほしかった。悔しさを忘れないとは誰でも言うけど、あえて人間はすぐ忘れると前置きした上で忘れちゃいけないという自覚がある選手だからこそ一緒にJ2を目指してほしかったけど、上に引き抜かれて当たり前なパフォーマンスを年間通して見せてくれたので致し方なし。素晴らしい選手に成長してくれました。本当にありがとう。

7番 遊佐克美 出場なし
契約満了で退団が決定済み。地元出身戦士もベンチ入りの機会も訪れず契約満了。育成年代への精力的な訪問活動は素晴らしかったもののピッチで躍動するところが見たかったというのが正直な想いです。戦力というよりは伝道師的な感じになってきてるのでしばらくはそのスタイルでやっていくのかしらね。本当に熱さ、魂をとうスタのピッチで見られなかったことだけが心残り。福島県のサッカー振興という大きなくくりで見ると今後も活躍し続けそうなのでいつかまた再会できるでしょう。また会う日まで。

8番 吉永大志 1試合出場
契約更新済み。開幕直前の大怪我から復帰に時間を要して帰ってきたのは25節長野戦。数分間シャドーでの出場だったが明らかに他のシャドーの選手とは違ってゲームのリズムを変えられる選手だなというところは示せたんじゃないかと。ただそこからまた身体の具合は良くなかったっぽくて結局その後は出場できず。とりあえずは来年万全の態勢で戻ってきて欲しいのだが、その時WBをやるのかシャドーをやるのかボランチをやるのか全然読めないので、来年は正念場になりそう。河西と共に5年目を迎える古株である。僕も推しの選手なので何とか頑張ってもらいたい。

14番 向井颯 出場なし
契約更新済み。高卒ルーキーは何度かベンチ入りはしたものの出場機会は訪れず。多分WBが主戦場なんだろうけどWBで使うにはタイプが森とダダ被りなのよね。守備に明るいわけじゃないドリブラーというところが。高速シザースを織り交ぜたスピーディーなドリブルは見所があるので今後に期待。福島だとWBかシャドーしかポジションがなさそうなので守備力の強化かボールを受けるポジショニングのを磨くのは必須になるんじゃなかろうか。どうでもいい話だが173㎝という割に小顔で手足が長いせいか結構背が高く見える。思ってたよりデカい。

18番 橋本陸 32試合出場5ゴール4アシスト
J3相模原への完全移籍が決定済み。中盤戦以降は左WBの絶対的レギュラーに。去年、一昨年と僕は陸に対して「出来ることを増やさなくてはいけない」と言い続けたわけですがそれに満額回答で応えてくれた、そんなシーズンでした。大外からドフリーで右からのクロスに突っ込むという必殺の形でゴールを量産。攻めあがって果敢にクロスを入れ続けてチャンスメイクの部分でも大きな成長を見せてくれた。守備でもしっかり戻ってくれるし、ビルドアップでもうまくハブになったりキープしてくれたりで長足の進歩。何気に右足も左のアウトも使えるし、流れの中で斜めにボールを運んで局面を動かせるのも効果的だった。鬼プレスはポジション的にみられなくなったもののスプリンターぶりは健在で、8月~9月にかけての1週間で3試合という過密日程ではフル出場しながらも毎試合終盤に猛然とスプリントしてサイドを駆け上がるなど無尽蔵のスタミナを見せてくれた。毎回終盤に陸がスプリントかけるシーンってスタンドが湧くんですよね。走るし点も取るしアシストもするので終盤は完全に看板選手みたいになってたので移籍は残念無念。来年対戦するときは大人しくしててください。

26番 新井光 30試合出場3ゴール1アシスト
期限付き移籍期間満了、J3今治への移籍が決定済み。3-4-2-1のシャドー、3-5-2のインサイドハーフでレギュラーに。正直言うとゴールやアシストの数は物足りなかった。ただ誰よりもタスクに忠実に愚直に走り続けてくれた選手だと思います。相手を二度追いしたり前プレかけ続けたり守備でもどこにいてもしっかり帰陣してくれたり、勤勉さが際立った印象。裏へのランニングだったり、降りてきて受けたり、ミドル打ってみたり、かなり色々な事をやってくれてたんだけど、個で密集を切り抜けたりフィニッシュに持ち込むパワーや技巧があるタイプでもないのでゴールから遠い位置でボールを受けちゃうとなかなか結果につなげられなかった。出来ればもっとターンで前向いたり前への仕掛けの意識があるともう一皮むけそう。基本的は技術はしっかりしてるのでタスクの割り振りさえちゃんとやれればJ3では普通に活躍できるんじゃないかしら。

