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カニコーセンの西村組バイト潜入レポート①

全国8000万人のリフォームファン、そして1800人の西村組ファンの皆様、はじめまして。私は兵庫県加古川在住の46歳無職、たまに弾き語りのライブとかやってるカニコーセンと申します。このたび西村組潜入レポートを書かせてもらうことになったのは、私がお金に困って西村組にバイトを申し込み、日当+幾らかのお金がもう少し欲しいなと思い、潜入レポートを書いて西村社長にいくらかで買ってもらえんかな?と提案したところ「おもしろいですね」という返事をもらって、ほんで書かせてもらうことになりました。いくらのお金になるか分かりませんが、よろしくお願いします。

西村組と私の関係を申しますと、西村組社長の西村くんとは10年くらい前からの友達の友達はみな友達系友達、西村くん本人の人柄というか生き方みたいなのはなんとなく知ってるけど、西村組に関してはよく知らない、ちょっと怖い、荒くれてる、でもテレビとかには出てる、近寄りがたい、アナーキー、森山未來と仲がいい、めちゃくちゃ、ネオヒッピー、令和に蘇った連合赤軍、などなど、西村組に対しては2対8くらいで否定的な印象を私は持っていて、でも今回は私もバイトしたいし、社会勉強のつもりで西村組にバイトをお願いした、そうゆう流れです。

5月11日木曜日。午前8時半に神戸市兵庫区梅元町にあるバイソンに集合との連絡が前日に西村社長からあり、加古川の自宅から40分ほどかけて神戸駅に到着。電車で運んできた折り畳み自転車で神戸駅から山側へ20分ほどかけて登って行くと、徐々に急で険しい山道になり、海と山に挟まれ斜めった土地に神戸の人はギュウギュウに住んでますから、そうゆう道をぐねぐねと登るとバイソンを発見。なんか京大の吉田寮とか東大の駒場寮みたいな反社会的な雰囲気が漂った見た目。

入り口にあった案内図はまあまあお洒落。案内図を見るとギャラリーとかシェアハウスとか茶室とかあるらしい。案内図の手前にある石はなんだろう。あまりいい感じのオーラは放ってないような気がして、どちらかといえば不吉。

かなり不吉な藁の固まり。こんな不吉な藁じゃ牛も食わないだろうに。村の入り口から不吉な石、不吉な藁と続いて

不吉な穴。何のための穴だろう。村の掟を破った奴、例えば冬の間、みんなで分けながら少しづつ食べる用に備蓄していた芋を食料庫から盗んだりしたら、この穴に生き埋めにされたりするんだろうか。だとしたら楢山節考みたいで恐ろしい。

廃材的なものを使った村の案内図。思いつきを形にする瞬発力は感じるが、持久力がない、いわばベンジョンソンみたいな物体。

ベビーカーがあるってことは、赤ちゃんも住んでいるのか。こんな雰囲気の村だったら子供は逞しく育ちそうだけど、家庭訪問の先生は大変そう。

住んでる村人たちの自転車だろうか。村のそこらに転がってるもんは、おそらく何処かの廃屋を解体する最中に拾ってきたゴミっぽくて、だからこの自転車とかも拾ってきたもんに違いない。自転車なんか何台あってもええですからね、ええもん拾うてくるな、西村組。

船は海にあるもんで、山にあったって船は何の役にも立たない。正直わたしは役に立たないものが嫌いだ。だから私も何かしら社会の役に立ちたいと職安に通っている。でも仕事さしてくれる会社がなかなか見つからず役に立たせてもらえない。役に立たない船を見ていると、役に立たない自分を見てるようで、朝から船をベキベキに壊したくなる衝動に駆られる。ていうか、ほんとに何の目的でこの船がここにあるのか、いちいち聞くのも面倒になるくらいチンプンカンプンな光景を見てる、こんなチンプンカンプンな朝8時台は生まれて初めてだ。

あとで西村くんに聞いた話だと、西村組は設計事務所、その他に不動産の管理とか施工とかしてる会社と、ホテル業みたいな会社も別にあるらしく、電話番号も語呂合わせでええ感じにしてある。しかし最近の世の中において、電話番号は語呂合わせで記憶するもんではなくスマホが勝手に覚えるもんで、発想が昭和なだなとも思う。しかし本人らはこれで楽しんでるんだろうな、っていう笑顔は伝わってくる。笑顔は大事にしないとだ。

何をモチーフにした何なんだろう。おっさんにはもう分からん。モチーフとかいちいち考えるんが既に古臭いんだろうか、とか朝っぱらからいちいち考えさせられるなぁ、とぜいぜいしながら事務所へ向かうと

