福島ユナイテッドFC 19年前半戦の選手通信簿

17節ロアッソ熊本戦を終えてJ3も折り返し・・・なんですけどズルズルと先延ばしにしてタイミングを見失ってるうちに19試合も消化してしまいました。とりあえず前半戦の振り返りというか選手評を書いていこうと思います。直近5試合で4勝1分と絶好調な福島。後半戦の反転攻勢への期待も込めてお盆休みを使って書き上げてます。出場記録はリーグ戦のみです。

GK
1番 堀田 大暉 18試合出場 23失点
3年目を迎えた守護神はレギュラーをがっちり確保。毎試合のようにビッグセーブを見せてくれている。後ろからつなぐスタイルにもうまく順応できている。守備範囲も広くなり果敢な飛び出しも見せた。後はパントとかロングフィードの精度が上がってくればいうことなし。

16番 キム ミンジュン 1試合出場 2失点
高卒ルーキーながら一時はユノを差し置いて序列2番手になり出場も果たした。セーブ、フィード、ハイボール処理どれも可もなく不可もなくといった印象だけど、むしろ高卒ルーキーでここまでやれた事を評価したい。横っ飛びの伸びが素晴らしかったので将来ビッグセーバーの予感。

21番 イ ユノ 出場なし
ミンジュンに遅れをとったりはしたものの最終的に2番手の位置に落ち着く。今は耐え時なのでしっかりと準備を続けてほしい。

DF
3番 阪田 章裕 19試合出場 0得点
阪田大先生は衰えの色を見せながらもベテランとして、キャプテンとして意地を見せた。ちょこまかしたアタッカーとかフィジカル勝負に持ち込まれると遅れをとる場面が増え、マークした相手に振り切られる事も多かった。足下に強みがあるタイプでもないので戦術的にキャパシティオーバーだった印象は拭えない。それでも監督からも高く評価された戦術理解力や持ち前の判断力でやれることはきっちりとこなした。失点に絡む場面も目立ったが、勝利の裏に冷静かつ最適なプレーを選択する阪田の奮闘があったのも事実。35歳になった割にタフな方なのでもうひと踏ん張りしてほしい。

4番 宇佐美 宏和 9試合出場 0得点
激しいコンタクトプレーやスピードを武器に左右のSBとして出場。荒っぽさは否めなかったが強度を確保する点では機能した。ビルドアップ面では物足りなさが残ったし、左SBだとぎこちないプレーが多かったがベテランになっても身体能力の高さは顕在。あんまり戦術にマッチしてる感じがないけど走力をいかしてポジション争いに食い込みたい。

5番 岡田 亮太 11試合出場 0得点 1アシスト
序盤はCBだったが寺前、河西に遅れをとりベンチにも入れない日々が続いたが左SBとして華麗に復活。右利きながら左足も遜色なく使えるポイントが強みとなった。ビルドアップやフィードもそれなりにこなせるしフィジカル勝負や空中戦にも強みを見せる。セットプレーなどではファーサイドの折り返し要員として活躍。ベテランと呼ばれる年齢になったがまだまだプレーの幅を広げているあたりは好印象。

13番 石渡 旭 2試合出場 0得点
大卒ルーキーで開幕スタメンを勝ち取り2試合連続で出場したもののその後はベンチへ。最近だとベンチにも入れなくなってきた。フィジカルもそこそこだし思いのほかテクニカルなプレーを左SBで見せていたが・・・攻撃面と守備面さらなるレベルアップが不可欠。あとクロスやカットインからのプレーの幅を増やしたい。

15番 石堂 圭太 5試合出場 0得点
直近5試合でクローザーの立ち位置を確立。サイドでシンプルに運動量とスピードを確保出来るし左右どちらのSBにも対応できるというポイントが活きた。局面で身体を張って何が何でもマイボールにしようとするガッツもクローザーとしてgood。上手さは無いけど縦に運ぶスピードと攻守共に思い切りの良さが光った。技術面、守備時のポジショニングなどを磨いてスタメンを確保したい。

19番 河西 誠 11試合出場 0得点
シーズン開幕時はCBの序列で最下位だったものの虎視眈々と準備を続け、9節で初出場を果たすとそのままレギュラーを座を確保。ハードマークで相手の前線を封殺し、要所での対応もクレバーかつタフ。競り合いや相手の懐へ飛び込むタイミングの取り方も圧倒的に上手い。上背の割りに空中戦に強いし、数的不利の局面でも踏ん張れる対応の上手さは素晴らしいものがある。ビルドアップでも味方のサポートも考慮した気の利くポジショニングが取れる。パスの精度とかフィードの技術はまだまだ物足りないが、守備力は既に一級品。今シーズンの大卒ルーキーの中で最も輝いている選手といえる。

22番 寺前 光太 4出場出場 0得点
リーグ戦デビューも果たしてCBのバックアッパーにまでは定着できたが、なかなか出場機会は掴めなかった。全くベンチにも入れなかった昨シーズンに比べれば大幅に進歩したがまだまだ物足りない。真っ向きっての競り合いやコンタクトプレーには強さを見せたし、果敢にフィードを狙っていく姿勢は買えるが些細なミスとかクリアの甘さも目立った印象。高さと強さは証明できているだけに、もっと安定感を身につけたい。

