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13.ロバ耳笛

「王様の耳はロバの耳」の話、知ってるよね。

そう、あれこれやらかしちゃっては神さまの罰与えられちゃう王様が
今度は耳をロバの耳にされちゃって普段は隠しております。
でも、散髪はしてもらわなあかんから
床屋呼んで散髪してもらって、床屋にはロバ耳がバレてるわけ。

「バラしたら殺すぞ」

って脅されてるからしゃべるわけにはいかないが、しゃべりたい。

どうしようもない欲求を解消するために
床屋は森にわけいり、穴を掘って秘密を吐き出す。

「王様の耳はロバの耳
 王様の耳はロバの耳
 王様の耳はロバの耳
 
 あ~すっきりした」

と穴埋めて帰るんだけど、そこから葦だっけなんだっけ
植物がすくすくと育ちましてね、風がさわさわと吹くたびに

「王様の耳はロバの耳
 王様の耳はロバの耳
 王様の耳はロバの耳」

と流すもんで、王様の耳はロバの耳ってのがみんなにバレたって話ヨ。

生きてたらそれなりに秘密もたまってきますわよね。

あたしは「ひとは秘密をバラすもんだ」と思ってるから
広まっていい「秘密」しかしゃべらないことにしてるんだけど

「これ、秘密ね」

と言われたわけではないけれど
見聞きして知った、その場にいた、等で知ってしまったこと
べらべらしゃべるのははしたない、人としてやめといたほうがいいと思うことってあるよね。

なぜかさっき、ふいにそんなことのひとつを思い出してさ。

「あ~ あれ知ってるって言いたい~
でも、育ちがいいもんだから自己規制かかる~
しかし、スッキリしたい」

こんなとき、ピィ~!て吹いたらあの葦とちがって秘密は流さないけど
気持ちはスッキリさせてくれる笛みたいなんないかなあって思いついてさ。
名付けて「ロバ耳笛」。

みんなはどうやって発散させてる?

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