入り口にいちいちドッキリが仕掛けられている。これもどこかで拾ってきた人形なのだろう。村の入り口から穴とか藁とか船とか既にいろいろドッキリ済みな部分もあるから、正直この人形でドッキリはしなかったし、人を驚かせる場合には緩急ていうのをもう少し考えた方がいいと思う。

渡辺篤史の建もの探訪的に西村組の事務所に訪問。へぇ~、こんなんなってるんですね。

あれま、なんかラブリーな景色。穴とか藁とか船とか見続けて若干気持ち荒んでたけど、光溢れる台所へ足を踏み入れた途端、急に小沢健二の鼻声が流れ始めたやん。廃屋のお化け屋敷みたいな状態からこんなお洒落な感じに直すんか思たら、まあまあ凄いかも。

台所の大きな窓から見た神戸の景色。今はポートタワーが工事中で見えないけれど、その代わりに昼間障害標識に塗られた東京タワーみたいな塔がある。「カニさ~ん、怠いっすわ~、もう働きたくないっすわ~」とガラガラ声で唸ってる西村くん。なんか段々と教祖みたいな見た目になってきてるなと思う。

8時半の就業開始時間近くなって、従業員ぽい人が段々と集まってくる。

なんとなく気ままな風情の人が割合的に多いような気がする。ていうか全員が気ままな風情である。

しばらくして仕事開始っぽい雰囲気。今日の作業内容みたいなんを確認したり。集まるバイトの人数もその日によって違うっぽく、現場ごとの人員の配置とかも相談して決めてる感じ。

ふと台所の柱を見ると接合金物。私もつい先月まで住宅リフォームの職業訓練を受けてたので、柱のほぞ加工とか見覚えある感じ。リフォームの時に新しい木材とかばっかり使えるわけじゃないだろうから、廃材の柱をこうやって継いだりしてんのかなぁ、とか何となく想像する。

木製の窓枠に墨付けの跡。これも職業訓練で見覚えがある。「仕事決まらないなら西村組に入ったらええじゃないですか~」と西村くんに誘われたけど、何となくヤバい人が集まってそうな雰囲気があったから直ぐさま断って、けどこうゆう加工跡みたいなんを見ると、何となく面白そうやなと思わなくもない。

仕事の段取りはだんだんと白熱。みんな普通に仕事の顔になってる。「のんびり行きましょ~や~」ていうてた西村くんのダラけた普段の雰囲気が、全くの嘘であったことが判明。

当日の人員の配置や仕事内容をパソコンに記録しているのは週何日かバイトで入ってるツジくん。織田裕二に顔が似てるなと思った。あとで本人に聞いた個人情報では、IT企業を退職し、今は和歌山にシアタールームを作って商売に繋げようとしてたり、その合間で西村組でバイトしてるらしい。

事務方の男の子。アドビのイラストレーターでバイソンのちゃんとした見取り図みたいなんを作っていた。みんなバイトしながら何かしらの経験を積もうという意欲が感じられ、結構意識高い系の若者が集まってるんだなと思う。

職人さんに内装仕事の詳しい指示を出す西村くん。ぜんぜんダラけてないやん。そんなちゃんとしたら私だけが社会に取り残されたような気分になってまうやん。

寸法とか角度とか仕様とか、さっきまで教祖みたいに日向ぼっこしてた社長自らがマジ顔で職人さんに細かく説明。職人さんもうんうんと素直に話を聞く。

マジ顔の社長の傍に目をやると連合赤軍ぽい写真。普通に仕事する姿より、どうしてもこっちのインパクトが強く我々の印象に残ってしまう。

内容はよく知らないけれど、森山未來が何かしらで関わってる神戸市お洒落プロジェクトのポスター。きっと大きなお金が動いているんだろう。

20分ほど遅刻してハヤテくんというバイトの男の子がやってくる。来て直ぐに遅刻の言い訳を始めるのだが、顔が可愛いので許したくなる。遅刻してきたハヤテくんが出社してまず何をしたかというと、日焼け止めを顔に塗っていた。あとで聞いた個人情報だとモデルをやってるらしく、来年は東京へ活動の拠点を移すらしい。モデルにとって日焼けは厳禁だ。

デタラメな予定表。本当の予定表はパソコンでちゃんと管理してある。真面目で頑張り屋さんの集団なのに、わざとこうやって肩の力を抜いた演出をばら撒いている。西村組の見え透いたやり口が徐々に分かってきたぞ。

