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食べること②敵に回した?

治療を行う急性期病院での食事は
辛いだけなのが続いていた。

そして、免疫グロブリンを大量に点滴する治療も
2回目が終わろうというころだったか、
リハビリ病院への転院も見えて来て、
ちょっとした事件?が起きた。

余りにも朝昼食べないので、
看護師さんから主治医に報告が行ったらしく、
「食べるの辛い?食欲ない?」
と、回診の時に聞かれたのだ。

一瞬迷ったものの、もうすぐ転院だしという、
ちょっと乱暴な気持ちもあって、
「辛いしかないです」と答えた。

先生は目を真ん丸にして
「そうだったの?」と聞いた。
いつも色んな人と笑いながら話していたし、
家族とも仲がよさそうに見えたし、
治療も普通に受けて回復の兆しはあるし、
何を悩んでいるのかって表情。

「普通のお粥は食べにくいので
 水分多めにとお願いしましたが、
 まさか刻み食とは思いませんでした。
 その内変わるかと思ったが変わらないし、
 食べにくいし、飲み込めないし、
 口の中に残るし、こぼすし、もう食べたくない。
 こんなんなら経管栄養でいい」
・・くらいの事を言いたかったが、
私には言えそうもない、というか絶対言えない。

なので、「お粥について、水分を多くしてほしい
とは言ったが、おかずは普通食でいいと説明されてた。
いつか変わるかと思ったが、変わらない。
ずっとこうなのかと思うと憂鬱で食欲がない」
みたいなことを恐る恐る。

すると主治医が、「そうか、そうだったね。
栄養士に言っておくから!ちゃんと食べるんだよ」
と言って、ニコニコしながら帰って行った。

残された私は茫然。
え、こんなアッサリ解決する事だったの?
気が付いてなかったというか、忘れてただけ??

まあ当日からはさすがに無理だろう
とは思っていたが、結局そのままの食事が
1週間程続き、更には
「麺禁(麺類禁止)」
の赤字が追加され、「栄養士さんを怒らせただけでは?」
と、私の恐怖心が増しただけに終わった。
(後で聞いたら、最初から書く予定が忘れていたらしい)

そしてその数日後。
麺の中でも絶対禁止だろうと思われる、
極太麺のけんちんうどんが昼食に現れた。

「麺禁」と書かれた、私の名前のネームプレートが
付いてるのを何度も何度も確認し、
「ああ、もう終わった。
   栄養士さんを完全に敵に回してしまった」
と、私の恐怖心は限界をむかえた。

結局内容に驚いた、食事介護の看護師さんから
確認が行って、これも間違いだった。
他の人の部屋に行くはずの食事が、
間違えて私の所に来てしまったらしい。
すぐに交換とはならず、間違えた先の人には
新たに正しい物が届けられたと聞いて安心した。


ただ、栄養士さんに対する畏れ多い気持ちは消えず、
ますます食を楽しむ気持ちはなくなった。

食事のリハビリをと力の入る、
OT(作業療法)の先生を更にてこずらせることに。
しかし、思わぬ形で救世主が現れたのだが、
それはまた次回。

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