30番 清田奈央弥 9試合出場
夏にJ2磐田から期限付き移籍。コンディションが全然上がらなくて出遅れたものの終盤戦ではボランチやインサイドハーフで存在感を見せた。率直に言えば夏の補強で試合に絡むのに時間がかかってるのはよろしくないし、最終的に効果的な働きができたかと言えばそういうわけでもないのだが。パンチのある強烈な左足のキックは魅力があったし質のいいパスも出せるみたいなのだが周囲との擦り合わせが追い付かなかったのが悔やまれる。本人も技術面はともかくコンタクトプレーには脆さを露呈して、プレスに晒されるとかなりロストが増えていたので要改善。フィジカルを向上させながら強烈な左足を活かせるプレースタイルを模索していくべきだが、サイドを主戦場にするのか、ボランチを主戦場にするのかも考えていくべきじゃないかしら。服部監督の嗜好的には福島に置いておきたい選手だろうけど磐田が人を他所に貸してる余裕がなさそうなのでレンタルバックになるんじゃないかと予想してます。

32番 大森博 12試合出場
夏にJ2徳島から期限付き移籍。イケメン。司令塔タイプで188㎝の大型ボランチはこのJ3では新機軸すぎた。あまりにも面白すぎる。デカいのに足下がべらぼうに上手くて高精度のフィードは飛ばすしヌメヌメとキープしながら攻めあがってくるしミドルもなかなかの威力。手足も長いのでアフリカンみたいなリーチのボール奪取が出来るもの良い。バック右にも入ったけどまあ相手を止められるし競り合いも強いし後ろから組み立てられるしでこっちもなかなかに良い。待ち構えて止めるのは出来るけどボランチとしてはもう少し潰しにいければといった感じだがポテンシャルは十分に感じさせてくれた。あとはもっと前にボールをつけたりラストパスを出す意識が強いと怖さが増すんじゃなかろうか。まああとサイズのわりに当たりに強くないのはちょっとアレだがまだ高卒2年目なので伸びしろである。今後はサイズを活かして3列目からヘディングとかでフィニッシュに絡んでいければさらに面白くなるんじゃないかと。このサイズでボランチは面白すぎるので来年も福島でボランチやっててほしい。

35番 柴圭汰 10試合出場
契約更新済み。ずっとシャドーで使われていたものの3-5-2導入後はインサイドハーフのポジションを掴み5試合連続の出場。やっぱり柴はプレーの選択であったりプレービジョンが賢いプレイヤーだなと。味方の使い方とか位置取りとかが上手いしシンプルにはたいてボールを前進させるプレーが印象的だった。身体の当て方とかも上手くなってきて簡単には当たり負けなくなったし、懐に潜り込んでボール奪取する場面を何度も作れたのは大きな進歩。ただしまだまだパワー不足な感じはするのでプレーで補うのか、シンプルにパワーをつけるのかは考えなきゃいけないところに来てる気はする。このサイズでアタッカー以外をやってるのは稀有だから頑張ってもらいたい。何はともあれ結果的に今シーズンはきっかけを掴めたシーズンになったんじゃんかろうか。

38番 粟野健人 10試合出場
特別指定登録だから来年の新卒なんすよね粟野って。柴と同じく小兵なんだけどこっちはガッツとエネルギッシュさがウリのファイタータイプ。シャドーでもボランチでもWBでも行けるというのは明確にアピールポイントになるのでは。ただ守備での激しさはともかく攻撃面ではもう少し出来ることを増やしたい印象。もう少し捌いたり縦につけられるといいのだが。相手をかわしてどうのこうのというタイプではないのでアタッキングでの武器を見出したい。ともあれ特別指定ながら年間通して練習に参加していたようなので来年もスムーズにスタート出来るんじゃないかしら。