31番 東 隼也 1試合 0得点
今シーズンは出場機会を掴めないまま昨年と同じ箇所を骨折し離脱する結果となってしまった。スピード、足下の技術、身体の強さといったポテンシャルは十分持っているので、まずは万全のコンディションを取り戻したい。ピッチ外ではユナTVやイベントでの賑やかしや、グッズ「東セット」の販売で大車輪の活躍。

MF
6番 輪笠 祐士 18試合出場 1得点 1アシスト
右SBの定位置を確保。序盤こそ低調な出来に終始したが、大敗を喫したYSCC戦を境に覚醒。力強くクレバーなボール奪取で反撃の起点となり、マイボール時にはインサイドハーフの位置に動きビルドアップやゲームメイクでチームを牽引。中盤でボールを持っても失わずに確実に前線へとボールを進め、リズムを作り出した。特に攻めあがった時のスルーパスの質はずば抜けている。相手の隙を突くミドルやカットインでも脅威となり続けた。とにかく賢いプレーや判断の早さが別格で攻守両面でチームを引き上げていた。個人的な前半戦のMVP。

10番 橋本 拓門 18試合出場 0得点 
アンカーやボランチとしてレギュラーを確保したがセーフティなボール回しに終始した感は拭えない。確かにミドルレンジでのパス精度は高いが、ゴールに結びつくパスが少なく、守勢にまわるとスピードの無さから後手に回る場面が目立った。チーム事情で低い位置でのサーバー役を引き受けざるを得なかった影響かもしれないが、ゲームメイク、チャンスメイクの能力は高いだけに、もったいない前半戦だったという印象。技術や戦術眼は確かなものをもているだけに、我らの10番はまだまだもっとやれる選手のはずだ。

11番 川中 健太 3試合出場 0得点
逆輸入アタッカーは出場機会を掴めず。左右どちらでも蹴れる技術やテクニック、ボールに食らいつく姿勢は光ったが推進力とフィジカルに物足りなさがあった。チームスタイルとプレースタイルが合致してない感が強くて適性ポジションを見いだせなかった。ベンチ入りは続けているので少ないチャンスをしっかりとものにしたい。

14番 星 広太 18試合出場 2得点 3アシスト
福島が誇るファンタジスタは左SBで躍動。前を向く技術の高さとインサイドハーフへ移ったときの高いチャンスメイク能力で中盤戦からの好調の原動力になった。守備力が高いとは言えないが、ビルドアップとアタッキングでは抜群の貢献度。左SBの位置から何度もゴール前まで顔を出すなど運動量の多さも光った。惜しむらくはシュート精度。カットインやミドルでもそれなりの本数のシュート打ってるけど決定力がまだまだ物足りないのでそこさえ向上できればステップアップも見えてくるはず。

17番 諸岡 裕人 8試合 0得点 1アシスト
インサイドハーフで開幕スタメンを勝ち取りその後もコンスタントに出場機会を確保。前十字靭帯と半月板損傷で今シーズン絶望となってしまったことが悔やまれる。パスワークの繋ぎはこなせるし、豊富な運動量と出足の鋭さで守備面で多大な貢献。攻撃面も、デコイとしての動きや要所でスペースに走り込んで受けるなど確実にタスクをこなした。タスクに忠実で走れて賢い、ポスト鴨志田の筆頭候補であった。ボールを持ったときに特別チャンスメイクとかシュートまでもちこめるとかいう訳じゃないのは課題ではあったけど十分色は出せた。厳しいプロ初年度になってしまったが焦らずしっかりと怪我を治してほしい。

23番 田村 亮介 19試合出場 4得点 1アシスト
キャリア5年で通算得点数が2得点だった男がシーズン半分で5得点と爆発した。序盤はインサイドハーフだったが、中盤戦以降は左サイドの定位置を確保。運動量もさることながら抜群の加速力と果敢な仕掛けで得点に絡み続けた。裏への精力的なスプリントや仕掛けてからのラストパスを何度も見せ、ビルドアップでも要所に顔を出してリズムを作り出すなど、アタッキングでは絶大な存在感を発揮した。イージーな場面でのシュートミスも少なくなかったが、シュート精度も日々向上している。ドリブルやクロスのミスを減らしていけばリーグ屈指のアタッカーとなれるはず。

29番 吉永 大志 1試合出場 0得点
ベンチ入りは多かったが出場機会はなかなか掴めず。全体的にパワー不足な印象は否めないが、ボールキープやパスセンスや中長距離のパス精度は光るものはあったし、プレースキックの精度はチーム屈指。守備力、スペース管理も含めた動き出しを向上させて出場を増やしていきたい。

