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【悲報?】通関士資格を使っての転職について思うこと

こんにちは。神高(かんだか)です。

それほど大きくないメーカーで貿易実務に関わりながら、中間管理職(課長級)をしています。

今日は、通関士資格を使った転職について思うことをお話ししましょう。

今の職場に満足しているなら転職はしなくていい

通関士試験は国家試験の一種ですし、おそらく勉強時間も350時間を超えるので、それなりの難易度となっています。だから、合格したらその資格を使って転職したいと考える人がいるのも理解できます。

しかし、通関士試験、通関士資格だけで転職活動するのをぼくはお勧めしません。

もし今の職場にある程度、納得(満足)しているのであれば、その中で生かす方法を考えるべきだろうと思います。

「働きながらでも取得できる資格」一本で独立したり大きな転職を成し遂げたり、っていうのはなかなか難しいことです。

特に年齢を重ねている状況であれば思うような結果を得ることは難しいでしょう。

ぼく自身も経験しています。

転職エージェントに登録したところで通関士資格だけでは評価されない

試験に合格してしばらくたって、転職エージェントに登録したことがありました。

実際に転職をすると決めて活動していたわけではないのですが、どのような条件が提案されるのか、40歳前後の自分にどのようなオファーがあるのか、知っておこうと思ったからです。

しかし、通関士資格への評価というのは転職エージェントではほぼ無いに等しいと感じました。

これは、英検1級や TOEIC 900点台についても同じです。

もちろん年齢が若ければ違ったのかもしれませんが、今すでにどこかの業界で専門的な仕事をしてるのであれば、そのスキルや経験の方がよほど評価を受けます。

そりゃ、そうですよね。

一日の勤務時間の半分(4時間)、何らかの業務に従事して10年働けば、

4時間x週5日x50週x10年=10000時間

つまり、どんな分野であれ、10年続ければ1万時間もの時間を投入しているわけです。

通関士の資格試験に向けて投入する時間は、おそらく300時間から500時間程度でしょうから、そもそもの濃さが違う。

だから、資格がある、というだけで何かができるようになるわけでもないのです。

通関士として通関業者で働くことだけが答えではない

サンクコスト(埋もれた費用、もったいない精神)が働く心理もわかります。

通関士資格の勉強に時間を費やしたのであれば、なおさらです。

ぼくも、4年をかけて合格した直後は、そんな心境になっていました。

でも、通関士試験は「通関士になることが許される資格」を得るための試験です。

合格し、登録して初めて通関士になります。

そして、その大前提として通関業者に勤めているという条件があります。

通関業者が「かくかくしかじかの人物を通関士として登録します」という手続きをする前提です。

じゃあ、そのために通関業者に転職するというのはどうか、という発想があるわけですが、最初にお伝えした通り、無理をする必要はありません。

仮にいまの勤め先がとても不安定で、満足できない職場なのであれば、転職を考えてみるのも一案でしょう。

逆に、今の仕事や役職が十分に納得できるものであれば、「無理に」資格を活かす必要はありません。

むしろ資格と実践の経験を組み合わせたり、あるいは通関士資格を得る中で得た体系的な法律とかルールとか、そういった知識を仕事に活かしたり、という方向で考えたらどうでしょうか。

転職エージェントが認めてくれなくとも、レアな知識を持つ人材であることは確かだからです。

実務とは別に体系的な知識を持つ人はまれ(珍しい)

仕事上、通関業者や商社の人と接することがあります。

その中で通関士資格に挑戦できるレベルの貿易に関する知識を持ってる人は非常にまれです。

自社の製品、サービスについて詳しいのは当たり前ですけれど、それをバックアップする法律やルールについて詳しい人ってのは珍しいのが実情なんですよ。

実際、そんなことは知らなくたって日々の仕事はできますからね。

資格などなくとも、会社に給料分以上の貢献することは十分に可能でしょう。

ただ、将来、ある程度を組織を俯瞰的に、広い視野で見なければならない立場になった時、実務経験( OJT )以外から得た体系的な知識は役に立ちます。

たとえば、40歳、50歳になって海外拠点をサポートするとなった時、日本の貿易に関する一般的なルール、作法が頭に入っておれば、海外であっても類推できます。

保税地の貨物の管理はこうだろうな、とか、再輸出免税の基本はあんな感じかな、とか。

働きながら取れる資格でも、仕事の幅を広げるのに役にたつ

どこかの分野を軸にしながら、いくつかのピンを立てていくイメージで仕事の幅を広げると、同じ会社で似たような仕事を続けていても、できることが増えていきます。

そして、資格試験に挑戦すれば、疑似的に「自分のできること」をストレッチできる。

だから、通関士のような働きながら学べるレベルの資格試験をぼくは若い同僚に勧めています。

明日の生活に困ってないからこそ、チャレンジが活きるし、結果を焦らなくていい。

働きながら資格試験に挑むことで、リスクなく仕事の幅の広がりを疑似体験できますからね。

そして、自分に適性がないとわかれば、次の挑戦に向かうだけ。

このとき、資格そのものを会社が評価してくれるかどうかは、問題ではありません。

自分がコントロールできないことに心を悩ませるのは、時間のムダ。

上司の評価なんか気にせず、勝手に進化すればいいんです。

(2020年7月4日追記)

2020年の通関士試験の日程が10月4日(日)で確定しました。

税関は8月11日まで願書を受けつけています。


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