41番 上畑佑平士  23試合出場1アシスト
契約更新済み。ボランチやって微妙にレギュラーになったりならなかったりしてるうちに右WBという新境地を開拓。そのまま右WBへ定着かと思われた矢先に負傷離脱し終盤戦まで帰ってこれなかった。ハイライトは何といっても19節今治戦。ほぼぶっつけ本番で右WBのポジションを託されながらも、自分なりの味付けをしたゲームを作るWBとしてのプレーでチームに勝ち点をもたらした。ほとんど練習していないという中で、田中のプレースタイルを真似るわけではなく自分の出来ることと強みをプレーに落とし込んで即座にスタイルを確立できるのは上畑のフットボールIQの高さの証明だと僕は思うんすよ。それだけ賢いのだからもっと前への果敢さを出してほしいというのが正直なところ。今後もWBをやるのかボランチをやるのかはわからないが、その素晴らしいフットボールIQや鮮やかな技巧も前への強い意志と組み合わせるときっともっと輝くと思うので来年こそ中心選手になる覚悟でやってほしい。お前がやれお前が舵をとれ。

FW

9番 高橋潤哉 31試合出場8ゴール1アシスト
期限付き移籍期間満了でJ2山形への復帰が決定済み。CFのレギュラーを年間通して獲得して、開幕9戦6発の男がまさか15試合ノーゴールでシーズンを終えるなんて思うわけないやん。31戦8発は11位のクラブのFWだとまずまずかなみたいに見えるんですけど後半戦2点だけという大失速は流石にどうかと。 6節相模原戦や18節鳥取戦のような劇的決勝ゴールを叩き込んだ素晴らしい場面があったのも事実ではあるが。エースとして警戒されたのは確かにあるけど後半戦はとにかくGK正面か枠外にしかシュートが飛ばなかったしそうこうするうちに勝負どころでもシュートにいかず味方へのパスを選択するようになってしまった。さらに悪いのは味方へのパスを選択しながらそれが全くアシストにつながらなかったことじゃないだろうか。結果論かもしれないがシュートを打たなければ決して得点はできないのである。エースとしての自覚があるなら「俺が決める俺が勝たせる」という意思をプレーで示してほしかった。得点以外の部分では誰よりも信頼できるCFとして前線からのプレスとか基準点としてのポストプレーを精力的にこなしてくれたのは本当に助かった。特にポストワークは非常に素晴らしく、他のFWとは雲泥の差と言えるくらいの収まり様だった。背負ってキープできるFWはかっこいい。強靭なフィジカルを活かして相手を跳ね飛ばしながらゴールへ突進する姿も迫力があったし、これで点が取れれば間違いなくJ2でも通用すると胸を張って言える選手だったと思う。本当に得点という結果だけが足りなかった。今後はまずシュート精度を磨くことを第一に山形でがんばってほしい。

10番 森晃太 27試合出場3ゴール3アシスト
契約更新済み。ドリブルでの打開力を武器にシャドーや右WBで試合に出たものの先発はわずかに4試合。8月~9月にかけての2戦連続1ゴール1アシストでいよいよ覚醒かと思われたもののその後トーンダウンしパッとしないままシーズンを終えてしまった。ちょっと及第点はあげられないシーズンでした。そもそもシュートが決まらないというのもあるんだけど、まず本人のやりたいことと出来ることに乖離があって、本人は左からのカットインで右足シュートをやりたいわけだけど基本的に左足がそこまで上手くないので(なんだかんだ左足でミドル決めたりしたけど)右サイドの時みたいに相手を抜けないんですよね。そんなわけで出来る事となると右サイドで縦に突破してクロスを入れるという事になるわけですがそこも上手く機能してたとは言えなくて。相手を抜くにも森はボールタッチで抜いていってるんじゃなくて重心フェイントと切り返しで抜いていってるんで低速か静止状態からじゃないと基本的には抜けないんですよね。なんで突破できる状況が限定されてしまった。ハマると面白いくらい抜いてくんだけども。守備ももっとしっかりこなせるようにならなきゃいけないし、球離れも改善の余地あり。キックパワーや右足の精度自体はあるのでもっとシンプルなプレーを磨いていく必要があると思うし、突破力を期待されてるわけだからもっとドリブルも向上させていかなきゃいけない。10番を背負っているのは伊達じゃないというところを示さなければ。一応PKはクソ上手い。ホント右足のキックのパワーと精度は素晴らしいと思う。練習でもシュートはバンバン決めてるわけだし。来年は勝負の年として気合入れなおしてがんばれ。                 

