点のチカラ、面のチカラ
今回の個展は展示方法がなかなか決まらないという初めての経験をした展示です。私自身は一枚一枚の写真に思い入れがありましたが、写真展というひとつのカタチにしようと思った時、今回の写真たちで伝えたいことを壁面で見せるにあたって見せたいものがありすぎる、というのもありましたが、それ以上に写真一点ずつを独立して見せるのはなにかちょっと違う…けれど、どうするのがいいのか答えが見つからないという状態で開催一週間前まで悩みに悩んでいました。
昔むかし、同じように見せたいものが多すぎてそれをすべて見せてしまった写真展をしたことがあったのを思い出した時に、ようやくたどり着いたのが写真を連続したレイアウトで一枚にプリントする方法でした。
この方法を思いついた展示は当時はまだフィルム時代の写真だったためデジタルデータにする技術が拙かったことと本当に見せたいと思った写真をすべて展示するというある意味写真をセレクトすることを放棄したとも言える写真展になってしまったのは反省の余地しかありませんが、その時の経験が今回の展示方法に導いてくれたのも事実です。
今回見に来てくださった方の中で「絵巻物みたい」と言ってくれた方がいました。一枚ずつ独立して見るのではなく、連続した物語として写真を捉えて頂けたようで、私の意図が少しでも伝わった気がしてとても嬉しかったです。
デジタルが主流になったことで展示方法の選択肢の幅も確実に広くなっていることを実感しました。銀塩時代からの習い性でスタンダードな展示方法ばかりを選択してしまいがちですが、飾り方の引き出しをこれからも増やしていきたいと思います。
金森玲奈写真展『20110701_20210701』
会期:2月22日(火)-3月6日(日)12:00-19:00(日曜17:00迄) 月曜休廊
会場:Jam Photo Gallery
〒153-0063 東京都目黒区目黒2-8-7鈴木ビル2階B号室
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