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お受験ってどんな試験科目があるの?塾って必要?

元お受験ママ、カナヲです。
このノートは少しでもお受験に挑む家庭のお役に立てればと書いているものです。
この記事は連載4回目です。

今回のノートは長いですよ。
長いけど、2回に分けては書けない内容なので、心して読んで下さいね。

小学校受験の塾は「お教室」と呼ばれます。
お受験にお教室・・・。
うんざりする言葉遣いですが、慣れてくるとしっくりくる言葉でもあります。ほんとですよ。

ですが、このノートでは「塾」という表記を多く使います。
「お教室」より文字数が少なくて読みやすいですし、実情はしっかりと「塾」ですからね。

「塾って必要?」


お受験を決めたなら塾選びをしなくてはなりません。
でもちょっと待って。

「そもそも、塾って必要なの?」

と疑問を持つ親御さんもいるのではないでしょうか?
5歳児に教える内容なんてたかが知れてる、家で親が教えるんで十分でしょ?
そう思うのも大いに理解できます。

しかしながら。
結論から言います。

絶対に絶対に塾は必要です。

中学受験でも「塾は絶対に必要」と言われますが、それとも全く次元の違うレベルで絶対に絶対に必要です。
中学受験では、極端な話をすれば、親が塾講師や家庭教師のプロだったとして、そのノウハウを家庭内で子供に注ぎ込めば合格は可能です。
「下剋上受験」のように尋常ならざる努力で超難関校に合格させた親もいなくはありません。
私の友人にも塾がお子さんの肌に合わなくて、家庭学習+模試のみでYT偏差値65の難関校に合格させた親が存在します。

しかし、小学校受験はそうはいきません。
お受験塾のプロ中のプロの先生でも、家庭内だけで自分の子を教育して合格させられるかというと、ほとんど無理だと思います。
なぜなのか。
これは小学校受験とはどのようなものなのかを知らないと理解し難いのです。

それを理解するためには、まず小学校受験において考査(入試)で何が行われるのかということを知らなくてはなりません。
学校によって内容やウェイトはかなり違うのですが、以下のような内容です。

カテゴリ分けは色々な方法がありますが、私の感覚で8つに分けてみました。

小学校受験で取り組む学習 8カテゴリ


①ペーパー


いわゆるお勉強です。
テストでマルをつけ、正解数で点数が出る、好みや私情を挟む予知のない一番公正公平な考査です。
このテストの点数を重視する学校はペーパー難関校」と呼ばれます。
暁星・白百合などがこれに当たります。
成蹊もこのカテゴリにいれられることもあります。
内容としては数・図形・思考・記憶・常識・理科的常識などがあります。

お受験を知らない方は、このペーパーだけをイメージするのではないでしょうか。
しかし、実際にはペーパーは、学校側が見る子供や家庭のほんの一部でしかありません。

②運動

学校によってはかなり点数のウェイトの高い科目です。
運動神経・運動能力そのものをしっかり見る学校もあれば、指示行動考査として知能や躾を見るために実施する学校もあります。
(指示行動=先生の言ったことを覚えてその場で再現できるか)

どちらにしても倍率の高い学校で高い点数をいただくためには受験用の体操教室やクラスに通う必要があります。
慶應幼稚舎などはその際たる存在ですが、他にも立教のように特徴のある運動考査を出題する学校を受ける場合は、志望校別クラスでの訓練が大切です。
毎年内容を変えて出す学校もありますので、走る・スキップ・サーキット・くま歩き・ポーズ・ボール・縄跳び・ぶら下がり・リズム運動など多岐にわたる内容を網羅しておかなければなりません。

③個別考査

ペーパー考査のない学校でよく実施されますが、一人ずつ試験官の前に呼ばれ、難しいパズルを解いたり、絵の通りに積み木を積んだり、数の問題を口頭で答えるというようなことを行います。
ペーパーよりも難しい問題が出されることもありますし、実際に具体物を扱うため手先の器用さなども見られます。
また、考査内容だけではなく志願者の積極性や言葉使い、表情なども見られ、面接を兼ねるような場合もあります。