11番 雪江悠人 28試合出場2アシスト
契約更新済み。3バック右の定位置を確保。2020シーズン以来のCBへ再びコンバート。夏ごろまではプレーに自信が漲っていて、守ってよし攻めてよしみたいな感じだったが秋ごろの負傷離脱後から急激にトーンダウン。心ここにあらずというか、ぼんやりとしたプレーに終始し失点を重ねてしまった。スピードもフィジカルも技術も兼ね備えたCBとして夏まではハイパフォーマンス。特に技術面は去年とはまるで別人。高精度のフィードやボランチ、WBと連携した効果的なビルドアップと攻撃参加、チャンスメイクが冴え渡り、雪江自身のセンスに依存する部分は大きかったとはいえ間違いなく福島の一つの武器だった。秋以降の失速は残念だったが再コンバートは成功だったといえるのではなかろうか。キャリア4年でCB2年、FW2年やってるわけだが来年はどうするのか、今後他のクラブに移籍するにしてもCBとしてはピーキーな選手だと思うから福島に残ると思うんだけどなあ。河西、吉永共々5年目である。そろそろポジションを落ち着けたいところ。

17番 延祐太 31試合出場3ゴール1アシスト
契約更新済み。年間通してシャドーのポジションを確保。出場数やチャンスの数からすると3ゴールでは物足りなさが残る。相手のギャップや空いたスペースで受けるのがめちゃくちゃ上手くてビルドアップの潤滑剤になったものの推進力や前への意識が対なかった感もある。もっと果敢にターンや前を向いてCFにパスを供給する努力はしてほしかった。やっぱり当たりに弱すぎてコンタクトプレーを避けたポジショニングだったりプレーを選択しちゃうんすよね。だから相手としても行動をある程度牽制できる。ここは何としても延には乗り越えてもらいたい部分だしそのためにもフィジカルの強化は必須。21節いわき戦のゴールのような接触を恐れずワンタッチで仕留めるプレーを増やせれば結果もついてくるはず。鋭い抜け出しももっと味方とすり合わせて効果的にフィニッシュに持ち込めるようにしたい。一つ一つのプレーの要素は光るものがあるだけにそれをどうやって効率よく相手に打撃を与えられるように活かすかが今後の課題になるんじゃないだろうか。

25番 長野星輝 31試合出場5ゴール
契約更新済み。前半戦の通信簿でレヴァンドフスキになれると言ったけどよくよく考えたら全然レヴァンドフスキっぽいプレースタイルしてなかったすね。ポジションシャドーだし。ただ背負った状態からのターンの仕方の雰囲気はレヴァンドフスキっぽいと思う。高卒2年目でレギュラーになって5ゴールなら十分合格点なんじゃないでしょうか。出来ればもっと点とってほしかったしできたんじゃないかとも思うけど。ドリブルでの推進力やターンの鋭さ、強烈なシュートが光ったが、最も素晴らしかったのはシュートまで持ち込もうとする積極性。相手2人を引きずってでもシュートに持ち込む攻撃性はチーム随一で、攻めあぐねる中で明確な切り札となった。20節相模原戦や25節長野線など投入から数十秒で結果を出すなど十分インパクトは残した。相手をいなしながら背負ったりするのは上手いけど踏ん張りは効かないのでCFとしてポストワークを任せるのはまだ厳しいものの、その点は今後の伸びしろかと。守備での継続性やポストワークやヘディングの技術を磨くといった課題はあるものの順調な成長曲線を描いていると思うので来年こそエースとして活躍してほしい。

36番 栗原イブラヒムジュニア 13試合出場1ゴール
夏にJ1清水から期限付き移籍加入。期限付き移籍期間満了で退団、J3相模原への移籍が決定済み。夏のCFの補強としては落第点です。191㎝あるけど競れない、ポスト出来ない、フィニッシュの精度がびっくりするほど低くて試合に出ても何もできないまま終わるばかり。活躍したのは秘密兵器状態で相手をビビらせた18節鳥取戦とJリーグ初ゴールを挙げた20節相模原戦くらい。ちょっと色々と厳しかった。スピードも足元の技術もサイズもフィジカルもあるけど体の使い方とかシュートの技術が高校年代で止まってる感じなので非常にもったいない。相模原ではCBに挑戦するそうなのでコンバートがうまくいくことを祈ります。

