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『 忍 』

友達が教えてくれた
しのぶという名前
心に刃が切りつけられているのだと…
かなり痛そうだ
ひりひりする

だけど
それでも動じないのが「忍」なのだそうだ

わたしはずっと我慢するのが「忍」だって思っていた
痛みに耐える
決して声を出さず
血がだらだら流れていても
悲鳴も上げずに生きて行く
それが「忍」=耐えることだと思って生きてきた

忍耐の「忍」
とにかく堪える耐える我慢する
自分の気持ちを抑え込む
やりたいことにはノー
やりたくないことにはイエス

どんなに苦しくても
それを決して表には出さず
笑顔でこんにちは

たとえ切りつけられて
痛かったとしても
ガマンする
だから
ずっとガマンを続けてきた

ガマンにガマンを重ねると
人の心はどうなるのか
麻痺する
壊れる

この麻痺が動じないことなのだと
思っていた
どうやら
麻痺と動じないが一緒になっていたようだ

麻痺した心は
なにも感じない
痛みも感じないかわりに
楽しみも感じない
しあわせも感じない

恐怖を感じない代わりに
どこまでも攻め込んでしまう
危険を冒してしまう

そうやって生き続けていくと
最後には自分がわからなくなる
自分とはいったいなんだったのか
すっかり忘れていた自分

長い間忘れていた自分を
思い出すには時間がかかる
すっかり記憶がうすれてしまった自分
どんな顔で
どんな形で
どんな世界を生きていたのか

いったいなにが見えていたんだろう
楽しかったのかどうかも
もう思い出せない

だけど
もう1度自分を思い出してみるか

苦しみに動じない「忍」

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