肌けた愛をみた

ルーブル美術館展と言えば宗教色の強い絵がイメージとしてある。赤、青、信仰心。前の知識はそれくらい。今回はピンク色がイメージの展示展。多様な愛をテーマにされている。

神話の中の肌けた男女を、服を着た現代の人間が、首を伸ばしたり、犇めくように、薄暗さの中で食いいってに観ていた。
大きなキャンバスに描かれた作品ほど、物理的に肌の露出が多くなる。そして当然目立つ。なので、不思議と人集りも多くなる。
裸体の男女を人が入れ替わり立ち代り吟味する光景は、ある意味で背徳的。

ピンクなイメージの企画展とは、人間の欲望に刺激を与えるような展示展だったのか…?

当時の人たちがこれでもかと愛を見世物にしてくるような感覚だ。

それほど描かれた絵画達には力を感じられた。

描かれた当時は時代はどんな世だったのだろう。

何をエネルギーにここまでの作品を描いたのだろう。

絵画のたくさんの明るい肌と実際の人間の熱にふやけそうになりながら辿り着いた先でみた

少し暗いタッチで描かれた

ベネデット・ルーティ
《キリスト磔刑像の付いた十字架を手に、瞑想するマグダラのマリア》

こちらがとても美しく感じた。

元娼婦ながらキリストに仕えたされているマグダラのマリア。どこか儚げな表情。見守っているのか嘲ているのか、どちらとも言えない表情の天使。
信仰心という愛との短絡的な説明があるものの、一言で言い表わせられない愛の雰囲気を醸していた。
まるで本心や切なさを押し殺した愛。どこかに終わりを感じる愛。
観ていて胸が熱くなった。

最後の部屋の一角に
それまでの作品とは逸した絵画があった。

テオドール・シャセリオー《ロミオとジュリエット》

赤い色は刺し傷から出たばりの赤い血。美しい愛の最後。

テオドール・シャセリオー《ヘロとレアンドロス》、または《詩人とセイレーン》

届かずに溺れて死んでしまう愛の最後。

死に至る愛
Love to death

ルーブル美術館展 愛を描く
これが最後のテーマ。

本当の愛はやっぱり
『死』
なんだよな。

愛、肌の色、欲望、ピンク色の強い展示会だった。
それでもやはり暗がりの中でひっそりと燃えているような作品には目がいく。
ネガティブな要素が入ったものこそ美しいなと感じる。

細胞レベルで僕はそう出来てるみたいだ。

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