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フーコーを読んでみたい

なぜ、いまフーコーを読みたいのか?

2021年10月10日 

個人的な理由としては、政府のコロナ対策への疑問がある。これは別に、日本がどうというのでも必ずしもない。そもそも、政府から、手洗いやマスクを言われるのはうざい。日本の場合は特に、法律で強制的なロックダウンをするのではなく、「自粛」や「要請」によって人々の行動を規制してきた。大学のオンライン授業とかもそうで、みんなが要請に従っている。でも、ほんとうにそれでいいの?とおもう。なぜ、みんな従うんだろう。法的根拠も気になる。かといって、コロナ=風邪、のような陰謀論も嫌だし、なるべくかかりたくもないと思っている。でも、路上で酒を飲む若者を問題視する風潮にもうんざりしていた。

そんなとき、思想家の東浩紀の文章・主張を読んだ。https://www.genron-alpha.com/gb059_01/

「東 講義のテーマのひとつは「生権力」です。新型コロナウイルスの大流行で、フーコーが「生権力」という名のもとで指摘した、公衆衛生や医学を用いて市民の生活様式を管理する権力が世界的にたいへん強くなっています。ちょうど今日(2020年6月19日)、日本では接触確認アプリ「COCOA」の配信が開始されました。情報技術と結合した新たなタイプの生権力が世界的に広がっていますが、驚くべきことに知識人からほとんど反対の声が出ていません。」


どうやら、この違和感を解くためには、フーコーの「生権力」「生政治」という考え方が重要らしいことが分かった。

しかも、海外でも同様の思想潮流があるらしい。特に、イタリアの哲学者ジョルジュ・アガンベンは『私たちはどこにいるか?』(青土社、2021年)で、二つの懸念を表明している。
多くの人々が葬儀もなく埋葬されている状況だが、我々が死者への敬意を何のためらいもなく放棄しているとしたら、社会はどうなってしまうだろうか。生存以外のいかなる価値をも認めない社会とはいったい何なのか。

もう一つは、移動の自由の制限についての指摘だ。現在行われている「緊急事態」を理由とした移動の自由の制限は、戦時でも誰も思いつかなかった。移動の自由が単に数ある自由のうちの一つではなく、近代が権利として確立してきた様々な自由─思想の自由等々─の根源にある自由であるのに。

以上のように、現在のコロナ禍、政府のコロナ対策、自治体のあり方、自粛警察、ワクチン…などを考える上で、フーコーの「生政治」「生権力」の考え方は補助線になるのではと思った。

ここまでが前置き。

そこで、選んだのはちくま学芸文庫のフーコーコレクションだった。

『フーコー・コレクション』は、ちくま学芸文庫に全6巻ある。『思考集成』から選んだ文章が集められている。

以下のようなタイトルになっている。

フーコー・ガイドブック(第1巻は著作のごく簡単な要約と『思考集成Ⅰ』所収の年譜)
1 狂気・理性
2 文学・侵犯
3 言説・表象
4 権力・監禁
5 性・真理
6 生政治・統治


第六巻の目次は、以下の通り。

真理と裁判形態
“生物‐歴史学”と“生物‐政治学”
ドゥルーズ=ガタリ『アンチ・オイディプス』への序文
社会医学の誕生
汚辱に塗れた人々の生
「統治性」
十八世紀における健康政策
全体的なものと個的なもの―政治的理性批判に向けて
啓蒙とは何か
道徳の回帰
生命―経験と科学

ミシェル・フーコー思考集成とは、
Foucault, Michel 1994 Dits et écrits, 4 tômes, Gallimard.(=1998-2002, 蓮實重彦・渡辺守章監修/小林康夫・石田英敬・松浦寿輝編『ミシェル・フーコー思考集成』全10巻, 筑摩書房. 




調べてみると、フーコーの主著は一冊の単行本として、何冊かあるらしい。それとは異なり、「コレクション」は、フーコーが雑誌や新聞に投稿した論文、インタビューなどを収録されている。フーコー思想のエッセンスを吸収できるようだ。

ほかには、『フーコー講義集成』という、全13巻の講義シリーズに、『VIII 生政治の誕生 (コレージュ・ド・フランス講義 1978-79)』がある。生権力を学ぶには、それを読むのが1番いいのかもしれないが、中古本が高騰していた。手に入りやすい文庫本が1番いいかと思い、『コレクション』を選んだ。

思想家、哲学者についてのブログやノート記事なんて、ほとんどが専門家か、あるいはプチ専門家の紹介記事や考察記事だろう。でも、ここまで読んでもらったら分かるように、全くの初心者です。「全然分からない…」と愚痴りながら読み進めてます。

そして、これから、月に一回、6人くらいのメンバーで読書会を開きます。少しずつ、少しずつ読んでいくつもり。「ここ分からない」「何が言いたいの」「矛盾してない?」「ローマ法とかゲルマン法てなに?」とか、素朴な疑問を一つ一つその場で消化したり、しなかったりで進めています。1回目は2時間で15ページくらいしか進まず。果たして、どうなることやら。

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