週一回は出したいシリーズ:「聖王 終わりの移民」8-6
【前書き】
皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。
連載漫画に考えていた企画を、今「小説家になろう」の掲載中です。
面白いと思っていただけたら、そちらも読んで頂けると嬉しいです。
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少しの間でも、お楽しみ頂けていることを願います。
【聖王 終わりの移民】8-6
「橘マコト⑥」
作:カナモノユウキ
《登場人物》
・高瀬タケル(20)大学に通うヤマトの親友、自分勝手なところもある。
・大継ヤマト(20)タケルの親友、大学では友達も多い。タケルとは真逆な性格。
・町村ツカサ(32)聖王のプレイヤー、クリア回数5回。
・音來未ケイ(21)ゲーム初参加者、愛知出身。
・原嶋アキオ(37)クリア経験一回、大阪出身。
・橘マコト(39)聖王のプレイヤー、クリア回数7回。
聖王 終わりの移民
《橘マコト⑥》
――俺は、世の中が嫌いやった。クソったれの親父も、そいつを信じて俺のこと生んだオカンも。
何もしてへんのに俺らを追い詰めたヤクザも、警察も…役人も…政治家も…国も…他人もや。
全部嫌いやった、だから…これで勝ち残って人作っても正直何も思わんかった。
「あ~ゴミ増やしてもうた。」としかな。
せやけどさ…その作ったヤツが真っ直ぐな目で俺を慕ってくんねん、〝教祖様!教祖様!〟って…。
他のどす黒い人間とかとは全然ちゃう、縋る訳でも救われたいとも思ってない。
純粋な信頼や。
金儲けに使う為に生んだ俺をやで。
作ったのは俺やけどさ…こんなん向けられたら、「あ、俺は人が好きやったんやな~。」って…思い出してまうやん。
負けたくなかったのも、オカンが笑ってくれるからで…俺はそんなオカンの為に生きて勝ち上がる!って。
いっちょ前に死んだオカンの為とか…息巻いとったな、いつしかそんなことも忘れて金もうけだけ考えとった。
女も作らず、定職何て興味もなく、ただズルく。
ギャンブルも、詐欺も、泥棒も…一通りクズっぽいことやって。
三十路越えて宗教立ち上げて、信者増やしてって…それも最初っから救う気なんてあらへん。
…金儲けやった。
ただ最近は、ホンマに信者を救おうと…毎晩毎晩…寝る間も惜しんで話聞いたったな。
…みんな、笑とった。
しょーもないアドバイスしかしてへんのにな。
その作った人間…オカンの名前つけてもうて、自分でもセンス無いな~!って思ったわ…〝愛子〟って。
でも、〝愛子〟が一番笑とったな。
…ごっつ幸せそうに。
…俺がおらんくなっても、〝愛子〟は幸せでおって欲しいな。
あぁ…こういう時、人間てこんなことばっか考えるんやな。
…思い出したくなかったわ。
…知らんくてよかったのに、〝愛〟なんてよ。
――「早く…俺を殺せ。」
…俺はもう勝ち抜くとか絶対に無理や。
仲間作ってもこのザマや、他のヤツはステータス見とっても明らかに〝バカ議員〟よりも強い。
恐らくリタイアも可能性は〝限りなくゼロ〟や。
それにコイツの団子食うたかてどないすんねん、逃げるか?戦うか?
そんなん、どっちも結末一緒やん。
…きっとタケちゃんは、優しいからな…俺が生き残っても困らせてまう。
何か…それは嫌やな。
あれ?…俺ってこんなんやったっけ。
「どの道、俺は負けんねん…せやったら〝勝つ方〟に転がっといてや…結果ソイツが…勝てば…俺も勝ちやろ。」
「何言っているんですか!?一緒にリタイアしましょうよ!こんなことやめて!ねぇ!」
「…嘘つかんくてもええて、親友…探すんやろ?」
コイツの最初の会話、聞いてないとでも思っとるんかい。
バッチリ聞こえとったわ…あの鷹の男とのやり取り大体な。
あぁ、そうや。
コイツ…自分に似てるかもって、思ってもうたんや。
「…だとしても!〝アキオさん〟は!」
土壇場でミスるとことか………マジでそっくりやな。
「〝タケル、俺を殺せ。〟」
…暗示は、恐らくワシを殺せば解かれるはずや。
――「オカン、俺疲れたわこんなん。」
「アホ!こんな生活なんて長くは続かんから!生き残れば勝ちなんや!」
「何言ってるん!こんなん負けも負け!大負けや!」
「アンタはアホやな、ええか?まだ結末何て決まってないねんで?人生の結末は、まだまだこれからなんやから。今から負けって決めてどないするん!」
「せやけど…毎日パンの耳とか廃棄の弁当とか…夜逃げばっか、こんなんどう考えてもさぁ…。」
「アキオ!アンタは勝つ!オトンもオカンも…負け組かもしれんけど、アンタは勝つって私は信じてんねん!せやから…生きて勝ち残って!」
「…でもさオカン、何が勝ち組なん?」
「それはもちろん、最後に笑ってる人に決まってるやん!アキオの笑顔は勝者の笑顔なんやで!」
「じゃあ、今からずっと笑っとくわ!」
「アンタは…ホンマアホやな、そんなん疲れてまうで?」
…そうやな、俺ホンマに疲れたわオカン。
なんでこんな歳になってまで、人殺ししながら夢叶えようと藻掻いてんねん。
…ホンマ、ごめんなタケル。
お前が望んで殺さんことは痛いほど伝わったし…お前が俺を〝信頼〟しはじめとったのも…分かったわ。
はぁ~~~!
