週一回は出したいシリーズ:「聖王 終わりの移民」8-5
【前書き】
皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。
連載漫画に考えていた企画を、今「小説家になろう」の掲載中です。
面白いと思っていただけたら、そちらも読んで頂けると嬉しいです。
https://ncode.syosetu.com/n2644iw/
少しの間でも、お楽しみ頂けていることを願います。
【聖王 終わりの移民】8-5
「橘マコト⑤」
作:カナモノユウキ
《登場人物》
・高瀬タケル(20)大学に通うヤマトの親友、自分勝手なところもある。
・大継ヤマト(20)タケルの親友、大学では友達も多い。タケルとは真逆な性格。
・町村ツカサ(32)聖王のプレイヤー、クリア回数5回。
・音來未ケイ(21)ゲーム初参加者、愛知出身。
・原嶋アキオ(37)クリア経験一回、大阪出身。
・橘マコト(39)聖王のプレイヤー、クリア回数7回。
聖王 終わりの移民
《橘マコト⑤》
――〘タケルが投げ飛ばされ、作戦を立て直した直後〙
「(どうせ死ぬかもしれんし…やってみるか…。ただ、それでもアイツの余裕は多分続くはずや。せやから〝奥の手〟もここでつかって念押しや。)」
「(〝奥の手〟って、あのアッくんさんが残してる〝レア武器〟ですか?)」
「(まだケイちゃんに渡したヤツも残っとる…先ずケイちゃんにあのスクリーンをスパッと切って落としてもらう!そのあと真下のマコっちゃんたちが怯んだところに俺の〈雷霆バズーカ〉をお見舞いしたんねん!)」
「(…先ずケイさんの武器って何なんですか?)」
「(おお、言ってなかったな、アレは〝ブーメラン〟〈アダマスのブーメラン〉!効果は切断や。しかも投げる速度に応じて切れ味が変化、今のケイちゃんの腕力なら軽々と切り避けるはずや。)」
「(なるほど…それで、アッくんさんのその〈雷霆バズーカ〉は?)」
「それは見てからのお楽しみや!」
――流石に凄かった、〈雷霆バズーカ〉…でもそれ以上に橘議員の動じない姿勢も恐ろしかった。
スクリーンが落ちる直前に僕は見た…〝鎧〟が橘議員を覆って、そして…〝刀〟が橘議員の懐に入っていく様な光景。
…あれが恐らく、橘議員の〝本当の戦闘形態〟…甲冑を身に纏った正に〝将軍〟だ。
あれは間違いなく…攻撃は通じていないと思われる、いやあの火力…外の〝鎧〟にはダメージがあっても…。
中身の橘議員は無傷か軽傷で済んでいるだろう…それにマズいのは僕もだ。
《ブースト:レベル1》の反動と、〈迅雷〉の効果切れで体が重い!
今狙われるのは間違いなくアッくんさんだ!
それだけは何としても阻止しないと、橘議員を早く倒さないと!でもその前に!
