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なぜペインターにアガサの魂の大釜を入れるのか


はじめに

皆様初めまして、kenicanと申します。
今回は私がサブウェポンとして愛用しているペインターについて綴ってみたいと思います。
初めに伝えておきたいことですが、私はペインターというデッキについて素人です。先人のデッキを参考にはしても、プレイングについて誰かに師事したり、記事を読んだりした訳ではありません。したがって、ペインター使いにとっては当たり前のこと、また常識や定石から逸脱していることを述べていることがあるかと思いますが、ご容赦いただければと思います。

書いていたら長くなったので、結論だけ見たい人は「まとめ」だけ読んでください。

ペインターというデッキについて

ペインター概略

前提として、ペインターというデッキは《絵描きの召使い/Painter's Servant》+《丸砥石/Grindstone》のコンボを主軸にしたコンボ+ボードコントロールデッキです。アーティファクトによるシナジーに重きをなし、速度的には高速~低速まで戦えるデッキです。フェアデッキに強く、超高速コンボに弱いところがあります。

ペインターの良いところ、強いところ

①コンボデッキであること
主軸となるペインターコンボは2枚コンボであり揃えやすく、かつ決まれば大体の場合おいて勝利できるため、強力かつ現実的なコンボデッキであり、概ね3ターンで勝利することも可能です。

②ボードコントロールでもあるところ
《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》や《ゴブリンの技師/Goblin Engineer》を駆使し、アドバンテージの取れるアーティファクトを場と墓地を行き来させることにより有利な盤面を維持し、また各種火力により相手のクリーチャーを除去していきます。また《絵描きの召使い/Painter's Servant》とシナジーがあるため、《紅蓮破/Pyroblast》などの青対策がメインから積まれており、青いデッキが主体となるレガシーという環境においてマッチしています。

③継戦能力、及び再現性が高いところ
《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》や《ゴブリンの技師/Goblin Engineer》はアドバンテージの獲得のみならず、コンボの達成にも一役買っています。
これらゴブリンは場と墓地のアーティファクトを入れ替える能力であるため、《絵描きの召使い/Painter's Servant》を除去されても他のアーティファクトを代替として再びコンボを行うことが可能です。
また《ゴブリンの技師/Goblin Engineer》や《ウルザの物語/Urza's Saga》のサーチ能力によりシルバーバレッド的な動きができ、その場の状況に応じた動きが比較的容易に再現できます。

④ギミックが多く、使っていて楽しいところ
主観になってしまいますが、ペインターというデッキは使っていて飽きがきません。ほとんどのクリーチャーが起動型能力、ETB能力を持ちテクニカルな動きを要求してきます。また拡張性も高く、比較的個性が出やすいデッキでもあると思います。

ペインターの悪いところ、弱いところ

①コンボが邪魔しやすく、防がれやすいところ
ペインターコンボは2枚コンボであり、サーチ等も含めコンボパーツを揃えやすいのが魅力です。反面、《絵描きの召使い/Painter's Servant》は除去体制の無いタフネス3のクリーチャーであり、《丸砥石/Grindstone》はアーティファクト対策が刺さります。また、コンボが決まっても結果としては相手のライブラリーをすべて墓地に落とすというものであり、即座に勝利できるものではありません。ライブラリーが0になっても敗北を回避する手段はいくつかあり、実際《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》をサイドボードから一枚入れるというテクニックにより、ペインターというデッキは一時期より勢いを落としました。

②ボードコントロールでもあるところ
コンボデッキには2種類あり、一つの強力なコンボを通すため、他のカード全てをコンボ達成のためのサポートとするデッキ(スペルコンボ等)。
もう一つはコンボ+別軸の戦術を用意し、複数の勝ち筋を模索するデッキ(パーマネントコンボ等)であり、ペインターは後者になります。
コンボ+別軸の戦術の利点はコンボ自体を対策されても、他の戦術により勝利を目指せるため、相手の対策を絞らせない、間接的に無力化することが可能です。ただ、これは裏を返せば主軸となるコンボが邪魔しやすく信頼性が低いため、別軸の戦術を用意せざる負えないという側面があります。ペインターにおいては《紅蓮破/Pyroblast》等のサポートが無い場合、最速でコンボを目指した場合の期待値が低く、ボードコントロールで相手を消耗させた後にコンボに移行するパターンが多いです。しかし、場の有利を無視するスペルコンボにはそれは通用せず、またコンボ達成には概ね3ターンかかるため、速度的に間に合っていません。

