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「ボクらの夜明け」の歌詞における主観との距離に対する考察及び初披露からの年表

「ボクらの夜明け」という曲

ボクらの夜明け」(作詞:青葉祐五、作曲:青葉祐五/大山聖福、編曲:大山聖福/青葉祐五)とは「チグハグ」で大バズりしたボーイズグループ『THE SUPER FRUIT』(以下『スパフル』という。)の、初ミニアルバム『Seven Fruits』収録曲である。
その初披露から1年を記念して、この曲の立ち位置、ファンとしての想いを残しておこうと思い、この記事を投稿した。

代表曲となった「チグハグ」をはじめ、『スパフル』のメインとなる曲はポップな曲調が多い。中でも普遍性を歌う「チグハグ」や「サクラフレフレ」、アイドルらしさ溢れる「君はリアコ製造機」などの人気曲はその傾向が強く、TikTokで踊れるダンスも相俟ってグループの方向性をわかりやすく示唆している。

これについては裏デビューシングルの「馬鹿ばっか」も同じで、「裏デビュー」というコンセプト上、曲調こそロックテイストの加わるクールな印象だが、歌詞のメッセージ性にブレはない。

その他、等身大の彼らからは背伸びしたように感じる「パノラマ」や「素敵なMy Life」、それを見越して10年後も歌える曲として作成された「Someday」、自己紹介ソング的な立ち位置の「Seven Fruits」等があるが、(「Seven Fruits」」はプレリュード的な曲なので除くとして)共通するのは「与えられ」た曲ということだ。

もちろん、『スパフル』はシンガーソングライターではない。曲がすべて「与えられ」たものであることは当然という前提のうえで、上記の曲で歌われる内容と、歌う彼ら自身の間には一定の距離がある。
「チグハグ」は「僕」という視点で歌い、メンバーからの共感性も高い曲だが、パブリックであるが故にそれは彼らのパーソナルな部分を歌うものではない。それは同じメッセージ性を持つ「馬鹿ばっか」や、曲の主体が「君」にある「サクラフレフレ」および「君はリアコ製造機」も同様だ。

その点で、「ボクらの夜明け」は、「ボク」と歌い手の主観が一番近い。
202年3月現在で唯一「ボクらの」とつくタイトルは、そこにもかかってくる。

※この歌詞の主観とメンバーとの距離の差は、兄弟グループである『世が世なら!!!』とも対照的な点だが、今回その点については割愛。


「ボクら」の曲

「ボクらの夜明け」はあからさまにアイドルが主人公として歌詞が書かれているわけではなく、聞き手にも十分共感し得るものだ。
それでも随所にちりばめられたキーワードに、彼ら自身を彷彿とさせるものがある。

>思ってた 未来/違ってた 世界/退屈そうな歩道橋
>ずっと こそばゆいまんまで/ハートの奥 きらめいてた/夢のカケラを拾いあげて
>叶えてみせるよ

歌詞より

主観の近い歌は、その日の感情、コンディション、入り込み方、そういったものがパフォーマンスに反映されやすい。是非はともかくとして、それによって齎されるのは「今」しか見られない、その日限りのステージだ(>『今』を刻んで という歌詞にもリンクする)。
配信で、曲をリピートするだけでは味わえない「生」の音楽が、確実にそのステージにはある。それはコロナ禍で生まれたアイドルである『スパフル』が、リリースイベントをはじめとしたリアルでのライブを積極的に行ってきたところにも繋がる。

「ボクらの夜明け」の歌詞には情景描写も多い。
小説を読むように、世界観に入っていきやすい仕掛けがあり、景色を思い浮かべられることによって、感傷的になりすぎない。それは疾走感のあるメロディー、明るく高めの音を奏でるピアノの音も同様に働く。
すべての要素が一体となり、〝今日の「ボクら」の夜明け〟という曲がステージ上に響く。

また、「ボクらの夜明け」には鎌田瑞輝氏アレンジによるピアノアレンジバラードバージョンがあり、ダンスパフォーマンスなしのこのバージョンは、よりボーカルの入り込み方が際立つ(実際、メンバーが歌いながら涙を見せる場面もある)。
さらに特筆すべきは、この曲のバラードバージョンのみ、メンバー全員がマイクを持って歌唱に参加する点だ。『スパフル』は基本的に、曲ごとに持ち回りでボーカルは3人と決まっており、全員がマイクを持つのは自己紹介やMCのときに限られる。