40番 樋口寛規 24試合出場2ゴール4アシスト
契約更新済み。部長は再びボランチへコンバート。攻守にバランスをとったりピンポイントに顔を出して存在感を見せたけど昨シーズンのシャドーでのパフォーマンスを見た後だとどうしてもシャドーでの活躍を夢見てしまうのよね。それでも2年連続チーム内アシスト王なのはお見事。前ほどタフな運動量は発揮できなくなってきてて終盤戦はいてほしいところに間に合わない場面が目立ってしまった印象。あと根本的にパサーや司令塔ではないのでゲームメイクさせるにも限界がある。ただやっぱり気が利くプレーをしてくれるし要所で馬力のあるプレーをかましてくれるのでもっとタスクを整理したうえでプレーさせてあげたい。どの監督が使ってもポジションは樋口みたいな感じで結構自由に動き回らせてるのでそういうのが合ってる選手なんだろうか。あと最終戦で出してた樋口監修のサバカレーは衝撃的に美味かった。辛さの調整とか樋口がしたっぽいけど樋口のセンスは凄い。さてそんな樋口だが最古参で来年福島8年目である。もう7番つけさせてもいいんじゃないかしら。十分それに値する貢献はしてくれてると思うよ。

46番 堤聖司 9試合出場
契約更新済み。シャドーで出場機会を得たものの結果は残せず。時間は短かったとはいえ何かしらのインパクトは残したかったところ。意外とキープからのパスとか見所のあるプレーはしてたけどフィニッシュの部位が未知数なのでなんとも判断しがたい。高卒2年目というところを考えると決して悪くはないとは思う。なんか服部監督は目をかけてる雰囲気だがそろそろ結果が欲しい頃なので来年は勝負の年か。
 

監督

服部年宏 11勝9分14敗
49歳という年齢、元日本代表やJリーガーとしての輝かしい実績、やたらデカい声、やたら堂々とした立ち振る舞い、ジュビロ磐田強化部長としての長年の活躍、いろんな要素のせいで忘れがちですけど服部監督ってJクラブの監督1年生なんすよね。そういう意味ではエクスキューズはあるのかもしれないけど、大丈夫とは言ってられない成績ですよねこれは。ものすごく松田監督時代の焼き直し感が強くてショートパスでの打開にこだわり遅攻になって相手のブロックの前で無限にボールが行った来たするサッカーになったのは見てる方としてはしんどいものがあった。ただ、浦和レッズサポの有識者からは「ハーフレーンの取り方には明確な連動性があった」と評してたりしたのでやろうとしたことが全くできなかったわけではないんだと思います。しかし若手を成長させる手腕であるだとか選手のレベルとコンディションの見極めとかについては経験不足を露呈した格好になってしまったし、本人の言葉足らずというか全然ファンから愛される感じの言動が出てこない割に見てる方からしたら「え?」みたいなコメントが出てきて無駄に反感買ってたりしたのはちょっと擁護はできないなーと。ただし続投コメントにもあったように、「前へ」の意識が足りなかった自覚はあるようなのでとりあえずは来年に期待しましょう。一応うまくいっていないとはいえポゼッションのスタイルを年間通して続けて来年もこれで行くぞという感じになった監督って初めてなんじゃないかと。今年の大なり小なりの積み上げを是が非でも来年にぶつけなくてはならない。

途中退団の皆さん

ファンティー二燦
今シーズンは年頭からJ2山口に期限付き移籍。山口のGKの層も厚くて全然ベンチにも入れなかったようだが環境を変えて何かしらを掴んで帰ってきてほしいところ……と言いたいのだが現所属のGK3人とも契約更新してしまったのでどっかに再レンタルになるんじゃないだろうか。まずは試合に出られる環境に身を置くステップに移りたい。

賀澤陽友
今シーズンも昨年に引き続き北信越1部の福井ユナイテッドFCへ期限付き移籍。福井では9番背負ったりして期待されてたのだが今年の福井はコケてしまったし絶対的レギュラーというわけでもなかったっぽい。福島も新卒含めてシャドーのポジションは編成がほぼ埋まってるので退団になる可能性が高いんじゃないかと。前GMの竹鼻さんが「高卒とってきて責任取れんのか」的な事を昔言ってたけどちょっとそういう案件になりそう。