FW
9番 武 颯 17試合出場 6得点 2アシスト
エースは夏に完全復活。第2節でシーズン初ゴールを挙げながらその後は鳴かず飛ばず、遅攻の多いチーム戦術の中でなかなかプレースペースを見つけれれなかったが、16節で今シーズン2点目を挙げるとそこから爆発。16節~20節の5試合で5ゴールを叩き出す。ポストワークや献身的なプレスバックもこなしつつ試合を通して相手DFライン裏に走り続け、確実に決定機を作り出した。ラインブレイクの上手さはチーム屈指、強靭なフィジカルとシュートパターンの豊富さで次々得点を奪った。相手をかわしてからシュート打とうとするので場面によって使い分けできればさらに得点数を伸ばせるはず。決定力が身に付いてきたのでいよいよ覚醒の時がきた。

18番 小牟田 洋佑 17試合出場 4得点 4アシスト
安定感のあるポストプレーと低重心で相手を寄せ付けないドリブル、何よりポストプレーで相手を引きつけながら味方に高精度のパスを通せる技術が要所で炸裂し攻撃を牽引した。高いチャンスメイク能力だけではなく得点力も向上、ここまでキャリアハイの4得点を挙げている。以前福島に在籍していた時よりシュートへの積極性が増し、ストライカーとしてより怖さが出てきた。何気に裏に走ってボールを受ける場面が増えるなどプレーの幅も増やしている。あとはミドルシュートとかヘディングとかシュートパターンを増やせればさらに脅威となれる。

20番 イスマイラ 9試合出場 2得点
抜群の身体能力にモノを言わせたパワーとスピードで一時はCFのレギュラーとなったが、守備面や連携の面での問題をカバーしきれず、颯と小牟田の2トップが機能し始めると出場機会を失ってしまった。アフリカン特有のリーチの長さと身体能力をベースにした攻撃センス、サイズがあるのにスピードもあるといったポイントは破壊力十分だったしポテンシャルも大いに感じるのだが、通訳不在で戦術にフィットさせるのはなかなか難しかったと言わざるを得ない。この手の選手にしては球離れがいいし頭でのフリックがそれなりに上手かったりするので連携が取れればもっと活躍できるはず。もう少し時間を与えたい。

27番 池田 昌生 19試合出場 2得点 1アシスト
強気なドリブラーからより総合力の高いアタッカーを目指してもがいている最中といった印象が強かった。各ポジションの選手の入れ替わりが激しい中で不動の右サイドハーフとして全試合スタメン出場。縦への突破とクロスがウリだったプロ初年度からプレーを見直し、ドリブルでのカットインや間受けやミドルサードでのボールキープからのラストパスなど、プレーの幅を広げつつドリブル一辺倒のアタッカーからの脱却を試みているのが見て取れる。守備でも、守勢にまわると試合から消えていた昨年に比べれば大きく進歩。派手なプレーは減ったが2列目の選手としては確実に総合力の上積みができている。後は決定力を磨き上げること、クロスやラストパスの精度を上げることでさらに上のカテゴリで通用する選手を目指したい。

39番 雪江 悠人15試合出場 0得点
スーパーサブの地位を確立し、2トップの一角や左サイドハーフで出場機会を掴んだ。スピード、フィジカルの強さは光ったが荒削りといった印象が強い。守備面では対応の軽さが目立ち、攻撃でもチャンスメイクの部分では技術不足だった感は否めない。特に手の使い方は攻守において要改善。それでも局面でのコンタクトプレーの強さとフリーランによるスペースへのアタックは魅力的だし、味方が引きつけているうちにロングスプリントで相手ペナルティエリアに突撃するプレーは大きな可能性を感じさせた。局面での判断力を磨き、賢さを身に付ければ脅威的なアタッカーへと成長できるはず。

40番 樋口 寛規 19試合出場 3得点 2アシスト
岡崎2世と呼ばれた男はポジションも一時の岡崎のようになったかと思えば岡崎を通り越していよいよルーニーめいてきた。今年もストライカーとしての出場は少なく、インサイドハーフやサイドで出場。10節秋田戦以降はボランチへコンバート。ボランチとしては持ち前の献身的性とユーティリティ性で攻守両面でチームを安定させる活躍を見せた。屈強なフィジカルを生かして中盤でフィルター役をこなし、奪ったボールを確実に繋いだ。展開力やゲームメイクセンスは無いがタスクに忠実に、フォアザチームでプレー出来る優秀な能力を見せた。ボランチで守備やビルドアップのタスクが増えても貪欲に得点を狙い、隙あらば強烈なミドルでゴールを狙う攻撃性も失ってはいない。個人的にはストライカーとして前線で暴れまわってほしかったけど、チームの為に黒子に徹することができる樋口の活躍があってこその今の好調だと思いたい。

低調な前半戦からいよいよ反撃の狼煙をあげた福島。それでも選手層の薄さは否めず、ばたつく試合運びも相変わらず。夏の補強は今年も無いっぽいので控え組の奮起が必要不可欠です。レギュラーは個人のステップアップも狙ってさらなる結果を。それがすべて噛み合ってくれば上位も狙えるはず。首位を二度も喰った実力に自信を持って、昇格戦線を引っ掻き回してやろうじゃないですか!後半戦全力で駆け抜けましょう!

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