ボイスドラマシナリオ:「ヱイ藍5」

【前書き】

皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。

今回は先日スタエフで投稿した「たとえばこんなディストピア。」の第5作【ヱイ藍5】です。

楽しんで頂けると幸いです。


【ヱイ藍5】

作:カナモノユウキ


〔登場人物〕
・AI
・彼氏
・彼女

朝の報道番組。ジングルが流れる。

『7時55分になりました、今日のツンツンプリンのお時間です。』

再度ジングルが鳴り、タイトルコール。

『今日のツンツンプリン。』

『今日の受刑者は、埼玉氏の山田さんです。』

(柔らかいものが揺れる音)「ツン…ツン…はぁ…。」

『さぁ山田さん、今日は崩さずにツンツン続けられるかなぁ~?』

(柔らかいものが揺れる音)「ツン…ツン…あぁ!?」

プリンが欠けてしまう。

『あぁ!残念!今日も欠けちゃったねぇ~。また刑期が伸びちゃったぁ~。明日は上手くできるといいね!』

『続きは厚生省ポータルサイトでご覧いただけます!』

場面転換、2Kのアパート、朝食を食べている若いカップル。

「…あんなことして、なんか意味あんのかよ。」

「ん?プリンツンツンするって意味だよ。」

「そうじゃねーって、こんなことさせて何が楽しいんだよって話。」

「そんなの、即死刑になるよりはマシってだけでしょ。」

「…何それ、マジで?」

「知らない?アレやってんの死刑囚だよ。」

「そんなやつが、毎朝プリンツンツンさせられてんのか。」

「そう。」

「お前、そんなの間抜けにも程があるだろ。」

「間抜けじゃないよ、アレ出来るのなんて限られた死刑囚だけなんだから。」

「え、どういうこと?」

「全国の死刑囚の中から、AIが選出した一人のみがツンツンか死刑かを選べるんだよ。ツンツン期間が終わればネット上のデータは全部AIが消去してくれるの。」

「まぁ、プリン突いて延命出来んならやるって話か。…あ、ちなみにアレっていつまでやんの?一生じゃねーだろ?」

「あぁ、アレは一応短くて半年、長くても千日。」

「千日!?」

「さっきプリンツンツン失敗してたでしょ、アレで一週間刑期が伸びるの。」

「何だ、一週間か。」

「バカ!アレめちゃくちゃ難しいんだからね!」

「…なんでそんなこと分かんだよ、」

「(間)あ!?そんな事より明日のデート間に合う?」

「お?ヤバい忘れてた、課長に定時で帰るって言わないと。」

「もー、あぶないなー。」

「ごめんごめん。」

別の日の朝、報道番組。ジングルが流れる。

『7時55分になりました、今日のツンツンプリンのお時間です。』

再度ジングルが鳴り、タイトルコール。

『今日のツンツンプリン。』

おわり


【あとがき】

最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。

こういう怪しい話も好きです。

では次も楽しんで頂けることを祈ります。
お疲れ様でした。

カナモノユウキ


【おまけ】

横書きが正直苦手な方、僕もです。
宜しければ縦書きのデータご用意したので、そちらもどうぞ。


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