ほんで30分ほどミーティング的なことをして、それぞれの持ち場へ移動。

事務所下にある工具倉庫で、その日の作業に必要な道具や部品を調達する組員たち。このあたりの仕組みは川崎重工とほとんど変わらない。

この日まず私に与えられた仕事は、前日に引き上げトラックの荷台に積んであるゴミや道具などを、駐車場から事務所へ運ぶ作業。駐車場は事務所から歩いて3分くらいの場所にあり、そこから直接事務所に運ぶんかなと思いきや、徒歩1分くらいの全く別のポイントまでトラックで一旦運び、それをまた事務所へ移動させるという、かなり人力を要する面倒臭いもの。

働いてるうちに分かってくるが、西村組の事務所は山奥のかなり不便な住宅地にあり、一応は近隣に住んでる人へ配慮して、なるべく迷惑にならないよう行き来する道を選んだり、出来ることはしようとしているふうには見えた。写真は事務所から3分の駐車場。

続いては、モデルのハヤテくんと一緒に新神戸駅裏のアパート物件へ行き、部屋に残された残留物を片付ける作業を指示される。組の軽トラを使い新神戸へ移動。

トラックで10分ほど走り、新神戸に到着。経費節約のために、現場から少し離れた場所にある安い駐車場を選ぶ。

駐車場から見た新神戸オリエンタルホテル。「あそこで山口組の若頭が射殺されたんだよ」とハヤテくんに教えあげる。

駐車場からトコトコ歩き、新神戸駅裏の物件に到着すると、ボランティアで作業を手伝ってくれるアメリカ人のジャロットくんが待っていた。彼はスイスの大学院を卒業し、外国人観光客向けのサービスを商売でやるつもりで日本に来たらしい。

このアパートはゲストハウスとして再利用するとのことで、場所は新神戸駅から布引の滝へスルーするウォーキングコースにあった。外国人観光客っぽい人とか、トレッキングみたいな格好のシニア夫婦とか、結構人通りは多く、新幹線が止まる駅からもめちゃくちゃ近いし、駅にコンビニもあるし、自然も多い場所なのでゲストハウスにするのは良い考えだなと思った。

ほんでアパートに侵入し、片付け作業開始。

アパートのすぐ隣に布引の滝の続きがスプラッシュしてて、窓から見たらこんな感じ。マイナスイオンが飛びまくってた。マイナスイオンが体にどう良いのかとかはよく知らない。

アパートの2階部分にはつい最近まで人が住んでて、かなり物が残っていた。置いてある手紙とか書類とかから外国語大学の先生してはった人が住んでたんだな、ていうのが分かる。これは大事な手紙や写真なんじゃないだろうかと思いつつも、要らんから残してるわけで、どんどんゴミとして袋詰めする。

まだまだ使えそうな電化製品や日曜雑貨、あと洋服なんかも沢山残っていた。洋服はハヤテくんが片っ端から引き取り、あとでリメイクしたり何かしら使うらしい。電化製品や日用品、家具などは事務所で引き取って、出来るだけ再利用するとのこと。「カニさんも何か欲しい物あったら持って帰って大丈夫ですよ」と言うてもらったので、一応は誰かにあげれそうな物とかを最初は探しながら作業してたけど、途中からどんどん面倒になり、眼に映るもの全てを捨てるモードに。資本主義が魂の奥まで染み込んでる私だなと思った。

ほんで昼過ぎまで片付け作業し、一旦昼休憩。

お昼は基本的に事務所へ戻って食べることになっているが、戻れない場合は外食して、あとで経理の人にレシートを渡せば昼飯代としてお金が戻ってくるとのこと。福利厚生がちゃんとしているなと思いつつ、ヒレカツ定食を完食。

ほんで午後からもゴミ片付け作業。昼からは織田裕二似のツジくん、お洒落DJみたいな風貌のガンジーくんが応援で加わってくれる。

大学の先生やから本も大量にあるが、全部英語やので何の本か全くわからんな~と思ってたら、三島由紀夫研究の本が出てきて「あ、三島由紀夫だ!」と思わず声を漏らしてしまう。隣で作業してジャロットくんが「だれなんですか?それは?」とカタコトの日本語で聞いてきたので「切腹した小説家だよ」と教えてあげると「あ~」と理解した様子。三島由紀夫の切腹が世界を一つにした瞬間だった。

そのあと近所に住む不動産金持ち、見ため太平かつみみたいな趣味のおっさんがブラリと乱入して来る。ジャロットくんはその人の格好や振る舞いが珍しく思ったのか、私に「あのひとはなんですか?」と聞いてきたので「バブルだよ」と教えてあげると、「おー、バブルね」と、それもすぐ理解していた。「切腹」と「バブル」だけで物事を理解できるようになるとか、スイスの大学院てすごいとこやなと思う。

