TheRight to Write 30.生まれ出る形

「最愛なるモフモフな私の友人」
              
 私には出会って15年目になる四本足のお友達がいる。名前は新太郎さん。この名前は当時ルームシェアしていた姉さんが彼を見つけた場所に由来している。そこは新宿の公園だったとかで、「新宿の太郎さん」という意味合いから名付けてみたらそれがしっくり。以来、そう呼ばせて頂いている。愛称はしんたん。苗字を合わせると勝新になるのもまた一興かな、とよく話題に出している。
 新太郎さんの魅力はなんといってもその体躯の大きさだろうか。保護猫なので正統な種類は不明確だけれども、体の大きさや毛のモフモフ具合からしても洋物の血が混じっているに違いない。見た目は短毛種だが、その撫で感はモッフモフのフッサフサ。子猫の時姉さんが、「この子は足が太いからきっと大きくなるね」といったことがまさにビンゴ!現在8・3kgの立派なおデブちゃんになってしまった。一緒に飼っていた雌猫は成猫になっても2・5kgの小型猫だったので、隣に並ぶとLサイズとSサイズが並んでいて、Mサイズがいないなぁウチは。と笑ったもんだった。仲良しだった鯖猫の彼女は家出をしたきり戻ってきてはないのだが。
 新太郎さんの柄は白地に茶トラ模様。目の色はオリーブグリーンというかエメラルドグリーンというか、宝石の様に美しい翠色。尾も長め。尻尾も短毛種らしい見た目なのに、触るとモフモフなので、よくニギニギとさせていただいて、触感を楽しませていただいている。
 彼との関係性を一言で表すとなんだろう?とりあえず最高の癒し。私はきっと新太郎さんと昼寝をするために生まれてきたのだ、と言いたくなるほど贅沢な時間だ。昼寝スタイルは、毛布の中に入りたいよ〜と新太郎さんが私の頬を前足でチョイチョイするところから始まる。でもその時、私が上手にお招きしないと、フイっとどこかに行ってしまわれるので慎重にことを運ばねばならない。上手にお招きできた暁には、私の足元にゴロンとまるまって、ご褒美に冷えた足先を温めてくださるのだ。冬は本当にありがたいの一言に尽きる。ご一緒していただけるのはタイミングがあると知りながらも、心待ちにしていたりする。夏は涼しいところにまるで溶けたアイスクリームのように腹を出して寝転んでらっしゃるのもいとをかし。猫ってどうしてこんなに何をしても絵になるのだらう。(親バカ)
 最近コロナ禍で家時間が増えたせいで、ペット愛好家が増えたという話も聞いた。以前なら、独身女性が猫を飼うと婚期を逃すという説もあったが、うちの新太郎さんはなかなかどうして。ちゃんと私にあった人を選んでくれた。まず、彼が第一のハードルになってくれたのだ。好きな相手への条件について色々考えていたこともあったのに、肝腎要の「猫が好きな人を選ぶ」という第一条件を考えられてなかったのだ。猫を飼うということ=持ち家をもっている人、または猫可物件にお住まいの方としか結婚できないということ。
新太郎さんは図らずも猫嫌いな男との縁を切り、持ちマンションがある男と出会わせてくれたのだ。ダメンズウォーカーだった私に素敵な彼を選ぶ目を着けさせてくれた新太郎さんには感謝の念しかない。
 新太郎さんもシニアという年齢になり、今後どういう風になっていくかはわからないけれども、最後の最後まで、最愛の彼と一緒に心穏やかに暮らせたらいいなと願っている。
 長生きしてね、しんたん。娘たちとも仲良くしてくれてありがとう♡

2022年4月30日 講習会帰りに茶店で。


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