「逃げて!!」
――私は必ず〝有限事項〟を掲げている、それは即ち〝正義〟だ。
この戦いにおいて、〝出し惜しみしない〟と決め、〝正々堂々〟を貫くことを決めた。
このような不意打ちにも、私は屈しない。
その為のこの力…私は【大将軍】だ。
この力の本質は各々の役割にある、特にこの〝刀〟と〝鎧〟は特別だ。
他の〈使い魔〉は言うなれば足軽。
〝獣〟はまた特別な分類だが、この二体は身に纏うことのできる〝装備型〟だ。
熟練度が上がり、固体化させる術を経てからは単独で戦わせていたが…本来はこれが真の姿。
〝鎧〟は身に纏う事でダメージを私の代わりに受け止め、〝刀〟は私の戦闘力を飛躍的に向上させる。
敵の超火力の攻撃も受け切り、達人級に研ぎ澄まされた感覚と剣技で…お前の様な〝雑魚〟は。
「終わりだ、詐欺師。」
燃え盛るスクリーンから詐欺師までの距離は、ざっと18メートルか…。
今の私にとっては、目と鼻の先にすら感じない…そしてそこは私の〝間合い〟だよ、詐欺師。
「〝ケイちゃん避けて!身を守るんや!〟」
自分の心配よりも、他人の心配か…見込み違いだったな。
「詐欺師がそう簡単にくたばってたまるかい!〝バカ議員〟の首は俺が頂くわ!」
…威勢がいいな。
勝算も無い、ただの見え切りとは…情けないがその漢としての心意気は認めてやる。
「死ね、詐欺師。お前は俺の贄となれ。」
…新陰流、幼少から鍛え抜かれた私の剣技。
これを相手に向けると言う事は私にとって〝油断をしない〟という心の現れ。
…だが何故だ。
「何故お前が…俺の前に立っている、猫娘。」
「ケイさん!」
「ケイちゃん…なんでや、俺の暗示は…!?」
「うぅぅぅぅう…私、途中から解けていたみたいで…はぁ…はぁ…二人の為に戦いたいなって…思って…。」
「喋ったらアカン!」
「いいから…アッくんさん…逃げて、早く…私は…また…。」
「ケイちゃん!」
「詐欺師の為に命を捨てるか…リスポーン持ちとの話だったな、限りある命の捨て場がこれとはな…。」
猫娘が消えたか、コレで残るは二人…まぁ実質〝一人〟みたいなものだがな。
「オマエ、今なんて言った…答えろ“橘ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!”」
飾り羽が逆上したか。
「〝バカ議員〟、俺久々にムカついとるで。」
詐欺師も感情的になって…呆れてものも言えないな。
「どっかに生き返るだけだろ?何を怒ることがある…君たちは理性的ではなかったのだな。」
「僕たちがいつ!」
「理性的何て言ったんやボケぇぇぇぇ!」
全方からあのバズーカがもう銃口を向けている。
後方に避けたとて、飾り羽が仕掛けてくるのがオチだ。
ここは…〈天狗抄・乱剣〉――左太刀による奇変からの斬撃。
相手の動きではなく心を読み、〝相手の一手先を切る〟為の極意。
こんな殺気だらけの攻撃…。
「まだ、虫の方が殺しにくいな。」
詐欺師のバズーカの銃口を弾き脇腹を裂く、飾り羽は…ほう…二刀の短剣でいなすか。
「ぐううううううう!」
「アッくんさん!!!!」
「あの猫娘の犠牲も、無駄だったようだな。」
こんな結末を迎えるなら、一思いに逃げればよかっただろう。
「ふっ…ちゃんと止めを刺さないと、【アラヤ】の取得権は得られないからな。…殺させてもらう。」
「やっめろぉ!〝クソ議員〟がぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
その刹那…脇腹に衝撃が走った。
「ぐうはっ!」…気付くと、私は元居たステージの壁に…めり込んでいた?
…あの飾り羽がやったのか?
【勇者】レベル27取得固有技
〈昊天こうてん〉SP15消費:攻撃力を一時的に上昇、感情により上昇率変化。
何かよく分からんが…生意気な真似を、あのレベルアップで何かしたのか?
――「アッくんさん…傷、これ食べてください!」
深い…コレでも【料理人】で治るのか?
「いやいや…もうええわ。…俺はここで降りる。」
「何言っているんですか!」
「…分かるやろう、俺は邪魔や。」
「そんなことありません!アイツを!橘を倒しましょうよ!」
「…分かれや、タケちゃん。」
…分かっている。
でも、そしたら…。
「ええか、アイツがこっち来ない内に…早く…俺を殺せ。」
続く
【あとがき】
最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。
元々は漫画のネタなので、何だか説明が足りないなと感じつつも。
荒っぽくても楽しんでもらえるようにと。
頭を雑巾のごとく振り絞って書いてますm(__)m
完走まで頑張るので、応援して下さると嬉しいですm(__)m
何卒、宜しくお願い致します。
※面白いと思っていただけたら、こちらから続きが読めます。
https://ncode.syosetu.com/n2644iw/
では次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。
カナモノユウキ
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