こんな場所で最後がお前で、ホンマに良かったわ。
「…ありがとうな、タケル。…勝てよ。」
こんな面してても、自分の笑顔は…絶やさへんで。
オカン、俺・・・勝ったで・・・。
――気づいたら、僕はアキオさんを殺していた。
「殺したか。…詐欺師の能力は正直あっても無くてもだったが。あの〝レア武器〟は…お前が引き継ぐのだろう?」
「……。」
「感傷に浸るか…下らないな、そんな暇があるなら…お前も逝けばいいだろう。」
「うるせえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
「うるさいのはお前だろう、飾り羽。」
「…【料理人】を破棄、【千里眼】を習得。」
『選択ヲ確認、プレイヤーハ【千里眼】ヲ習得シマシタ。』
「…フライパンとナイフを破棄、〈ガラハッドの盾〉〈アルテミスの銀銃〉〈雷霆バズーカ〉を選択。」
『選択ヲ確認、プレイヤーハ〈ガラハッドの盾〉〈アルテミスの銀銃〉〈雷霆バズーカ〉ヲ受ケ取リマシタ。』
「バカみたいな豪華装備になったな…それで勝てるほど、大人は甘くないぞ?」
「うるせえって言ってんだろ、〝バカ議員〟が。」
「飾り羽、君若いだろ。そんな奴に…バカとは言われたくないんだよ。」
――そろそろ頭に来たな、この〝バカ議員〟って言葉にも…この態度にも。
国を背負って戦う私、〝橘マコト〟に向かって…生意気にも程があるよな。
そう思うだろう?我が兵士。
「そんなことで、イチイチ腹立てるから…〝バカ〟って言っているんだよ。〝バカ議員〟。」
「…私の何処が腹を立てていたというのかね、〝クソガキ〟君。」
「全部だよ。【造化の面】で顔が隠れていても分かる…アンタは眉間にしわ寄せて、怒っている。テレビで見てもいつもそうだった、〈使い魔〉の扱い方も何もかもから…怒りしか感じないんだよ。」
「………ほう、そうかね。」
クソガキ風情が、何を分かったことを言う。
「まだ…アキオさんの方が、冷静だったよ。アンタみたいに、人を見下さない。冷静で、優しい人だった。」
「何だその口ぶりは、私よりも詐欺師の方が偉いとでも言いたいのか?」
「飲み込み早いな〝バカ議員〟、そうだよ…まだアキオさんの方が何億倍も…政治家向きだと思うよ。」
「……おいおいおいおいおいおいおいおいおい、世間も知らない青二才がしゃしゃるなよ?」
久々に、怒髪天という言葉が頭をよぎるよ。私は、こんなにも冷静さを失うほど…怒るのだな。
「じゃあ、口でも塞げよ〝バカニセ議員様〟が。」
「………そうさせてもらう。」
倒された〈使い魔〉のリキャストは終わっている。
〝剣〟〝槍〟〝銃〟〝弓〟を再配置…そして。
「〝獣〟を〝騎馬〟へ形態変化。」
我が軍、最強の布陣。
そして、それを〝矛〟の様な陣形…これぞ7回の勝利を手にした〝鉾矢形〟だ。
「さぁ、お前にとっては〝最後〟の戦いだろう。全力で相手してやる、光栄に思えよ。」
「その台詞、負けフラグ全開でウケるよ。」
「………言ってろ、〝クソガキ〟がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
続く
【あとがき】
最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。
元々は漫画のネタなので、何だか説明が足りないなと感じつつも。
荒っぽくても楽しんでもらえるようにと。
頭を雑巾のごとく振り絞って書いてますm(__)m
完走まで頑張るので、応援して下さると嬉しいですm(__)m
何卒、宜しくお願い致します。
※面白いと思っていただけたら、こちらから続きが読めます。
https://ncode.syosetu.com/n2644iw/
では次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。
カナモノユウキ
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