③デッキのパーツのほとんどがシナジーありきなところ
上記で継戦能力、及び再現性が高いところが良いと書きましたが、それは《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》や《ゴブリンの技師/Goblin Engineer》が生き残ることが大前提です。また生き残っても墓地、及び場にアーティファクトが無いと意味がありません。他にも、《絵描きの召使い/Painter's Servant》は単体では何の役にも立たないバニラ同然のカードです。《丸砥石/Grindstone》はほとんど意味を持たない置物であり、《赤霊破/Red Elemental Blast》は青いデッキ以外では撃つ対象すらありません。ペインターというデッキは、一つ一つは弱かったり、使い辛いカードの集合であり、それらが合わさって強力な効果を生み出すデッキです。なので、シナジーを持つカードの片方を除去されたり対策されたりすると、途端にチグハグな動きとなり、弱いカードの集合になり下がります。コンボ全体に言える悩みですが、ボードコントロールでもある以上、克服したいところになります。

④ギミックが多く、プレイングが難しいところ
これも主観になりますが、純粋にプレイを楽しむ上でデッキが複雑であることは良いことです。プレイするたびに新しい発見もあり楽しいでしょう。
しかし、ただ勝つことを目的とした場合には問題があります。プレイングに工夫する余地があり、創造性があることは長時間、ギリギリの勝負をする上ではデメリットです。大型大会で9~12回戦を戦い抜くには極力デッキはシンプルで、プレイングが簡単な方が良いというのが持論です。
また拡張性が高く、個性が出やすいのも主要パーツ以外はほぼ自由枠であり、採用する理由も環境に適応するというよりかは個人の好みとなっている面があるのではと思えます。
海外(MTGO)においては《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》を採用することが多いですが、日本においては《呪われた鏡/Cursed Mirror》を採用するパターンが多く、《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》を採用するものもあったりと、同じペインターというカテゴリーなのに全然違う動きをする統一性の無さも、デッキを習熟する上で妨げとなっていると考えます。

なぜアガサの魂の大釜を入れるのか

上記で挙げた①②④の悪いところ、弱いところはサイドボードや練習することによってある程度克服できます。
ただし、③の「デッキのパーツのほとんどがシナジーありきなところ」についてはデッキの構造上の問題であり、真剣に解決すべき問題と考えます。

解決方法としては、「単体で強いカードを入れる」、「弱いカードを強く使う工夫をする」が考えられます。

「単体で強いカードを入れる」は既に先人が行っており、《稲妻/Lightning Bolt》、《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》、《激情/Fury》がそれに当たります。特に《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》は初手に欲しく、出したターンが早ければ早いほど勝利に直結する強力なカードです。また他のカードともシナジーがあり、デッキに合っています。

もう一つは「弱いカードを強く使う工夫をする」です。《アガサの魂の大釜/Agatha's Soul Cauldron》はシナジーする範囲を広げ、既存のカード群に別の役割を持たせ、引き継がせます。
ペインターはシナジーデッキであり、その根幹は《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》と《ゴブリンの技師/Goblin Engineer》です。これらゴブリンがデッキの潤滑油であり接着剤であり、途切れたシナジーを再び繋ぎなおす重要な役目があります。それなのに自身には除去耐性が無く、また守る手段も乏しいため、生き残るかどうかは運任せな状況です。ですので、《アガサの魂の大釜/Agatha's Soul Cauldron》でこれらの能力を付与させ、再利用することが目的です。
また《ゴブリンの技師/Goblin Engineer》+《Phyrexian Devourer》+《アガサの魂の大釜/Agatha's Soul Cauldron》のコンボは実質2枚コンボであり、その特性はペインターコンボと同じく揃えやすく邪魔しやすいコンボであり、邪魔されても再び試行しやすいところもよく似ています。ただし、こちらは直接ライフを狙いに行くところ、決まってしまえば火力で除去できないところが違います。対戦相手としてはこのコンボのイメージは強烈であるようで、一度決まれば《アガサの魂の大釜/Agatha's Soul Cauldron》はマストカウンターとなり得ますので、本筋のペインターコンボが決まりやすくなったという利点がありました。

まとめ

《アガサの魂の大釜/Agatha's Soul Cauldron》は《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》と《ゴブリンの技師/Goblin Engineer》を再利用することが主な目的であり、同時に分からん殺しと軽度の墓地対策をするためのカードです。
実際のところ《アガサの魂の大釜/Agatha's Soul Cauldron》もシナジーありきのカードなので、デッキの抱える問題の根本的な解決にはなっていません。デッキもより複雑になり、できることが増えたと同時に、考えることも増えました。
ただそれは相手も同じで、対処すべきパターンが増えたことにより、過剰にケアしたり、逆にまったくケアできていなかったりと、正着とは言えない動きが多々見受けられるようになりました。
以前よりもデッキに対する理解度、駆け引きの重要性が増し、プレイングが難しくなりましたが、現状は利点の方が勝っているため採用している状況です。


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