10番 鎌田大夢 出場なし
今年は10番を背負う!と沸き立ったところで静岡キャンプに向かった最中の2月にJ2仙台へ電撃移籍。マジでチーム始動してからの移籍はやめてくれ。仙台ではある程度試合に出たけどサブの域を出なかったっぽい。中盤の構築力やラストパスは今シーズンの福島に欠けていたものなのでやっぱり移籍は痛手だった。

33番 八木大翔 出場なし
高卒ルーキーは出場機会が無く夏に関東1部の東京23FCへ期限付き移籍。CBをやったのかSBをやったのかわからないけど東京23FCでもあんまり出場機会が無かったようなので来年もどっかにレンタルになるんじゃないだろうか。今年の3バックのスタメンとバックアップがそっくり残ってるし。現状では試合に絡めるところに行った方が成長に繋がりそうなので個人的にはレンタル継続を推奨。

39番 鈴木翔登 出場なし
6月に急遽現役引退したものの来年からJFL新宿で現役復帰。現役復帰についてはちゃんと福島に詫びをいれてるからいいんだけど、やっぱり福島が選手にシーズン途中で辞めたい出ていきたいと思わせるようなチームだったのはホントに良くないと思う。今シーズンのチームが一丸になれていないことを象徴する選手だったんじゃないでしょうか。

49番 サイモン 1試合出場
謎のベールに包まれたまま7月に契約満了で退団。CFとしてのポテンシャル、能力は夢を見れるものがあったが服部監督は戦力に計算せず。結果論ですけどサイモンをちゃんと育てられれば高橋に正当な競争環境を与えられたし、栗原があの感じでもここまで自分たちの首を絞めずに済んだと思うんですよね。サイモンも加入直後に大怪我で離脱したことと監督も戦術もまるっきり変わってしまったことで不幸な移籍になってしまったなと。そのうちまた日本に戻ってきてほしい。


そんなわけで22シーズンの感想でした。冒頭でも言ったんですけど、今シーズンはかなりストレスが溜まったというか色んな不満が個人的にはあるわけですよ。それは内的な要因だったり外的な要因だったりはするわけですが、大雑把に言うともっと地域に根差してくれというのが正直なところ。諸岡が最終戦の挨拶で言ったように、今後福島ユナイテッドに所属する子供たちが胸を張れるようなクラブにしていかなきゃいけない。今現在の後ろ指さされたり、お隣さんの添え物のような扱いをされるクラブに甘んじるのは罪だと思います。福島ってかっこいいビジネスライクな都会じゃないんですよ。特に県北と会津は経済の中心地じゃないのでなおさら。農村が広がる古めかしいダサい田舎なんです。でも福島ユナイテッドはそこで根差して戦うんだからその土地に合ったスタイルを確立しなきゃいけないと思うんです。

チームは来年もポゼッションスタイルを貫くという姿勢でいますけど、まあ僕は悲観論者なんであまりいい未来は期待できていません。いやこれでマジで23年J3クラブがどこも福島のパスワーク全然止められんわってなって毎試合5-0で勝ってたら手のひら返しますけど、そこまでの劇的な向上を見せるとはとても思えないので。まして来年からは降格の恐怖とも戦わなきゃいけない。ここまでなんとかJ2ライセンスを獲得するとこまではこぎつけたけど、上に行くより下に行く方が早そうな戦いに終始してるんですよね。一寸先は闇。
とはいえ来年も僕は福島を応援しますしスタジアムにも足を運びます。JFL時代からだからもう10年このクラブを追っかけてるわけですけども、未だに熱くなれるんだなあと自分でもびっくりです。ワールドカップ見てて思ったんすよ。あれだけ世界のスーパースターが世界の頂点目指してスーパープレーを繰り広げてるの見てても、自分が本気になって見て、失点に大いに落胆し怒り、得点にアホほど繰り返し歓喜できるのは福島ユナイテッドだけなんだと。ちょっと自分でも不思議なくらいでしたね。こんな3部リーグのボトムハーフのサッカー見てる方が充実してるなんて。メッシがこの世のフットボーラーとしての栄誉をすべて手に入れた瞬間より、田舎の銀行員がJリーガーとして1点取ってから引退したいという夢がかなった瞬間の方が泣ける変人なんすよ。今目の前にあるフットボールに感謝です。でもJ2にいけばもっと楽しい未来が待ってると信じてるんで、来年は絶対行くぞJ2。


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