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頑張って書いた記事

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エッセイ、映画や番組批評、短編小説など、個人的にがんばって書いた記事です。お役立ち情報も書いたりしています。 ※イラストはki_nyaさんの許可を得て使用させていただいておりま… もっと読む
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2020年10月の記事一覧

芋を焼け、扉を開けろ。

家で本を読んでいた美雪は、きな臭い匂いに気づいた。開いていた窓から身を乗り出して見ると裏の小山の横穴から白煙が立ち登っている。 「なんだ、山火事か?」 近所が騒ぎ初める。何かを察した美雪は、部屋にあるシューズを履くとスラリと伸びた足を窓枠にかけ、ひょいと飛び出し山の裏側へ全力で走った。 最近は遊び場所がめっきり少ない。僕達3人はいつも退屈だった。どこで遊んでも近所の年寄りにうるさがられる。 「家でゲームも飽きたな」 大野がそう漏らす。小学校でサッカーをやろうにも校門

ああ 忘られぬ『豚のみそ漬け』

冬の夜。 小学生の僕は、自宅の肉屋のシャッターを閉めていた。 手を挟まないよう気を付けながら、ゆっくりと閉める。 お客さんのいなくなったお店は、とても静かだ。 ちょうど、コンビニくらいの広さのお店で、 僕は窓側から順に電気を消していく。 暗くなったお店は、 ちょっと、怖い気もするけれど好きだ。 お客さんが両親と何か話している、 日中のガヤガヤした雰囲気も好きだったが、 おそらく、誰も知らないであろう、静かなお店も良かった。 大きな冷蔵庫のゴオォォォォンという、 独特

『南の国から』徳島からの手紙 2020秋~栗ジャムのトースト編~

父さん。都会の風は、厳しいわけで...。 普通に生活しているだけで、腰に負担がかかるわけで。 ヘルニアにもなってしまったわけで。 うっかりマスクを忘れて街に出ると、周りの人がビックリするわけで。 優しい人は、マスクをくれたりするわけで。 ついでに、飴ちゃんもくれたりするわけで(ありがとうございます)。 知らない間に、物価も上がってくると思われ。 そうして生きていたら、ある日、お届け物が来たわけで。 開けて見たら、すごいものがたくさん入っていて、痛い腰が、抜けそうになったわ

ヘルニア国物語 第三章 ヘルニーアの攻撃vs最新神具ケンイン(牽引)

最初の闘いから、1ヶ月半。 当初は1週間の短期決戦でケリがつくと思われた。教会の神父様(整形外科の先生)も教会のモンク(柔道整体師の先生)の方も長くて2週間と話されていた。 ヘルニア国の民衆もみなそれを信じ、幸せな生活が戻ってくると感じていた。そして、太陽に背筋を伸ばし、堂々と街を歩けると!! おおぉ!神よ!なぜこのよう長い苦しみを、我々にお与えになるのでしょうか! 皆は真面目にコツコツ、村人(サラリーマン)として生きてまいりました。ちょっと月末に市場(コンビニ)で、スウ