ゴミ片付けしながら不思議だなと思うことが1つだけあって、それはまだ使えそうな物でもゴミとしてどんどん捨てれるのに、1円玉とか5円玉は捨てずにどんどんポケットにしまってしまうこと。どのゴミにもそれなりの価値があるはずで、場合によれば何千円とかのお金に変わるものだってあるのに、それはもう無視、ゴミと判断して処分し、それよりも価値として低い1円玉は捨てれない。そうゆうプログラミングの壊し方を苫米地英夫に学びたい。

写真よりはまだもう少しゴミは増えるが、とりあえずひとしきり袋にまとめ終える。まだ時間が少し残ってるので、家具の解体を時間あるだけやっちゃいましょうということになる。

安全靴履いてる人は家具を踏み潰していたけど、私は靴底ペッタンコのデッキシューズを履いてたのでハンマーを借りて作業した。俳優のジェイクギレンホールが主演してた映画で、解体しながら鬱から抜け出るみたいなシーンがあったのを思い出したり、ハンマーを力一杯振り下ろしながら韓国映画みたいなバイオレンスだなと思ったりする。

私以外の3人はまだ20代なので力も体力もあり、一方の私は長年全く力仕事をやって来なかった中年なので、とにかく若者に遅れを取らないよう、真面目にハンマーを振り続けた。若者たち3人は「オラー」ていう怒号とか「ヒュー」ていう歓声をあげながら、最初は解体作業を半分楽しみながらやってる風だった。それがちょつと私には怖かった。なぜか河原で3人にリンチされてるような情景が浮かんで、ああ、私はこの子たちに骨まで粉々に踏み潰されて

梅元町のあの穴に埋められちゃうんだな。そんな恐怖がどんどん沸き起こり、その恐怖を振り払うためにまた力一杯ハンマーを振る、それを繰り返しているうちに誰も喋らなくなり、部屋には木材が破裂する音、轟々と滝の落ちる音のみが充満、不思議と澄んだ気持ちになってくる。と同時にアフリカケンネルがボディーを透明にする作業してるときも、こんな澄んだ気持ちになってたんかもな、と考えたりする。良からぬ思考の流れだけど、思考は自由だ。そして今日この思考へ私を導いたのは、明らかに三島由紀夫だ。

ツジくんの「時間なんで、そろそろ終わりますか」の号令で、1トントラックに産業廃棄物を積み込み、梅元町へ戻る。この山道の駐車場も西村組で作ったらしい。その後、ツジくんの案内で茶室を見せてもらう。

なぜ茶室が必要なのかは分からない、けど立派な茶室っぽい建物。

茶室への入り口はワザと入りにくい高さにしてある。千利休はこれをお洒落と呼ぶのだろうか。

木材がモザイク状に埋め込まれた、ケッタイな床である。

「ここでお茶が沸かせるんですよ」と炉を見せてくれるツジくん。お湯なんてガスで沸かしても茶室の炭火で沸かしても同じだと私は思うんだが、そうゆう考えでいては西村組で働けないのかもしれない。

しかし茶室の大きな窓から見る景色は良かった。神戸の高台に住む人は、この景色を得るために毎日急な坂を登ったり降りたりする。加古川のだだっ広い平野に住む人間からしたら考えられない面倒臭さだと思うが、この景色は確かに憧れる。

そして定時くらいに事務所へ戻る。玄関では呪われた人形がお出迎え。出勤簿に退勤時間を記入して本日のバイトは終了。

「カニさん、お疲れ様でした~」とミヤコさんに労いの声をかけてもらい「良かったらビール1本持って帰ってくださいね」と彼女が指差したビールのあり場所が、冷蔵庫と壁の隙間のなぁーんかごじゃごじゃしたとこ。こうゆう雑なというかザックバランなとこが、私はちょっとまだ苦手である。でもまあそうゆう人たちなんだな、と思うことで殆どの問題は解決する。

こんな感じで西村組初体験の1日は終わり。社員として西村組で働いてみようという気は起こらなかったけど、思ってたよりは普通の人たちが働いてて、どちらかといえば善良で賢いタイプの若者が多く居たなという印象。しかし梅元町の事務所近隣の人との共生についてを若い組員に教育できる、そうゆう社会経験を積んだ人材も今の西村組には必要だなと思った。そうゆうの全く出来ない私が思うのもどーなんやけど、中途半端にアナーキーで生きるってなかなか難しいですよね。

2023年5月11日木曜日 カニコーセン

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