④集団考査

小学校受験において最も特徴的な考査。ほとんどの学校で実施されます。
数人のグループごとに分けて行われ、共同作業やゲームなどを行わせてその様子を観察します。
志願者の積極性・協調性・思いやり・言葉使い・忍耐力・マナー・リーダーシップ・コミュニケーション能力・ゲームに勝つためのアイディアを出せる知性など、人間としての人格と能力の全てを見られる考査です。
就職試験の子どもバージョンのようなものです。

普段、塾のシミュレーションでたくさんの稽古を重ねていても、当日の考査で場慣れしていない挙動不審の子や、相性の悪い子どもと当たってしまい、いつもならやらないような問題行動をしてしまう子も多く、番狂わせが一番起こりやすい恐ろしい考査です。

⑤絵画・工作・巧緻性

学校によってはかなり重視されます。
描かれた絵の独創性を見る学校もあれば、日常生活の中のリアルな絵を描かせて家庭を読み取ろうとする学校もあったりと、着眼点が学校のカラーによりそれぞれ異なります。
桐朋学園のようにその場で出された素材を使っての創作工作の出来でほぼ合否が決まってしまうような特殊な学校もあります。
ちなみに工作のことをお受験界では「お制作」と良く言います。笑

そして「巧緻性」とは聞き慣れない言葉ですが、小学校受験ではよく使うワードです。
手先の器用さのことを指し、蝶結びや折り紙やちぎり(ハサミを使わずに紙を指定された形にちぎっていく)やお箸使いなどの課題、創作ではなく課題工作(先生の指示通りに作れば出来上がる工作)を見る学校もあります。
鉛筆で塗りつぶす際にグラデーションのように濃さを変化させながら塗らせる、など毎年同じ課題を必ず出す学校もあります。

幼稚園や保育園でのお絵かきや工作をやっているだけでは絶対にできないような課題が出ますので、配点の高い学校を受験する場合は集中的な訓練が必要です。
絵画では対象物をなるべく大きく描く、動きのある瞬間を捉える、背景もできるだけ白く残さない、立体的な絵を描く、などのコツがあります。
最低でも1年間程度の練習が必要です。

また、特徴としては製作中に試験官の先生が子どもに話しかけ「何を作っているのか」「どのような工夫をしているのか」「この場面は実際に経験したことなのか」などの質問をしてきます。
この時の受け答えで人間性や言語力・マナーなどを見られます。
これをも含めた考査が絵画工作科目となります。

⑥生活習慣

早稲田実業初等部が一番有名ですが、他の学校でも似たような内容が個別考査や集団考査で出されることがあります。
具体的には着替え・片付け・掃除・配膳・お出かけ準備・寝具の扱い・折り畳み傘の扱い・家事のお手伝い・買い物のやり方・・・などの家庭で教えておくべきことを見られる考査です。
とはいえ、6歳児に対しては普通はほとんどの家庭でそこまでの躾はしていないような内容が出題されますので、特別に練習が必要です。
基本的には家庭内で練習を重ねることとなりますが、塾の分析と予想問題に基づいた取り組みをしないと実際の考査には対応が難しいのが現状です。

⑦面接(保護者のみ/保護者+子供・子どものみ)

考査の前に行われる事前面接、子どもの考査の最中に同時進行で行われる保護者面接、1次考査で振るい分けがあった後に通過者のみ行われる面接、などと学校により傾向は様々です。
親や家庭を主に見る学校、子どもへの質問の多い学校など、それぞれの学校の傾向に合わせた面接練習が必須です。
また年配の先生が面接官になることも多く、そのような相手にも怯まずにお話しができる訓練をしておかないと本番で何も話せないということが起こります。
塾では年長春ごろから約半年かけて親子共々練習を重ねます。

⑧願書

一番最初に学校にコンタクトするツールです。
教育方針や子育てで気をつけていること、将来のビジョン、学校に求めることなど多岐にわたる項目を文章としてまとめて家族の指針とする作業を行います。
願書は面接と密接に連動しますので、同時進行で願書に書くべき内容を口でも言えるように意識していきます。
学校によって求める家庭像が異なりますので、その特徴を掴んで学校に寄せつつ、しかし嘘のない内容に仕上げるためにはプロの添削は必須です。

