見出し画像

元気にしてますか?(後編)

しかしながら、その時はやってくる。
下顎呼吸が始まり数時間。みんなは床に就き、旦那さんに「俺が看てるから、寝ていいよ」と伝え、近くで寝てもらった。俺は飲食店経営しており、昼夜逆転の生活をしていたので、みんなが起きるまで看ることにした。意識のない高熱の妹の頭を撫で続けた。涙は無限に出てくる。せめてもの思いで「ありがとう、よく頑張ったな」と耳元で何度も声を掛けた。

朝になり、旦那さんと母親が起きてきて、「頑張れ、頑張れ」と声を掛ける。俺も傍らで見つめ続けた。みんなが起きてきたので、一旦近くの自宅に帰り、少しの仮眠を取ることした。
仮眠について、1、2時間後、兄貴からの電話で「さっき、息を引き取った」と伝えられた。
覚悟をしていたため、冷静に「今からすぐ向かう」とだけ伝え、電話を切った。シャワーを浴びた途端、堪えきれなかった。涙も嗚咽も出てたと思う。もうわかってたはずなのに、覚悟してたはずなのに。苦し過ぎた。なんとか気持ちを抑え、すぐに実家に向かった。

ついさっきまで苦しそうにしていた妹が静かに眠っている。もう涙は出なかった。ただただ「お疲れ様、よく頑張ったね」と伝えた。綺麗な顔で目を閉じていた。

その夜、旦那さんのご両親やお姉さん夫婦、親戚も駆けつけてくれて、みんなで涙ながらに妹に向けて献杯をした。妹の3歳の息子が無邪気な顔で「遊ぼっ」って言ってくれるのが、どこか救いだった。

通夜、葬式と滞りなく終わり、妹は天に召された。


そして、今日、2020年12月15日、妹の3回目の命日を迎える。妹が天に召されて2年経つのだが、未だに受け入れ難い気持ちがある。
ただひとつだけ言えるのは、自分の命ある限り、誰かの幸せのために生きていきたい。


「千鶴子、元気にしてますか?
あれからもう2年経つんだね。あっという間だな〜。千鶴子が旅立って、いろんなことがあったんだよ。コロナという恐ろしい感染症で世の中は嘘みたいに変わって、未だ世界中の人々が苦しんでる。俺は、お前に応援してもらった店を閉めて、新たな人生を歩んでいるよ。
いつか、そっちに旅立った時は、またたくさん話をしような。それまでは、しばらくの間、みんなのことを優しい目で見守っててください。みんな、いつまでも天国のお前に声を掛け続けるから。
俺の妹として、生まれてきてくれてありがとう。」



あとがき
全て読んでくださり、ありがとうございます。このnoteを書くかどうかもとても悩みました。ただただ誰かの心に届くといいなという思いで、何度も涙を流しながら、書きました。
いつ、何時、訪れるかわからない死を、ベッドの上で、家族に囲まれて迎えることができた妹は幸せだったなと思ってます。
妹の息子は、大阪で元気に過ごしていると聞いてます。コロナ禍にあって、3回忌で会うことは叶いませんでしたが、きっと大きく成長してくれていると思います。
またいつか天国で妹と語り合う日を楽しみに、一生懸命生きていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?