僕と出会う女はみんなお金目当て④〜大学で唯一の女友達〜
あの電車での事件の日、僕はショックからたちなおれず大学は休んで家に帰った。
帰ってもやることがないのでなんとなく布団に潜るけど、その退屈さが僕にあの車内での出来事を思い出させずにはいられなかった。そしてその度またぐらの大将だけが元気にはりきって、その聞かん坊をなだめるために何度も時間を費やした上、新たに刺激を求めて「貢ぎマゾ」の音声作品を6作品程購入してしまった。
「こんなはずじゃなかった」とは便利な言葉だと気づいたのもこの日が初めてだった。
駄々っ子の相手に疲れ果てた僕はいつの間にか寝ていたみたいで、口の中はやけに乾くし頭はぼーっとするしといった最悪な体調で、目覚めた時には夜の7時を回っていた。働かない頭でバイトがなくて本当によかったと思った。
ケータイを見るといくつかの公式アカウントからのメッセージの中に一つだけ、友達からのメッセージを見つけた。
声をかけてくれたのは友達が少ない僕の唯一の女友達である山本 はなびさんだった。
山本さんは肩まで下ろした細い髪質のサラサラなロングヘアと屈託のない笑顔が象徴的だが、胸に抱えた闇が時々垣間見える女子で、僕は彼女のことがちょっとだけ好きになっている。
だからこのたった1つのメッセージは、乾燥した地面に垂らした水のように、全身に染みるほど、僕を潤した。同時に今日は漫画を貸す約束をしていたのを思い出した。
ちょっと体調が良くなくて、家で寝ていたこと、漫画を持っていけなかったことを謝ると、
と、返ってきた。これは僕をバカだと言っているな。
どうもシラを切りたいようなので、(¬_¬)の顔文字を送ってみると
という文章が、豚が頭を撫でようとこちらに手を伸ばしている「よかったよかった」というスタンプを添えられて送られてきた。
嬉しい。じんわりと包まれるような、色で言えば真っ白な、幸せな心地。
明日は学校に行けることを伝えて、僕は立ち上がって風呂場にむかった。
布団に放られたスマホには、
とメッセージが入っていた。
おいで♡ 怖くないよ〜♡♡