※②④⑤⑥をひっくるめて「行動観察」と呼びますが、④だけを指してそう呼ぶこともあります。
③も行動観察に含めているお受験書籍もあります。

※便宜上8項目に分けましたが、実際には集団で片付けさせる・集団で絵や工作を制作させる・ドリブルリレーや大縄跳びのような団体競技をさせるというような複数項目にまたがる集団考査を行う学校は多くあります。
毎年、学校の先生方も手を替え品を替え、新しい考査を繰り出してきます。


やるべきこと超山盛り


いかがでしょうか?
参考書が存在しない受験科目が多すぎます。
勉強だけができればいい中学受験とはまるで違います。

小学校受験をするなるば、これらを全て出願・考査までに間に合うようにスケジュールを立て、抜けのないように準備をしなくてはなりません。
ほとんどの方が複数校の受験をすると思いますが、各学校の情報を正しく集めて対策するということを、初めてのお受験で自力でできますか?

要項にはどこにも書いてないのに、当日持っていかないと不利なものがあったとして、その情報を塾なしで得られますか?
実際の「教室」で机を並べて勉強するという経験のない子どもが、突然考査当日に親と離れて知らない子の間で冷静にペーパーを解けると思いますか?

なにより小学校受験のキモである集団考査の訓練は家庭では不可能です。
いろいろなタイプの子たちとの組み合わせで取り組み、自分の勝ちパターンを学んでおかなくては、実際の考査ではとても太刀打ちできません。

「お受験ってこんな小さな子にこんなにもたくさんのことをやらせなければならないの?とても出来ない!」
とお思いですか?
そう思うなら、ここで撤退するのが吉です。
お勉強にギアを切り替えて早めにくもんに入会し、小3からはSAPIXに通わせて中学受験を狙いましょう。


それでもお受験をすすめるワケ


しかし、私は小学校受験を一度でも考えて、そしてこのnoteにたどり着いた方にはぜひチャレンジしていただきたいと思うのです。
小学校受験のキモである「行動観察」の訓練もペーパーの勉強も、幼児期に受けたことが我が子にとっての一生の糧になったと感じているからです。

人生とは忍耐の必要があること、努力は必ず何かの結果を残してくれること、他人を思いやること、自分も将来大人に必ずなること、その時に役立つ人間になり、幸せになるためにはやるべきことがあるということ。
6歳時点で自分の人生の主体は自分なのだという自覚を持てることの意味の大きさ。
また、ペーパー考査のための訓練で小学校に上がった時に学習習慣を得ているというこの武器の強さ。

これらをたった1年半のお受験準備で親子共々得ることができました。
お受験は本当に大変でしたが、今となっては何にも代えがたい宝物をいただいたと思っています。


熱く語りすぎました。話を戻します。

お受験をするなら、絶対に塾は必要です!
絶対です。

たまに「塾なしで超難関校に合格!」というような本やブログを見かけますが、少なくとも私の周りでは実際に聞いたことがありません
これらの本やブログがまるきりの嘘である可能性も普通にありますし、本当のことだとしても非常に特殊な話です。
自分の身にも同じことが起こるなんてことはゆめゆめ考えてはなりません。
(ただし国立附属校は直前講習のみでの合格の例はわりと聞きます)

家庭と子どもと塾の3者で頑張るのがお受験です。
「高額な費用を親に払わせるために必死な塾にまんまと乗せられているだけだ」などという人がいても耳を貸してはなりません。
いえ、塾に乗せられているのはその通り。
しかし、乗らねば合格は手にできないのが現状なのです。
どの程度の頻度で利用するか、に関しては色々オプションがありますが、塾なしでお受験で合格は不可能です。

・・・と、塾の要不要問題に決着のついたところで、次回はいつから入塾するべきか?
について書く予定です。

【まとめ】

お受験に塾は絶対必要。
家庭内で学習できない項目ばかりなのがお受験。
正しい情報も塾に行かないと得られません。

今回以降の記事は、内容の深さと人気度等を見ながら、公開後に徐々に有料化することも検討しております。
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