そんな『スパフル』の7人全員が歌う「ボクらの夜明け」は、間違いなく「彼ら」自身のための曲である。


初披露から

初披露からの年表

※筆者が阿部隼大のオタクのため、しゅんたくん中心にまとめてます

🌟2022/02/10 ミニアルバム収録曲発表
      (タイトル・作詞作曲編曲者判明・歌唱担当不明)

🌟2022/02/28 小田オフショット"ソロ"ムービーにて阿部が歌詞を持つ場面あり

🌟2022/03/22 披露告知

🌟2022/03/26 初披露

🌟2022/08/06 つば男 SUMMER FES 2022にてアロマポワーズver初披露

🌟2022/08/18 チグハグリリイベ@カメイドクロック 配信での初披露

🌟2022/09/25 スパ世がツーマン ピアノアレンジバラードver(編曲:鎌田瑞輝)初披露

🌟2022/10/07 From Billboard JAPAN × TikTok “NEXT FIRE”にて配信LIVE初披露

🌟2022/11/27 レジャーランドSPECIAL LIVE@ハワイアンズにて年内最終披露

🌟2023/02/01 ピアノアレンジバラードverにて2023年初披露(※馬鹿ばっか衣装での歌唱はこの公演のみ)

🌟2023/02/18 2023年初披露@サクラフレフレリリイベ初日


初披露から1年によせて

※以下は考察ではなくただのオタクの独り言です。

夜明けがスパフルにとって特別なのは前述したとおりですが、しゅんたくんのオタクとしても、しゅんたくんにとって特別な曲すぎるのが「ボクらの夜明け」です。

時系列でいえば、プレ始動1stライブから披露していたSeven Fruits(小田・田倉・松本)と学園天国(小田・田倉・星野)、プレ始動2ndライブで披露した君はリアコ製造機(小田・田倉・堀内)、チーフマネージャーが先行してSNSに投稿した写真から歌唱担当がわかっていたパノラマ(小田・田倉・鈴木)とあるなか、夜明けだけは情報がまったくなく、状況証拠は揃いつつも初披露当日までボーカル3人目がわからないという状態でした。
こうして振り返ると、6週間もハラハラしながら初披露を待ってたんだなぁということがわかって、個人的にも感慨深いです。

そもそもCUBERSの「ピンキーリング」が好きなので、作編曲がわかった時点で期待値が高くて、こういうキラキラした感じの曲をしゅんたくんが歌うんですか?とわくわくしてた記憶があります。
(ピンキーリングは作詞:児玉雨子、作曲・編曲:青葉祐五/大山聖福)

初披露で聴いて、ピンキーリングのような王道アイドルソングではないけれど、アイドルとしてのきらめきを感じられる歌詞と音楽、それをスパフルが歌う意味、しゅんたくんがボーカルを担う理由、をずっと考えています。
最初のミニアルバムの中では特に「背伸びをした曲」と言われてましたが、未来を見据えた「これから」を歌った曲、という意味だと解釈してます。それがスパフル初めてのCDのラストを飾るのも粋です。
だってラストの曲で「ボクらの旅がはじまる」って歌詞はすごい。でも本当にこのミニアルバムは、はじめの一歩だったわけで、ここからはじまる、はじめていくんだという決意を感じます。

これは今も感じている部分であり、節目節目で歌われるたびに思います。
スパフルの良さは、各々の向上心の高さにあると感じていて、それがこの曲に詰まっています。「叶えてみせるよ」は強い宣誓ですよね。「叶え」るの主語は、スパフルである彼らです。

たとえば、つば男FESでアロマポワーズが披露した夜明けは、CUBERSのメインボーカル春斗くんの歌唱力により、これまでスパフルが披露してきたものとは段違いのパフォーマンスでした。思わず、オリジナルで歌っているメンバーが心配になるほどです。
それを受けてどんな夜明けを披露するのだろうかと見守っていた亀戸でのライブは、心配が杞憂であったと確信するパフォーマンスでした。夜明けが「自分たちの曲だ」という矜持が見える、力強さがありました。

また9月の世が世とのツーマンライブで披露となったピアノバラードバージョンは、前述のとおり初めての7人での歌唱、またツーマンライブ自体が長かったデビューシングルのリリイベの総まとめ的なライブです。MCでも「全員で話し合った」という旨の発言もありましたが、皆で乗り越えた夏(チグハグが大バズりした夏であったので)を経て、ここで一区切り、ここからまた羽ばたくんだ、という意思を感じられました。

