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週一回は出したいシリーズ:「聖王 終わりの移民」8-7

【前書き】

皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。

連載漫画に考えていた企画を、今「小説家になろう」の掲載中です。
面白いと思っていただけたら、そちらも読んで頂けると嬉しいです。
https://ncode.syosetu.com/n2644iw/

少しの間でも、お楽しみ頂けていることを願います。


【聖王 終わりの移民】8-7
「橘マコト⑦」

作:カナモノユウキ


《登場人物》
・高瀬タケル(20)大学に通うヤマトの親友、自分勝手なところもある。
・大継ヤマト(20)タケルの親友、大学では友達も多い。タケルとは真逆な性格。
・町村ツカサ(32)聖王のプレイヤー、クリア回数5回。
・音來未ケイ(21)ゲーム初参加者、愛知出身。
・原嶋アキオ(37)クリア経験一回、大阪出身。
・橘マコト(39)聖王のプレイヤー、クリア回数7回。

聖王 終わりの移民

《橘マコト⑦》

――〘原嶋アキオ敗退直後〙


『オメデトウゴザイマス、レベル27→30ニUPシマシタ。』

『条件ヲ達成、補助スキル《ブースト:レベル2》ヲ習得、固有技〈火焔斬〉ヲ習得。』


気付いたら、僕の目の前にはアキオさんの死体が転がっていた。

…そうか僕、名前を呼んだんだ。

さっき出会って…少し一緒に戦っただけの相手なのに…なんで…こんなに…。

何で呼ぶんだよ…僕の馬鹿。

…本当に馬鹿だな、こんな思い、もうしたくなかったのに…。

涙が止まらない、身体の震えも止まらない…そして感情も…何もかもが、また…。


これは……そうだ、勝たなきゃ…勝たなきゃいけないんだ。

アキオさんは言った、「〝勝つ方〟に転がっといて、結果ソイツが勝てば俺も勝ちやろ。」…って。

自分の〝想い〟を、僕に…押し通した。

この〝バカ議員〟も。

自分の想いを押し通そうと…殺し続けてる。

こんな奴に負けてたまるか…身体の震えも、感情の高まりも、全てを…〝勝つ〟為に使え。

例えそれが、〝人殺し〟でも…。

僕は、アキオさんを殺した。

この表示された【アラヤ】が、それを実感させる。

でも、これは僕が選択したことであり、アキオさんが選択したんだ。


…選択には、責任を持たないと。



――〘現在〙割り振りは、残りのポイント全てを体力に…コイツは必ずここで殺す。

アキオさんの〈武器〉と【千里眼】…大事に使いますから。


『[プレイヤー5]ステータスヲ確認シマスカ?』…イエス。


状態:【大将軍状態】

《体力155・腕力235・脚力210・知力378・運143》


まだ多分〝使っていない〟のか…、次は…。

『自分ノステータスヲ確認シマスカ?』…イエス。


状態:スキル〈迅雷〉〈昊天〉使用中

《体力230・腕力300・脚力328・知力110・運197》


…ありがとう、アキオさん。

僕…負けないから。





――幼少期から〝庶民は物〟と教わり生きて来た。

それはつまり、強者の真理だ。

使うか使われるか、それは強く無ければ選択肢すら与えられない。

しかし一人で強くなっても無駄だ。

強者にもまた二種類ある、〝単独で強者になる者〟か、〝弱者を従えて強者にのし上がった者〟かだ。

…残念ながら、橘家自体は後者だった。

エリートとは名ばかりの、メッキ塗装された家柄。

数ある政治家系の中でも、強者に従う〝弱者をまとめ上げる弱者〟だ。

…私はそれが嫌いだった。

そんなことに憤りを感じていた時、この戦いで私は優秀な強者を従えることが出来るようになった。


庶民…いや、弱者の我がままをものともしない前線を守り抜く〝盾兵〟


その後ろで弱者の納得する意見を打ち出す〝銃兵〟


弱者が嘆く最中でも甘い蜜を啜ろうとする政治家に屈しない〝剣兵〟


冷静に状況を整理し、最善の一手を突く〝槍兵〟


外交という難しい局面に矢じりを向けて戦う姿勢を崩さない〝弓兵〟


弱者でも強者でも関係なく牙を向け、その嗅覚で政治という戦局を読み切る〝獣兵〟


そして、私の懐刀にして代弁者となる…〝刀兵〟


このゲームで造り出された人間は、不思議なことに〝私の思うままに、世界に溶け込んだ状態で誕生する〟のだ。

即ち勝利すれば、その分私の理想の世界に近づいた状態で政治家として戦う力も得られる。

それに、このゲームで倒すプレイヤーは弱者ばかり。

…殺したとて、所詮弱者の末端が消えるだけだ。

そんなもの、日常茶飯事であり寧ろゴミ処理みたいなものだ。

毎日の様に、瞬きの様なタイミングで行われるありふれたこと。

それを自らの手で行う…いや、この【大将軍】の力であれば自らの手を汚さなくても行える。

こんなに楽で優位で、理にかなったゲームはないと…私は三度目の勝利で歓喜した。

私の親友であり、戦友でもあった…〝敷島ユタカ〟の想い。


「日本を守る為に、俺たちは力を付けなきゃいけない…たとえそれが〝修羅の道〟であってもな。」


酔ったとき、必ず言うその言葉が…私は好きだった。

その言葉が、日本を変えると信じていた。

だが…お前も〝弱者〟だった。

汚職の濡れ衣を着せられ、政治家生命を30で断たれ自死を選択した。

私はお前も、この国に蔓延する弱者の空気も大嫌いだ。

だからこそ、〝強者による統一〟を掲げ。

〝弱者を淘汰する政治〟を成しえるために…こんなクソガキ一人には負けられない。

…なのに何故だ、何故このガキから漂う空気は私のよく知る強者なのだ?

しかも、これは私の求めた…。

〝単独で強者になる者〟の空気だ、こんなガキに…そんな空気を感じる何て不愉快だ。

実に不愉快極まりない!


…ユタカ、お前の言った〝修羅の道〟を…私は進むぞ。

こんなガキにかまけている暇はないのだ、ここで使わせてもらうぞ。

…出し惜しみは無しだ。



【金打】能力:自分で打ち立てた制約を守ることにより、一つのステータスを50%強化する。



制約は〝馬から降りない〟こととし、攻撃力を50%強化とする。

ガキは必ず私の懐を目指して来るだろう、その一瞬で…必ず息の根を止める。

そして、私はこの戦いも勝利する!この国を、〝橘〟という〝強者〟が統べる為に。







続く


【あとがき】

最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。

元々は漫画のネタなので、何だか説明が足りないなと感じつつも。
荒っぽくても楽しんでもらえるようにと。

頭を雑巾のごとく振り絞って書いてますm(__)m

完走まで頑張るので、応援して下さると嬉しいですm(__)m
何卒、宜しくお願い致します。

※面白いと思っていただけたら、こちらから続きが読めます。
https://ncode.syosetu.com/n2644iw/

では次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。

カナモノユウキ


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