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かなきちと病気


我が家の2歳児、かなきち。元気いっぱい、歩くのも走るのも大好き。食べるの好きだけど見慣れないものは尻込みしちゃうタイプ。
人見知りもするけど好奇心は旺盛で、弟の世話をしたくて仕方ない。大人のマネもしたくてモップを持って歩き回ったりする。
歌が好きであんぱんまんとひつじのショーンを覚えた。
コロナで何処にも行けないけど、家族だけでドライブにでも行こうかって話してた頃だった。

いつからか夜眠れなくなった。何処か悪いはずなのに何処も悪く無いと言われ続けた。
あまりご飯を食べなくなった。歯が痛いのかな?とゼリーや牛乳で繋いだ。
ある日急に立てなくなった。
ある日急に座れなくなった。
病院へ行って、緊急入院して、検査して。
見つかったのは、想像していたよりもっと悪いものだった。

かなきちは、神経芽腫と診断された。その腫瘍が脊髄を圧迫していて、回復するかはわかりませんと言われた。
翌日、手術と治療が出来る病院に転院が決まった。あまりに急だったけど、なんとか義母が来てくれて弟を見ていてくれたから両親揃って病院へついていった。
その日のうちに手術が決まって旦那さんがついていてくれた。一度弟の世話に戻る途中、手術が追加になった連絡がきた。
腫瘍を少し削って圧迫を解除しましょう。早い方が、回復の見込みがあるからと。将来歩けるようになる為に。
8時間近い手術を終えて、戻ってきたかなきちはぐったりしながら目を開けていた。強い子だった。
前日からなにも飲み食いしてないのを怒っていて、ちゃんとお腹すくんだねって安心した。

今化学療法を受けながらリハビリをしている。驚くほど回復して、びっくりするくらい歩けるようになった。
座るのもやっとだったはずなのに、先生ともすごいですねって驚いてた。
まだちょっとジャンプしたり走ったりは苦手だけどどんどん練習して行こうねって。
副作用もあまり出なくて、吐いたりは今のところない。髪の毛もあんまり抜けない。でも今後薬の量や種類が変わっていったら分からない。
毎日大騒ぎしながらベッドでにこにこ笑うかなきちを見て、たまに家に帰って切なくなる。
でも治る病気にしてくれた、現代医学を信じてるしかなきち本人を信じてる。
入院していても日々成長して発見をくれるすごい子。甘えん坊で、私たちにはわがまま言うけど看護師さんやお医者さんにはにこにこして良い子ですねって可愛がってもらってる。これも我慢かな。
外泊許可出ると何食べるかな、なにで遊ぶかなって沢山考えるのに時間はあっという間に過ぎてしまう。ちょっと風邪ひいたら会いに行けない、弟が風邪ひいても会いに行けない。面会制限されるかもしれない。毎日同じように過ごしてるけど、退屈しないようにって沢山考える。叶えてあげられることは少ないけど。

退院したら何処へ行こうか、なにしようか。
あんぱんまんミュージアムに行けるかな、海を見に行けるかな、旅行に行けるかな、新幹線乗れるかな。沢山考えて、それを叶えてあげられる未来を信じてる。
こうして言葉にすると涙が出そうになるから、やっぱり悲しいし悔しい。でもそれはかなきちには関係ないから、会う時は沢山笑って、叱って、抱きしめてる。
弟も一緒。保育園行って帰ってきたらもうご飯とお風呂で眠くなって遊べない。沢山抱っこしてあげたいけど時間が足りなくなる。
嘆いても仕方ないから、あるだけの時間をいっぱい使って与えたい。そして私も沢山もらってる。
笑ってくれるから頑張れるよ。ありがとう。負けないよ。
当たり前が戻ってきますように。
そしてみんなの当たり前が、何事もなく、いつまでも続きますように。

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