第九話:「堕落と救済の狭間」

第九話:「堕落と救済の狭間」

トンコと天野の関係は、もはや友情を超え、異常な依存へと変質していた。

トンコは人気心理学者インフルエンサーの「勘繰子」のYouTubeチャンネルを見るだけで無く、オンラインサロンにも加入していた。

トンコはシャブをキメながらそのYouTubeチャンネルを毎日8時間ぐらい連続で見るほどに心理学にのめり込んでいた。
トンコは常日頃から(心理学は絶対に人を操るのに役に立つ。人を支配できれば人生を支配したも同然)と考えていた。

トンコはハイレベルな心理学の知識を悪用し、天野を徐々に自分の思い通りに動く存在へと変えていった。

2人がいる部屋は薄暗く、そこでは二人の影だけが動いていた。

「これでいいんだよ、天野君。これが俺たちの世界だから。ずっと、一生2人でいようね。」トンコはそう言いながら、天野にシャブと注射器を渡す。

二人は静脈にシャブを打ち、現実が歪む感覚に身を委ねた。
いつものようにキメセクがはじまる。

キメセクの最中、天野はもはや自我を失い、トンコの言いなりになっていた。天野は内心(もう普通には戻れない。どうにでもなれ。)と思っていた、

ダビッドソンは二人がヤバいと言う噂を、天野の部下から聞いていた。

「天野さん、最近凄い怒りっぽいんですよ。些細なことで気が狂ったように怒鳴るし。この前なんて、手押し部隊の新人の事、意識なくなる寸前までぶん殴って。俺もうついていけないっすよ」

ダビッドソンは何で自分には全く関係ないシャブ中の話を聞かされなきゃいけないんだと思いながらも、天野と仲良く過ごした時間の情が残っていた。

ダビッドソン「あー!クソ面倒くせえ!」

ダビッドソンは、とっておきの時の為にとっておいたホワイトウィドウ1gを一気に吸い、バイクにまたがった。

そして、一気に走り出した。

こうなってしまったのは、うどん屋を紹介した自分にも軽く責任を感じていた。

元凶のうどん屋社長の元に話をつけに向かったのだ。

うどん屋に乗り込んだダビッドソンは、社長を問い詰めた。「お前が原因だ!何でこんな事を...」

「お前、誰に口来てんだ?」

社長は最初は強気だったが、ダビッドソンの本気の怒りに触れ、態度を一変させた。
シャブの切れ目と恐怖心で打ちのめされた社長の両腕は見たことが無いぐらいに震えていた。な

「許してくれ、もうやらないから...。それに、もっと大きな魚がいるんだ。有名アナウンサーも関わる未成年買春の件でな...」社長はしぶしぶ情報を漏らす。

「有名アナウンサーが未成年売春?なんだそれ?」

ダビッドソンはその情報に驚きつつも、うどん屋社長を許す代わりに、さらに詳しい話を聞き出そうとした。

社長は、ある有名アナウンサーとのつながりを恐れつつも、ダビッドソンの勢いに負けて一部始終を話す。

「そのには頭が上がらねえんだ。あいつは、この街の闇を牛耳ってるようなもんだ。テレビのコメンテーターでいつも正義ぶったコメントしてるけど、あのクズは絶対許せないんだ。なんとか炎上させたいんだけど。なあ、ダビちゃん、頼むよ。」

話を聞き終えたダビッドソンは、怒りを抑えつつも、アナウンサーのスキャンダルを握ったことで、何かしらの行動を起こす決意を固めていた。

一方で、トンコと天野の関係は、シャブと異常な性のループに堕ち、抜け出せない泥沼となっていた。

物語は、救済と堕落が交錯する中で、次第にクライマックスへと向かっていく。


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