折りに触れ、そういうライブがあるたびに、夜明けという曲の力に驚かされます。

しゅんたくんに歌割りがあった意味については、他の曲との兼ね合いがあるのはもちろんですが、「(当時の)スパフルとしては背伸びをした曲」に最年長が加わるのは頷けますし、あの難しい歌い出しを任されるほど歌唱力を信頼されたからだとも思えます。
しゅんたくんの歌は、歌声の透明感や甘やかさに加え、ピッチの正確さに目を瞠るものがあります(過去にヴァイオリンを習っていたという経歴を踏まえると納得がいきます)。そもそもダンスや表情もですが、歌に関しても表現力に長けており、それはつまり抑えるのも上手いということです。イントロの歌い出しからピアノの高音が鳴り、一瞬クレッシェンドがかかって1Aでスッと音が引いたところで、「遊び疲れた自販機」というフレーズ。1Aは謂わば導入のナレーションです。ここが冷静でなければ情景は浮かびません。その点で、しゅんたくんの歌は毎回綺麗で穏やかで、だからこそいしんくんの幼さの残る歌声と、てるくんの情感に彩られる歌声が際立ちます。このバランスがあってこその夜明けです。
もちろん、そこからの1サビや2Bの説得力、ラスサビの力強さも聴きどころです。
※直接は関係ない好みの話ですが、筆者の一番好きなフレーズは「強く鳴り続ける鼓動が/きっと答えだ」、歌い方が好きなのが「鮮やかな/描いてく」と「『今』を刻んで」のいしんくんとのハーモニーです。「光を浴びて」と「飲み干して」の語尾も好きです。しゅんたくんのフレーズ終わりの「e」の母音の音が綺麗で大変好き。

ちなみに夜明けでもうひとつ好きなものがあって、それが照明です。
普段、リリイベで野外や店内スペースでライブをすることが多かったスパフルが、唯一ライブハウスのような照明設備でライブすることができたのが、池袋のエンタメ横丁であり、夜明けを初披露した会場です。
そのときから、夜明けの照明は青です。青・白・白・青、と灯る照明と、落ちサビでピンスポのように射す光。
それは夜明けの空の色です。夜から目が覚めるとき、まだ日が昇りきる前の薄暗がりに射す光の色です。青という色の素っ気なさ、冷たさ、1Aの歌詞の「自販機」というワードの街の想起と金属の感触へのリンク、「白んだ空」へつづく白の色と、まだ夜の残るブルーグレーの空に浮かぶ薄く白い月。
そこから1Bの「駆け上がる」で一気に夜が明けていく情景を想像するのは容易です。
とはいえエンタメ横丁はそれほど照明数も多くないのでできる演出も限られています。が、その後にホールで披露した際の照明も、青・白・薄紅という構成だったため、基本的なライティング指示に青が入っているかな、と思っています。これからも、照明にも注目しつつ、聴きたいです。

……ここまでダンスについて触れられていないですが、筆者がいつも耳からの情報だけでキャパオーバーしていて、視覚からの情報処理に追いつけてないからです(照明はさすがに全体の印象として灼きつくので記憶に残りますが)。
それでも、まっすぐ正面を見据えるしゅんたくんの視線の強さ、ピアノバラードバージョンで「頬」という歌詞のときにそっと頬をなぞる指の繊細さ、ラスサビ前に視線を交わすしゅんたくんといしんくんの表情、などは見てます。ぜんぶ大好きです。
ただ振りはほんとに覚えられなくて、わかるのは夜明けポーズのところだけです……。なお初披露の日のしゅんたくんの日替わりボーズは夜明けポーズでした。そういうところからも、夜明けがしゅんたくんにとって特別な曲であることがみえます。

2023年3月現在、しゅんたくんの持ち歌は3曲になり、それぞれに良さがあって、今後ももっと増えていくと思いますが、それでも初めてしゅんたくんの歌声を聴けたこの曲を、ずっと大切にしていきたいという1ファンとしての気持ちです。


おまけ

しゅんたくんが加工で遊んでる夜明け

OTOTOY

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#スパフル #THESUPERFRUIT #阿部隼大 #ボクらの夜明け

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